学生たちにとってフィールドワーク現代文化の学びの魅力の一つは、それぞれの渡航先について自ら調べ、そして自分たちが訪ねてみたい場所を見つけ、その観光スポットをどのように回ると楽しめるか、自分たちでプランを練り、実際に現地に行って、自らの五感を通して自分たちの計画した観光スポットの魅力を体験するということだ。今回の学生たちもそれぞれペアになり、ハワイの観光文化の魅力を自ら発見しようと、さまざまな場所を巡り歩いた。それは担当教員では思いつきもしない発想であった。
多くの方がご存じのように、ハワイにはポリネシア文化を持つハワイ王国が130年前には存在していた。またもう一方でハワイにはアメリカ合衆国の本土から持ち込まれた欧米文化も現在のハワイには至る所で根付いている。今回の記事では、王国時代の文化遺産と現代アメリカ文化の一つの表れであるウォールアートを通して、ハワイの文化の多様性を見て歩いた二人の学生のプランを紹介する。
ハワイ・オアフ島にあるビショップ博物館は、ハワイ王国の末期に設立されたこともあり、カメハメハ・カラカウア両王朝時代のさまざまな文化的遺産を所蔵している。この博物館の中でもとりわけ異彩を放つマントについて、学生は次のようにコメントしている。
博物館の中で最も印象的だったのは、鳥の羽で作られたマントです。このマントは全て鳥の羽で作られているので、何世代にもわたって作られてきました。何世代ということは、マントの完成を見ることなく亡くなった人がたくさんいたということです。私的にはそれが一番の衝撃でした。また、最初、鳥の羽を使ってマントを作っていたと聞いて、何羽の鳥を殺してきたんだろうと思いました。しかし、実際は鳥を一羽捕まえて、その鳥から羽を一つ取って逃がすという行為を繰り返して作ったものでした。ハワイの人々にとって、鳥はとても大切な存在でした。その鳥で作ったマントはすごく大事なものだと感じます。その他にもたくさんのハワイの歴史に触れることができました。
このような王国時代のハワイ文化を直接自分の目で確かめられる一方で、まさしく現代アメリカ文化を象徴するようなウォール・アートを見て歩けるのも、ハワイ文化の多様性が持つ魅力の一つだと言える。例えば下の青色の女性の壁画について、学生は次のようにコメントしている。
キリッとした目元をした美しい女性と私の好きな色鮮やかな青色がよくマッチしていてお気に入りの絵になった。キリッとした目元をした美しい女性と私の好きな色鮮やかな青色がよくマッチしていてお気に入りの絵になった。
またトトロの描かれた壁については次のように記している。
もしかしたら、塗り変わって居なくなったかもしれないと心配していたお目当てのトトロとも撮ることができた。日本のトトロよりもつぶらな瞳が目立つように感じた。
また亀の絵の前でのエピソードについても面白く報告してくれている。
「おいで〜!」と言われ、飛んでいった私が激写されたものだ。これはこれで良い味が出ている気がする。絵の上部には、海に反射したウミガメの姿まで描かれており、細かい描写に驚いた。
私たちが今日よく耳にする文化の多様性という言葉は、それが実際どのようなものか具体的に目で見て肌で感じ取るということは難しい。しかし今回のフィールドワークにおいて、この2名の学生は、歴史の中で育まれたポリネシア文化の遺産に触れると同時に、今のアメリカ社会を象徴するようなウォール・アートに彩られた街の中を歩くことで、ハワイにおいて形成された文化的多様性を自らの五感で感じ取ってくれたのではないかと思う。


