国際キャリア学科３年生以上を対象とする「Current Business」（担当：山口）は、世界とつながるビジネスやそれを支援する公務の第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。
先日の講義にはリーガロイヤルホテル小倉から総支配人室の小久保由実様をお招きし、ホテル業界の仕事と求められる人材、そして接遇の基本についてお話しいただきました。小久保様は全国のリーガロイヤルホテルグループでも限られた人しか認定されていない「接遇インストラクター」の資格をお持ちで、主として従業員の方の接遇研修を担当されています。
はじめにシティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルなど、日本におけるホテルの分類から説き起こしていただき、「賓客のための近代的ホテルを大阪に」との大阪の政財界の要望を受けて開業した新大阪ホテルを前身とするリーガロイヤルグループの歩みと現状についてご紹介いただきました。続いて、北九州のランドマークとして1993年に開業したリーガロイヤルホテル小倉について、2016年に開催されたG7北九州エネルギー大臣会合や上皇上皇后両陛下がお泊りになった2017年の全国豊かな海づくり大会福岡大会などでのエピソードを織り交ぜながらご紹介いただきました。
ホテル業界の仕事については、①宿泊部門（フロント、フロアーサービス、宿泊予約、客室係等）、②料飲部門（宴会サービス、レストラン等）、③営業部門（セールス、宴会予約、ブライダル）、④事務部門（総務人事、経理購買、企画広報、施設保全）、⑤調理部門で構成されるホテルの組織と業務内容、さらにはそれぞれの部署に求められるサービスのポイントと心得などについて、ご自身が宴会サービスを担当された際のエピソードや大卒の女性ソムリエが活躍されていることなどをご紹介いただきながらわかりやすく解説いただきました。
続いて、2009年に入社され、得意な英語を武器に国際会議などで活躍されてきた男性社員の方のキャリアの歩み、リーガロイヤルホテル小倉における研修制度、部署を越えてマルチに活躍できる人材の育成などコロナ禍における取り組みについてご紹介いただきました。そのうえで、リーガロイヤルホテルグループの「一流なのにアットホーム」というプロフェッショナル宣言と「CS・ES・No1」というビジョンについて解説いただきました。CSとは顧客の満足、ESとは従業員の満足のことで、そのNO.1を目指すという行動指針は社員の方が意見を出し合って作られました。
ホテル業界で働く人に求められる資質のうちホスピタリティ（おもてなし）については、マナーとサービス、ホスピタリティの違いを説明いただいたうえで、「この時、この場、この人だけにと思いやりの心を持って個別におもてなしをすること、それがホスピタリティです」「お客様の立場に立って考え、望まれることを自然に察知して、心を込めて心に響くようにサービスすることが大切です」「情けは人の為ならずといいます。お客様への心配りはホテルへの高評価にもつながります」と解説いただきました。
また、相手に好印象を与える接遇の基本について、①身嗜み、②表情、③言葉遣い、④挨拶、⑤態度の５つのポイントをあげられ、それぞれについて「ホテルスタッフが大切にする表情は笑顔です。マスクをしていると表情が分かりにくくなりますが、眉をあげて目を優しくすることに気を付けましょう」「言葉遣いは心遣いです。綺麗な言葉で、丁寧な言葉で話しかけ、優しく、易しい言葉を使いましょう」など分かりやすくお教えいただき、「これらのポイントは悪いと非常に気になるところであり、逆によくすれば好印象を持っていただくことにつながります」と述べられました。
講義の最後には、「接客スタッフにとって最も大切なスキルは聴く力、傾聴力です」と話され、その傾聴力を高めるためには「目と耳と心を活用して、注意深く、一生懸命に聴くこと、誠心誠意、相手と誠実に向き合い、その心をしっかり受け止めること、自分の心に余裕を持つこと、先入観を持たないこと、そして相手に興味を持ち、それを相槌や表情で示しながら次に何を言おうか考えながら聞くことが大切です」とアドバイスいただきました。学生達は３歳のお嬢様を育てながら接遇のプロとして活躍されている小久保様からのわかりやすく、丁寧なアドバイスに真剣に聞き入っていました。
