国際キャリア学科3年生以上を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネスや公務の第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。
第2回は2016年度より実施している西日本シティ銀行との提携講義の一環として同行人事部人財開発室の立花優子様をお招きし、「銀行の業務と社会的役割」についてご講義いただきました。
立花様は福岡女学院中学高等学校のご出身で、青山学院大学教育人間科学部を経て、2013年に西日本シティ銀行に入行されました。入行後、北九州の戸畑支店に配属され、女性行員登用の一環としてそれまではほとんど男性行員に限られていた渉外営業も担当されました。2016年からは本部の人事部人財開発室に異動して研修業務などに従事されており、O.Yさん(福岡県立香住丘高等学校出身)やM.Kさん(福岡県立筑紫中央高等学校出身)、Y.Sさん(九州国際大学付属高等学校出身)、A.Kさん(福岡県立柏陵高等学校出身)など、同行に入行した国際キャリア学科の卒業生もご指導いただいてます。
講義では、はじめに銀行の役割と業務について「100万円の車を購入するのに西日本シティ銀行でローンを組みました。5年間で利息はいくらかかると思いますか」という問いかけから始められ、もしも銀行がなかったら私達の生活がどう変わるのかという例をあげながら「お金に関わる『不便』を『便利』に変えるのが銀行です」とわかりやすくご説明いただきました。「銀行法」に規定されている預金、融資、為替という銀行の固有業務と、金融仲介機能、信用創造機能、支払決済機能という銀行が経済活動の中で担っている機能についても学生がイメージしやすい具体例を交えながらご説明いただきました。
続いて、日本の高齢化や社会保障制度の現状をご自身が入院された際のエピソードを織り交えながらご説明いただき、「老後にゆとりある生活を送るためには月35万円程度が必要と言われています。支給される年金とこの必要額との差をどう埋めるのか、長くなる老後に向けて必要なお金についての相談ができるところが銀行です」と述べられ、2008年の金融自由化によって個人向けには投資信託や保険商品の販売、証券仲介の業務、法人向けには海外市場開拓やM&A(企業の合併・買収)の支援の業務が加わるなど、多角化している銀行の事業の現状について解説いただきました。
銀行での具体的な仕事については、ご自身と同じ総合職、そして地域総合職のキャリアパスを説明いただき、フィナンシャル・アドバイザーと渉外営業、本部のそれぞれの仕事内容について、例えば渉外営業は「若い行員でも取引先の経営者の方と親しくなることができ、様々な業種の企業の方と関わることができるやりがいのある銀行業務の醍醐味のような仕事です」など、明太子メーカーの事業承継の支援に携わった際のエピソードを織り交ぜながらご説明いただきました。そのうえで、営業の仕事の魅力について述べられ、「皆さんも積極的に営業職にチャレンジしてください」と呼びかけていただきました。
講義の最後には、新入行員研修や支店でのOJT、フリーエージェント宣言制度など、西日本シティ銀行の人材育成の取り組みをご紹介いただいたうえで、ご自身が銀行を就職先として選んだ理由について、①20代でも企業経営者の方とつながりができる、②働きながらお金に関する勉強ができる、③転職では入りにくい仕事であるという三点をあげられ、銀行の仕事の魅力について「一つの企業の中で様々なことを経験できることです」と述べられるとともに、同じ女子校出身の先輩として「女子校はリーダーシップを発揮しやすい環境にあります。女子校でのリーダーシップの経験は社会に出ても必ず役立ちます。女性をまとめることができたら、男性をまとめることは簡単です」「就職活動では、企業の規模などではなく、そこで何が学べるか、何を得られるかという視点を大事にしてください」など貴重なアドバイスをいただきました。
社会人の先輩女性からの学生の目線に立ったわかりやすい解説と力強いアドバイスは学生たちに強い刺激を与えたようです。以下は受講した学生の感想(代表)です。
H.Kさん(大分県立中津南高等学校出身)
