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2019.11.14 授業紹介

授業紹介『行動経済学』

心理学と経済学との架け橋 「行動経済学」の視点

 現在の経済学と心理学はともに近代西欧の18世紀あたりに起源があり、19世紀から20世紀にかけて人間や人間関係を対象にその学問体系を確立・発展してきました。いずれも、18世紀のイギリスでは「道徳哲学」と呼ばれていた領域から分離・独立したものなのです。「経済学の父」とされるアダム・スミスも、この「道徳哲学」の教授でした。
  一般的に経済学では、基本的に「人間は自分の経済的損得『勘定』によって自らの『満足感』という心理を最大にするように行動している」「経済人(ホモ・エコノミカス)」を想定し、そこから社会をとらえようと考えます。実際、「満足感」という心理状態の「勘定」を問題にすることから、エッジワースという経済学者は『数理心理学』という本を書いているほどです。
  そのうえで、経済学と心理学はそれぞれ独立して深化・発展していきますが、近年、両者はより明確な形で接点を持ってきました。2002年にダニエル・カーネマンという「認知心理学者」が、ノーベル「経済学賞」をとったことに表れています。彼の基本的な考えは次のようなものでした。
  これまでの「経済学」の想定(経済人という想定)とは異なり、現実生身の人間は、自分の合理的な経済的「満足」の最大化だけで行動してはいない。自分の損得「勘定」だけではなく、様々な「感情」や感覚(ボランティア精神、家族愛、思い違い、錯覚、癖、などなど)によって、実際の人間行動には大きな揺らぎや偏りが生じている。それゆえ、現実社会での人々の行動を理解するには、そうした揺らぎ自体の特徴をより明確にする必要があるはずだ、と。
  こうした視点から、様々な経済的行動や経済領域での特徴を整理し分析しているみせているのが「行動経済学」として近年発展して来ているのです。今書店に行かれると、ビジネス書コーナーなどにも、行動経済学に関連する書籍が多くみられます。
  本心理学科には、この「行動経済学」に対して経済学の立場からアプローチする私の他に、「認知心理学」の立場からアプローチされる教員もおられます。基礎的な経済社会の理解と認知心理学の修得とをバランスよく学習できる「架け橋」の科目が「行動経済学」だと言えるのです。
 
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