なお、リーガロイヤルホテル小倉様との提携講義は今回で６年目を迎えましたが、これまでの提携講義を聴いた学科生からはヒルトン福岡シーホークやホテル日航福岡、近鉄・都ホテルズ、ルートインジャパンなどに就職して、活躍する卒業生が出ています。現４年生も星野リゾート（M.Aさん：福岡県立春日高等学校出身）やザ・リッツ・カールトン大阪（N.Yさん：福岡県立小郡高等学校出身）、ホテル・オークラ福岡（M.Iさん：福岡女学院高等学校出身）、西鉄ホテルズ（A.Mさん：福岡海星女子学院高等学校出身）などへの就職が内定しています。
以下は聴講した学生の感想（代表）です。
M.Sさん（福岡大学附属大濠高等学校出身）
ホテル業界への就職活動では、専門学校生とも競わなければなりません。様々な知識を持った専門学校生にどう太刀打ちしていけばいいのか悩んでいましたが、質疑応答のなかで小久保様に「就職後は予備知識があったとしても、研修の段階でのスタートラインはみんな一緒だから、何も心配しなくていい」とのアドバイスをいただきました。実を言えば、以前から一番、興味を持っていたホテル業界への就職活動について悩み、他の業界に進むという方向で考えようとしていました。しかし、小久保様の講義を聴いたことで、ホテル業界の魅力にあらためて気づき、気持ちを切り替えるいい機会となりました。ホテルで働く将来を想像して、わくわくしている自分に気づきました。ありがとうございました。
Y.Hさん（福岡県立須恵高等学校出身）
講義を通して、いかに全てのお客様に時や場所に適切な気持ちのいいプラスアルファのサービスを行い、おもてなしをすることが重要であるかを学びました。このホスピタリティの心はホテル業界だけでなく、すべての仕事、生活で大切なことだと思います。今回の講義では、ホテル業界のお仕事に加えて、仕事とおもいやりの心の関係をも学ぶことができました。
M.Oさん（福岡県立小郡高等学校出身）
講義を聴いて、ホテルで働かれている方々は立ち姿や身嗜みからお客様への細かな配慮まで、たくさんのことに心を配っていらっしゃるなと感じました。ホテル業にとても関心があったので、今回、お話が聴けて、本当によかったです。就職活動について、改めて考えるきっかけにもなりました。
H.Kさん（福岡県立南筑高等学校出身）
多くの学びがある講義でした。特に、興味のあるホテル業ということもあり、とても楽しく聴講することができました。小久保様のお話から、仕事を通して人と接することや誰かのために尽くすことで、やりがいや人生の楽しさを感じると再確認することもできて、よかったです。
R.Fさん（福岡県立糸島高等学校出身）
ホテルのお仕事のことだけでなく、ホスピタリティや接遇の時に好印象を与える方法など、これから社会人として働いていくために大切なことも学ぶことができました。本日、学んだことを今後に活かしていきたいと思います。
Y.Hさん（福岡県立筑紫中央高等学校出身）
ホテル業についてからホスピタリティ、接客する際の心得まで、重要なことを幅広くお教えいただき、非常に勉強になりました。私は宿泊業、ホテル業を目指しているので、今回の講義で学んだことを頭に入れて、就職活動に活かしたいと思います。
M.Uさん（熊本県立熊本北高等学校出身）
A.Yさん（佐賀県立鹿島高等学校出身）
M.Iさん（聖和女子学院高等学校出身）
ホテル業のお仕事について、そしてリーガロイヤルホテル様のブランド力の高さとその理由を学ぶことができました。航空業界への就職を目指す私にとって、接客、接遇についての知識を知ることができ、将来に活かせるアドバイスをいただけたことはとても貴重でした。この講義で学んだことをこれからの就職活動に活かすよう精進してまいります。貴重なご講義をありがとうございました。
A.Hさん（福岡海星女子学院高等学校出身）
今回の講義でホテルのお仕事やリーガロイヤルホテル小倉のことだけでなく、接客、接遇やサービスについて、また就職活動に役立つ傾聴力についてまで、貴重なお話を聞くことができました。今後に活かしていこうと思います。
M.Nさん（福岡女学院高等学校出身）
