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2023.07.06

現代文化学科

【研修旅行】「ハワイで知った沖縄食文化の奇跡」フィールドワーク現代文化(欧米 B:渡航先ハワイ)

 まだ冬の寒さも残る2023年2月後半、2022年度フィールドワーク現代文化(欧米B)の受講生14人は、羽田空港から全日空NH186便でハワイ・オアフ島にあるダニエル・K・イノウエ国際空港へと旅立ちました。現代文化学科としては2019年9月のニューヨークへのフィールドワーク以来、約3年半ぶりの海外でのプログラムを実施することができました。

 今回のフィールドワークでは、アメリカ合衆国の欧米的文化の一面に触れられるだけではなく、日本の歴史・文化について知る機会を得られたり、またハワイ王朝時代の文化の名残に接することができたり、そしてリゾート地ハワイの観光文化の一面を垣間見ることもできました。まさに現代文化学科の3分野(日本文化・交流文化・観光文化)について、学生たちはいつもとはまるで違う視点からアプローチすることができたと思います。

 そこで今回の記事では、学生たちがハワイで知った沖縄食文化の奇跡について少しお話ししたいと思います。なぜハワイで沖縄の食文化?と不思議に思われるかもしれませんね。実はハワイでのフィールドワークの二日目に、AYCのKanako Gonzalez様が本学の学生のためにオアフ島の様々な場所を訪れるツアーを考えてくださり、その中でHawaii Okinawa Centerを訪問する機会を設けてくださいました。そして同センターで、Hawaii United Okinawa AssociationのJon Itomura様から、ハワイの沖縄移民の人々の歴史について教えていただきました。その中でも学生の心に大きな印象を残した話が、「550頭の豚と祖国を救った7人の勇者」の話でした。

 多くの方がご存知のように第二次世界大戦において沖縄では地上戦が行われました。その結果、沖縄は甚大な被害を受け、かつては10万頭以上いた豚もほとんどいなくなってしまいました。この危機に際し、沖縄の伝統的な黒豚「アグー」の絶滅を救ったのが、ハワイの沖縄移民の人たちでした。彼らは、豚の数が減少した沖縄を救うために「沖縄救済会」を結成し、募金運動を始め、集まった資金(総額約5万ドル)で550頭の豚を買い、沖縄まで船で運んだのでした。沖縄まで生きた豚を輸送したのが、仲間牛吉、山城義雄、宮里晶平、渡名喜元美、上江洲易男、島袋真栄、安慶名良信たち、故郷を救った7人の勇者でした。沖縄到着時、豚の数は533頭に減りましたが、4年で4万頭以上に増え、現在に続く沖縄の豚食の礎となりました。Hawaii Okinawa Centerで知ったこの出来事について、ある学生はレポートの中で次のように述べています。

 

 

 今現在でも沖縄の食文化として豚が有名なのは、彼らのおかげでもあると思う。沖縄まで豚を運ぶための航海中、悪天候などの影響により予定よりも長くかかったり、豚が死んでしまったりと悲しい出来事があった中でも生きている豚を沖縄まで運ぼうと頑張ってくれた7人の勇者には感謝しなければならない。・・・沖縄の豚文化を守ったハワイの沖縄移民の思いは次の世代へと受け継がなければならないと感じた。私は、海を越えてつながる心と命に感動した。

 

 

 福岡から7,000キロ以上離れたハワイでのフィールドワークにおいて、沖縄食文化の歴史の1ページを知る機会を得られたことは学生にとって貴重な経験となりました。わたしたちをHawaii Okinawa Centerへと連れて行ってくださったKanako Gonzalez様、そしてわたしたちを温かく迎えてくださったJon Itomura様はじめセンターの皆様に心から感謝申し上げ、この記事の筆を置くことに致します。読んでくださり、ありがとうございます。