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2021.11.16

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」2021年度⑤:公的金融機関-福岡県信用保証協会の和田課長代理による講義

国際キャリア学科3年生以上を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネスの第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。 先日の講義には、中小企業の資金調達を支援する公的金融機関である福岡県信用保証協会から、総務企画課の和田課長代理をお招きし、信用保証協会の業務と公的金融機関に求められる人材などについてお話しいただきました。

 

和田課長代理は「皆さんは福岡県信用保証協会をご存知ですか」という問いかけから始められ、信用保証協会の役割について「中小企業が抱えている大きな課題である資金調達を支援する、具体的には中小企業が事業に必要な資金の借り入れをする際に公的な保証人となってスムーズな資金調達ができるようにサポートする公的機関です」と、わかりやすく解説いただきました。景気が低迷し、悪化すると、通常、中小企業の資金繰りは悪化し、信用保証協会の保証利用は増加しますが、和田課長代理は日本の経済状況の変化に応じて信用保証協会の保証債務残高(信用保証協会が保証している融資残高)が推移していることを、統計データを示しながら解説いただき、全国各都道府県と横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市に計51ある信用保証協会のなかでも第一位に位置けられている福岡県信用保証協会の保証利用度が昨年3月末時点の43%から今年3月末時点では55%に上昇し、同じく保証残高が7500億円から1兆7000億円に急増していることを示され、「私自身の実感からも今回のコロナ禍は2008年のリーマンショックの際よりも県内中小企業への影響が大きいように見受けられます」と指摘されました。

続いて、「日本の企業のうち中小企業は何パーセントを占めると思いますか」と問いかけられ(答えは99.7%)、日本及びに福岡県での雇用に占める中小企業の比率を示して「日本は中小企業の存在感が大きい国です」とご説明いただきました。大企業と比較した中小企業の「強み」(コンパクトな経営組織、意思決定が速い、小回りが利く、従業員一人一人の存在感など)と「弱み」(人材確保、価格競争力、資金調達力など)についてもご説明いただき、中小企業の「弱み」のうち最も多くの企業が悩んでいる資金調達を中心に支援する信用保証協会の業務内容をご紹介いただきました。

そのうち、創業支援については「開業率、廃業率とも高水準である業種はどの業種でしょうか」という問いかけから始められ(答えは宿泊業、飲食サービス業)、日本は開廃業率とも主要国に比べて低く、新たな雇用が生まれにくい状況にあること、中小企業が2014年から2016年の間に23万事業者も減っているなど、日本経済が抱えている問題を指摘されました。起業準備者が起業できていない理由のうち最も多いのがやはり資金調達で、信用保証協会では信金調達を中心に創業の段階ごとにきめ細かい支援を展開されています。和田課長代理からはご自身が携わられた業務のなかで最も印象に残っている事例として回転焼屋さんの創業支援を取り上げ、「創業者の方と何度も話し合いを行い、お互いの方向性やベクトルが一致し、分かり合えた瞬間には長年の親友になったような感じがしました」「その回転焼屋さんはそれから15年も営業を続けており、地元の風景のひとつになっています。その様子を見ると大きな達成感を感じます」とご紹介いただきました。

続いて、審査業務については経営者をみる、店舗・従業員・顧客をみる、財務をみるという審査の三つのステップのうち、特に経営者をみるところに焦点を当て、掲げている経営理念からその企業を当てるクイズを交えながら解説いただき、「経営者に会って、まず聞くことは経営理念です。経営理念をみることは社長の思いを知ることで、皆さんのこれからの就職活動でも重要です。どのような社会人になりたいかという皆さんの思いと照らし合わせてみてください」とアドバイスいただきました。

 

講義の最後には公的金融機関に求められる人材像として、①誠実な人、②コミュニケーション能力が高い人、③指示待ち人間ではなく、自主的に責任ある行動ができる人をあげられ、特に現在は女性の活躍が期待される時代になっており、就職活動に際しては「働きやすい職場であるかどうかも重視しましょう」とアドバイスいただきました。そのうえで、実際に福岡県信用保証協会で働かれている二人の若手職員の方の1日のお仕事の流れをご紹介いただきました。

 

