「教員コラム」では、学科教員の研究活動やエッセイを紹介していきます。第1回目は、二階堂整教授です。
僕の研究分野は方言です。
方言というと、よくメディアでは、「こんな変わった言葉があるよ」といった取りあげられ方をします。それはそれで間違いではないのですが、方言もひとつの「言語」です。日本語や英語と同様に言語体系をもった一言語といえます。
さて、そんな方言に、今、どんな動きがあるのでしょうか。
1 災害時の支援と方言 −「熊本支援・方言プロジェクト」−
災害時の医療現場では、コミュニケーションの問題として、方言が重要な鍵をにぎる場合があります。他の地域からやってきた医療従事者が被災地のお年寄りの言葉(方言)がわからないと治療が行えない場合が出てくるのです。2016年、熊本で大きな地震が発生しました。このとき被災地で想定される方言の問題に取り組んだのが、「熊本支援・方言プロジェクト」でした。これは社会貢献のひとつの事例になったと考えています。
「熊本支援・方言プロジェクト」については6月27(日)のミニオープンキャンパスの模擬授業でお話しする予定です。
2 「戦略」としての方言 −「セミフォーマル」というスピーチスタイル−
メディアが伝えるニュースの中で国会中継の一場面を見たことがあるかもしれません。現在は国会だけでなく、多くの地方議会でも中継が行われたり、議事録が公開されたりしています。
地方議会の録画や議事録を見ると、時々、方言が出てくることがあります。その方言を観察すると、ある意図が感じられます。議員が方言使用の効果を狙っている、戦略的に方言を使用している例が見られるのです。その中で、丁寧な表現の中に、方言が出現する形式があります。こうした表現を、「セミフォーマル」と名付けました。ひとつのスピーチスタイルではないかと考えています。
3 若者に広がる方言 −「あーね」−
方言というと、年配の方の言葉、消えていく言葉というイメージがあるかもしれません。しかし、若者が生み出す方言もあるのです。
みなさんは、同意・うなずきといった意味で「あーね」を使いますか? この「あーね」は福岡の若者が使い始めた方言で、今では九州の若者が使用するようになっています。なぜ、福岡の方言が九州に広まったのか。実は、いくつもの要因が重なっていたのです。福岡の発展、高速道の開通、スマホ利用、現代の若者の気質。これらにより、「あーね」は一気に九州全体へと広がっていきました。
(二階堂 整)
2019年度 富山県砺波市での「言語研究フィールドワーク」(方言調査を行う授業)の様子
今回紹介した内容は、大学の生涯学習センターの夏期講座の特別講座3回の中で取り上げる予定です。Zoomを使用した遠隔授業で、全国どこからでもご参加いただけます。詳しくはこちらをごらんください。


