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2020.08.03

心理学科

不確かな明日を楽しんで生きる(後編)

 遠隔授業が続く毎日ですが、女学院ではチャペルの時間を大切に過ごしています。毎週、WEBを通してチャペル講話のテキストと講話をする教員の動画がパイプオルガンの音色とともに配信されています。

先週ご紹介した心理学科の教員、奇惠英先生が学生や教職員に向けて発せられたメッセージの後編を今日はお届けします。

前編をまだ読まれていない方は、こちらをクリックしてください。)


 不安が原動力になって、不安に突き動かされてものごとや人を観るようになると、COVID-19 の状況において、人は怒り、恐怖を感じ、恨めしい気持ちになり、誰かのせいにしたい気持ちが強くなります。そこで、差別や嫌悪や排除や分断と障壁が強くなります。

 そもそも人間は不確かな明日を生きる存在です。すべてが初めて体験するものです。その都度、できる限りの力を尽くして生きていたら、いつの間にかそれが確実なもののように、当然のもののように考えるようになるだけです。不安は自然な感情ですが、それだけを生きるエネルギーにしてしまうと、人は自らより不安な世界に自分を閉じ込めることになります。

 イエスキリストは、「明日のことを思い悩むな」と話しています。明日のことを思い悩んで不安になることから一歩引いてみて、初めて私たちは今日を感謝し、今日をできる限りのことをしながら生きることができるように、神様は私たちにその力を十分に与えてくださっていることに気づきます。

 そのことを見事に教えてくれるのが先週の記事で紹介したサラちゃんです。知的な発達段階は非常に幼いですが、毎日をできる限りのことをして精一杯生きています。泣きあり、怒りありですが、笑いありの時間の方がとても多いです。30代になった今も、日々新しいことを学び、周りの人に対する関心と愛情が深まり、笑顔は増えるばかりです。今も外部刺激がすぐ理解できず、不安で床に頭を打つ自傷がみられますが、少しずつ状況理解が進むと、その分自傷が減ります。その姿は私を含めて多くの人に自分の力を気づかせてくれます。不安ではなく感謝を選んで生きることが、どれほど人生を豊かにするかを教えてくれます。

 サラちゃんを通して働く神様が、みなさんを通して働いておられます。そう信じて今日 1 日も感謝をもって、できる限りのことをしましょう。