学生たちはクイズを織り交ぜながら詳しく解説いただく和田課長代理の講義を真剣な表情でメモを取りながら聴いていました。以下は聴講した学生の感想(代表)です。  

F.Mさん(福岡県立香椎高等学校出身)

和田先生はご自身が携わられた業務のなかで特に印象に残っている事例として回転焼屋さんの創業支援をご紹介くださいました。15年前に創業支援に携わったお店が今も成功し続けているそうです。確かに自分の担当した案件が実際に成功しているのを見るのは、とても嬉しいだろうなと思います。私の父、そして祖父もそれぞれ起業して、会社を経営しています。私もそれに憧れて将来は起業したいという夢を持っています。そのこともあり、今回の講義はとても興味深いもので、学ぶことが多くありました。実際に起業する機会が来れば、ぜひ今回の講義で学んだことを思い出したいと思います。

Y.Mさん(福岡県立福岡高等学校出身)

和田先生は講義のなかで中小企業の特徴から信用保証協会の業務内容といった幅広い内容について、分かりやすく説明してくださいました。日本の中小企業は全企業数の99%以上を占めており、日本経済を支える頼もしい存在です。特に、福岡県においては雇用の約8割を中小企業が担っています。一方で、大企業と比較すると、創業や新事業のための資金調達のハードルが高く、中小企業に対するアンケートでは特に資金繰り支援や設備導入の支援といった点を行政に望んでいます。そういった課題に対してアプローチできる組織が信用保証協会で、中小企業が銀行などの金融機関から事業資金を借入する際に公的な保証人となることでスムーズな資金調達をサポートする公的機関です。現在、日本の開業率は欧米諸国に比べて低い傾向にありますが、開業率が上がらないと新たな雇用が生まれないため、経済の活性化に影響します。日本と福岡県の経済の将来にも中小企業が大きな役割を担っています。今回の講義を通して、信用保証協会の役割を知るとともに、中小企業という視点から日本経済について考えることができました。講義のなかで、和田先生が挑戦する経営者に寄り添い、その会社の課題と向き合ってこられた姿勢が印象的でした。

M.Tさん(長崎県立島原高等学校出身)

和田先生のご講義を通して、とても大切だと感じたことが二つあります。一つ目は、第一印象の大切さです。第一印象をよくするためには、服装や態度、表情や声に気を付けることが重要です。それは、私たちが就職活動をする際も同じだと思いました。二つ目は、学び続けることです。和田先生は私たちの質問への回答のなかで、「どの業界に進んでも、社会人は日々、学ぶことがあります」とおっしゃいました。勉強をし続けることは仕事での成功にも繋がると思いました。改めて、学び続ける心を大切にしていこうと思います。上記のこと以外でも中小企業のこと、信用保証協会のことについてなど、とても勉強になる講義でした。和田先生のお話がお上手だったので、講義もあっという間に感じました。ありがとうございました。

Y.Kさん(福岡県立浮羽究真館高等学校出身)

信用保証協会は中小企業の方々にとって極めて大切な存在であり、そのお仕事は地域貢献につながっていると思いました。福岡県内の中小企業の半数が福岡県信用保証協会を利用しており、保証利用度は全国で1位ということに驚きました。こんなにも多くの企業が利用しているとは初めて知りました。講義の最後にご紹介された求める人材像のお話からは、仕事をするうえで人とのコミュニケーションが極めて大切で、誠実な人だからこそ共に仕事をしていて大事な役割を任されているのだと感じました。今回は、貴重なご講義をありがとうございました。

M.Yさん(福岡県立春日高等学校出身)

和田様は公的金融機関に求められる人材として、誠実な人、コミュニケーション能力が高い人、自主的に責任のある行動ができる人をあげられました。特に、審査業務や創業支援業務などで面談する経営者の方は若い方から年配の方まで年齢層が幅広いため、様々な年代の方と円滑なコミュニケーションがとれる人が求められるのだと思いました。実は、講義を受けるまで「福岡県信用保証協会」という名前すら知りませんでした。しかし、今回の講義で信用保証協会はどのような活動をしているのか、社会においてどのような役割を担っているのかがよく理解できました。講義の最後には、私が事前のアンケートに書いた質問にも丁寧に答えていただき、より理解を深めることができました。ありがとうございました。