M.Uさん(熊本県立熊本北高等学校出身)
K.Fさん(福岡県立福岡中央高等学校出身)
Y.Hさん(福岡県立筑紫中央高等学校出身)
銀行の機能や役割からこれからの日本社会についてまで、とても多くのことを学ぶことができました。社会に出る前に、女子大にいる今、この時に、リーダーの経験をより多くするとともに、自分がその会社に入ったらどんな力がつき、それを活かしてどのように社会に貢献できるかを考えながら、これからの就職活動に取り組んでいきたいと思います。
S.Aさん(福岡県立明善高等学校出身)
今回の講義では、銀行の役割・業務、仕事内容、西日本シティ銀行の人材育成・福利厚生制度についてお話しいただきました。自分がこれまで持っていた銀行のイメージとは異なる部分もたくさん知ることができて、業界理解がより深まりました。また、就職活動で企業を選ぶ上でのポイントや調べ方、実際に人事部で面接官をされている立花様の視点からのアドバイスなど、非常に有益な情報をいただいきました。是非、今後に活かしていきたいと思います。
Y.Hさん(福岡県立須恵高等専門学校)
「勉強できていると思うと社会人も楽しい」とおっしゃった立花様の言葉が印象的でした。何か失敗した際にそこで終わってしまうのか、それとも成長に繋げていくのか、自分の捉え方次第で同じ経験でも結果が変わります。私はせっかく働くのなら後者がいいです。会社や社会に貢献しながらも自分自身が成長できる働き方を目指します。そして、社会人になってリーダーシップを発揮したり、組織の中で物怖じせずに自分の言葉できちんと発言できるように、日頃の大学生活の中で、女子大という環境を上手く利用して、積極的にリーダーシップを発揮していきます。どんな職種でも、社会や人の助けになっています。そのなかでも自分自身が成長し続けることができ、誇りを持って成し遂げられる仕事をしたいと強く思いました。
N.Mさん(福岡県立香椎高等学校出身)
M.Oさん(西南学院高等学校出身)
銀行での業務だけでなく将来のキャリア形成に必要な考え方まで教わり、非常に有意義な90分間でした。講義の後半は就職活動や将来のキャリア形成に向けてのアドバイスをいただきました。女子校ご出身の立花様は女子大にいる今だからこそリーダーの経験をしてほしいとおっしゃっていました。社会に出たら目上の人や男性が多く、女性のコミュニティにいる今こそ、自分の意見を堂々と伝える練習をしておく必要があるそうです。確かにその通りだと思いました。今、置かれている状況は社会人になるための第一歩になるという目的をもって行動していく必要があると感じました。立花様は、社会人になった際に必要とされる人材について、「一緒に働きたいと思える人」とおっしゃっていました。上司から注意や指摘を受けた後でも普段通り接することができたり、改善点を見つけ行動に移すことができたりすると、よい関係を築くことができると知り、アルバイト先や先生と接する時などに早速、実践していこうと思いました。今後もこの講義で学んだことを意識しながら日々を過ごしていきたいです。
H.Eさん(福岡女学院高等学校出身)
A.Hさん(福岡海星女子学院高等学校出身)
「どんな力をつけたくてその会社に入るのかを考え、会社に頼るのではなく、自分のために会社を利用するくらいの気持ちが大切です」という立花様のアドバイスがとても心に残りました。これは、企業研究をする際に最も重要なことだと思いました。今回の講義では、銀行が社会で果たしている広範な役割から日本の社会問題、就職活動で大切なことまで多くのことを学ぶことができました。最初から最後まで面白いお話ばかりで、とてもためになりました。
R.Mさん(九州国際大学付属高等学校出身)
K.Tさん(九州産業大学付属九州高等学校出身)
K.Sさん(福岡日本語学校出身、ネパール出身)
立花様の講義を聴いて、銀行についてたくさんのことを学ぶことができました。日本のような銀行のサービスがネパールでもできたらきっと社会の役に立つと思います。また、就職活動に際して「この会社で働ければどんな知識を学ぶことができるかという観点を大事にするように」という立花様のアドバイスは心の中に残りました。このアドバイスを忘れずに就職活動を頑張っていきます。