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2022.09.21

メディア・コミュニケーション学科

授業紹介:ボランティアガイドとともに北九州を歩くフィールドワーク

集中講義「メディア・コミュニケーション特論B」では公害の歴史と現状を知り、私たちの日常とそれがどのようにつながっているかを学びます。

9月の上旬には北九州市の八幡地区を訪ね、かつて深刻な公害に悩まされていた街の歩みと今を、ボランティアガイドの方に案内していただきました。この地域は今から100年以上前、官営八幡製鐵所の操業を機に日本経済の急速な発展を担う工業都市へと発展します。当時の建物のいくつは「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産に登録されています。

その一方で、60年代になると工場排水による汚染で洞海湾は「死の海」と化し、工場から排出される煙で大気は汚れ環境は悪化し、甚大な健康被害が発生しました。北九州市環境ミュージアムでは、当時の様子がわかる写真や公害調査記録の閲覧をしたり、子どもの健康を取り戻すため立ちあがった戸畑区婦人会が製作した記録映画を鑑賞したりしました。市民の活動をきっかけに街の環境は大幅に改善され、今に至ったようです。

洞海湾周辺の城山地域には「城山小学校」がありました。工場の移転による児童数の減少などでわずか20年ほどで廃校になったこの小学校では、深刻な大気汚染のため、体調を崩し転校せざるをえない生徒が続出したそうです。跡地近くの展望台からは洞海湾や現在の街の風景が一望できます。ガイドの方に、当時の街の様子や工場などの位置関係を詳細にうかがいました。高い煙突やそこから出ている煙、山のように高く積みあげられた石炭が今でもそこにあるという現実に驚いたという学生のコメントから、当時の小学校や生徒の姿を想像しながらいろいろなことを感じ取ってくれた様子がうかがえます。

過去の歴史を学ぶとき、私たちは光があたっている部分に目がいきがちですが、その影の部分にこそ、今を生きる私たちが学ぶべきメッセージがあるはずです。北九州のまちを自ら歩いたことで、学生たちもそのことに気づいてくれたようです。

お忙しいなかご協力いただいたボランティアガイドやミュージアムのみなさん、ありがとうございました。

「メディア・コミュニケーション特論B」事前授業の様子も是非ご覧ください。
授業紹介: 公害を身近な問題として考える
授業紹介:共に育てる公害資料館

(学科Today編集担当)