I.Yさん(福岡県立小郡高等学校出身)

講義を通して、福岡県の中小企業の資金調達を福岡県信用保証協会がほとんど担っているといっても過言ではないと感じました。和田様はそうした福岡県信用保証協会の求める人材像として、誠実な人、コミュニケーション能力が高い人、自主的に責任のある行動ができる人をあげられました。コミュニケーション能力の大切さはこれままでも聞いてきましたが、実際に就職活動を行うなかで、どこの会社も求める人材としてコミュニケーション能力の高さを挙げており、話す能力だけでなく、聴く能力もしっかり意識していきたいと思います。また、面接では会社の求める人材とマッチしているかをしっかり伝えられるようになりたいと思います。

M.Eさん(福岡海星女子学院高等学校出身)

保証審査をする際の定量分析と定性分析に関するお話を聞けて、とても勉強になりました。この夏、インターンシップに参加した際、定量分析の重要性について学ぶことができ、意識し始めていたのですが、数字ではわからないことを判断するには定性分析がとても重要であることを学べました。この定量分析と定性分析は就職活動において企業を判断していくうえでも活用できますし、社会人として働くうえでも大切になる学びを得ることができました。講義の際、和田先生にいただいた「企業の経営理念は社長の思いを知ることができるものだからしっかり見ておいて、共感できる部分を探すように」というアドバイスはぜひ就職活動で活かしていこうと思います。自分の社会人としてなりたい姿と働く会社が目指す姿が遠くかけ離れていたら、どんなに楽しい仕事でも自分の成長にも企業の成長にもつながらないと感じました。自分の軸と経営者の方が目指している目標が共感できる点を見つけることができるようにするためにもやはり自己分析が必要不可欠で、引き続き取り組んでいく必要があると改めて思いました。質疑応答の際、和田先生がおっしゃったようにどの会社に入っても社会人は勉強と隣り合わせですが、それを義務として捉えるのではなく、お客様や社会の役に立つために自ら進んで勉強ができる社会人になりたいと思います。

M.Kさん(興南高等学校ー沖縄ー出身)

福岡県、福岡市は起業に関するサポートが手厚いことから、多くの中小企業が福岡県信用保証協会を利用しており、日本でも保証利用率がトップだということに驚きました。審査や創業支援業務にはコミュニケーション能力が求められ、お客様の考えを引き出す力や、提案する時にどれだけ様々なアイディアを出せるかなど、大変、難しいお仕事だと感じました。講義のなかで開廃業に関する話がありました。私の母は美容室を経営しており、開業して10年以上経っています。店舗の内装に関することやカラー剤などの薬剤を取り扱う会社とのやり取り、接客などを身近で見てきました。今回の講義を聴いて、改めて経営を続けている母の大変さや起業の難しさを知ることができました。経営理念についてのお話も印象に残りました。就職活動をする際は、経営理念に注目し、自分が目指していることや、自分がしたいことと一致しているかという点も重視していきたいと思います。

A.Mさん(福智高等学校-福岡-出身)

日本の企業のうち、中小企業の割合は99.7%を占めています。特に、福岡県では県内企業の99.8%を占め、雇用の約8割を担っており、中小企業は県経済の発展と活力の原動力になっています。就職活動をするなかで、名前の知られている大企業に目を向けがちですが、地域に密着している、専門性のある中小企業にも魅力的な会社がたくさんあると感じました。大企業だからできることもあるように、中小企業ならではのメリットもあります。この講義を通して、信用保証協会のことはもちろん、中小企業の魅力についてもたくさん学ぶことができました。

A.Iさん(聖和女子学院高等学校-長崎-出身)

和田様が働く際に大切にされていること印象に残りました。一つ目は第一印象の大切さです。第一印象は出会った最初の5秒ほどの見た目や声の印象で決まります。私もこれから表情や声のトーンなどを意識していこうと思います。二つ目は企業の経営者の方と会う際に経営理念を聞くことです。私たちが就職活動に向けて企業を見る際にも経営理念が自分の思いと合うかどうかを見ることが大切だとアドバイスいただきました。これから始まる就職活動に向けて気を付けて、働くうえでの自分の思いを再確認したいと思います。