言語芸術学科には年度の枠を越えてたくさんの本や映画と向き合っていく「百読百鑑」という授業があります。
授業では学生がそれぞれの作品の魅力をプレゼンテーションしていきますが、早期に入学が決まっていた新入生は、ウォーミングアップとして入学に先駆けて「百読百鑑レビュー」に挑戦してくれていました。
①に続いて、ここでもその一部を紹介していきます。
『おくりびと』 監督:滝田洋二郎
by牧加
私が映画『おくりびと』を選んだ理由は湯灌で働いていた母の話を聞いて興味を持ち、命の大切さ、重みを感じられる作品だと思ったからです。
主人公の小林大悟は、東京でチェロの演奏者として働いていました。しかし、突然解散を命じられて東京から出身地である山形県酒田市に妻と戻り路頭に迷います。そんな中、「旅のおてつだい」という求人広告を見つけ応募しましたが、実際行ってみるとそこは旅行会社ではなく納棺師の会社であることを知り、戸惑いながらも働くことになります。
見習いの納棺師として日本の文化である儀式を丁寧に描き、死とは何か、生きることの意味について考え、納棺師として成長していく映画となっています。
私が『おくりびと』を見て知ったことは三つあります。一つ目は様々な死因があることです。なかなかニュースでは聞かない死因や現在課題となっている高齢者の孤独死、自死などがあげられていました。様々な死因がある中「死とは何か」をあらためて考えました。
二つ目は『おくりびと』は悲しいテーマを扱いながらも、クスっと笑えるシーンがたくさんあることです。私が面白いと感じたのは主人公がある日、納棺師向けのDVD撮影に協力するシーンです。主人公の上司・佐々木がセリフを覚えずにカメラの向こうにあるカンペをそのまま読むところは思わず笑ってしまいました。また、主人公の小林自身もDVD撮影で、故人役をすることになり、実際には生きているのでピクピク動いてしまうところもコミカルでした。こうしたユーモアのあるシーンが散りばめられていることで、作品全体の重さが和らぎ、より魅力的になっていると感じました。
三つ目は、命の尊さや重みを目一杯に感じられる作品であることです。納棺師の別名である湯灌は故人の体を洗い清めきれいな姿で天国へ旅立ってほしいという願いが込められています。この『おくりびと』は命の尊さを教えてくれる作品になっています。私は、この作品を鑑賞して、故人がメイクをして綺麗な姿で天国へ旅立てるのは納棺師のおかげなんだとあらためて思いました。ふだん馴染みのなかった「納棺師」という仕事の尊さを感じられる作品です。
『千と千尋の神隠し』 監督:宮崎駿
byりたたん
主人公の女の子が迷い込んだ神々の世界で起きる様々な出来事を描いたファンタジーストーリー。この作品は20年間に渡って国内興行収入1位であり、スタジオジブリだけでなく日本映画を代表する作品で年齢を問わずに楽しめる作品だ。
家族で新しい町へ引っ越すことになった10歳の少女千尋。不安な気持ちを抱きながら、引っ越し途中で洞窟を見つけ、中に入ると誰もいない温泉街が広がっていた。両親は無断で店にある料理を食べたことで、豚に変身させられてしまう。少年ハクの助けで湯婆婆が経営する銭湯で、千という名前で働くことになる。そこで千尋は、先輩のリンや少年ハクの助けを借りながら、両親を助けるためにさまざまな苦難を乗り越えていく姿を魅力的に描いている。
この映画は、何よりストーリーが素晴らしく、千尋を応援したりハラハラさせられたり、一緒に冒険している気分にさせられる、何度見ても飽きない映画だ。そして、登場するキャラクターが個性的でユニークだ。特に湯婆婆は、ビジュアルも性格も個性的なので注目して見てほしい。また、環境問題のメッセージも込められた映画でもある。登場キャラクターの「オクサレ様」は本当は名高い川の神様なのに、ポイ捨てなどのゴミのせいで腐れ神になっていた。これは、日頃の私達の生活を見直してほしいという強い警告のようなメッセージを受けとることができる。このようなメッセージは他にも多々あるので、しっかりキャッチしながら見るとより深い映画鑑賞になると思う。そして映像の美しさや音楽は、更にストーリーを盛り上げてくれる。
宮崎駿監督がこの映画について「単なる成長物語ではない」と語っていた。どんな状況でも「大丈夫!きっと君ならできる!」というメッセージを込めた映画になっている。この映画を見る時、主人公の千尋が自分だと想像しながら神々の世界に入り込んだ気分で見てもらうと、より一層映画を楽しんでもらえる。
『ハリー・ポッターと賢者の石』 監督:クリス・コロンバス
byゆー
2001年にシリーズ第一作となるこの「ハリー・ポッターと賢者の石」が公開された。世代を問わず、現在でもたくさんの人から愛されている作品である。主人公ハリーが友人のロンとハーマイオニーと共に魔法がある世界で冒険し成長していくファンタジー。
両親を幼い頃に亡くし、意地悪な親戚のもとで階段下の物置部屋で暮らす少年ハリー。十一歳の誕生日の日、ホグワーツ魔法魔術学校への入学を許可する手紙が届く。親戚一家に入学を阻まれるが、そこにホグワーツの番人ハグリッドがあらわれ、自分の両親が有名な魔法使いで自分もその血を受け継いでいることを知る。そしてハグリッドに連れられ無事にホグワーツへ入学する。そこでできた友人ロンとハーマイオニーと過ごすうちに、ホグワーツそして自分の両親の死にまつわる秘密があることに気付き、真相解明のために奔走する。
私はファンタジー映画が好きだが、その中でも特に「ハリー・ポッター」が好きだ。理由は二つある。
一つ目は、世界観だ。寮分けをするために喋る帽子が使われていたり、階段が気まぐれで動いたり、絵画が喋ったり、食べ物も動いたり、魔法で出てきたりと、ただ単に魔法を使うだけでなくありとあらゆる細部が見ている人達の魔法の世界への没入感を高めている。また、普通の世界で暮らしていたハリーが9と3/4番線に飛び込み魔法の世界で初めての体験をすることで、まるで自分も魔法の世界を体験しているかのように感じさせてくれる。
二つ目は、役者の演技力だ。賢者の石ではメインキャラを含めほとんどが十歳~十二歳の子が演じている。にも関わらず、メインの三人はもちろん、脇役のキャラ一人一人もとても印象に残るほど魅力的に演じている。また今回改めてじっくり見ていると、セリフがない部分でも表情で感情を伝えている部分が多くあり、とても面白く、まだ十歳~十二歳なのにすごいなと演技力の素晴らしさを感じた。
このように「ハリー・ポッター」は魅力的な世界観、一人一人が魅力的な登場人物、そして自分も非日常な魔法の世界を楽しめる素晴らしい作品であり、一度は見て欲しい名作である。



