2月12日に放送されたKBCアサデスPOSTコーナーが、3月29日(日)「おかわり!アサデス。」の中で再放送される予定(11:00-11:48)です。
再放送に先駆けて放送内容について、こちらでもお伝えします。
番組は「最近の子どもたちには博多弁(注)が通じないのでは?」という内容で、具体的例として、明月堂の通りもんのCMを取り上げました。文字化すると以下のとおりです。
小柳類子 「それは・・・」
長谷川法世「顔ば、あこ(赤)うして」
小柳類子 「好いとうと」
郷六平 「俺を?」
小柳類子 「通りもんたい」
♪傑作饅頭~ 博多、通りも~ん♪
問題は下線部「好いとうと」です。最近の小学生はそれを「水筒と」と思っているらしい、博多弁が使われなくなっているの?という声を受けての内容でした。番組でも説明しましたが、さらに説明を補いながらこの問題を考えてみます。
①音
「好いとう」、「水筒」、どちらも同じ音、同音異義語です。
②状況
神様に何かお願いしているのですから、類子さんはお願いしたことを答えるのが普通です。
一方、CMを見た小学生たちにとって「水筒」は普段よく使うもので、「新しいのがほしいという意味でお願いした」と理解したとしても違和感はありません。ある意味、そう考えてしまうのは自然な流れです。
③「好いとうと」の「と」の問題
方言の観点から注目してほしいのはこの「と」です。博多弁ではこの「と」がよく使われます。
A「誰が行くと?」
B「私が行くと」
下線部「と」は共通語の終助詞「の」にあたるものです。Aは疑問、Bは確認などの意味を表します。「水筒と」と思った小学生はBの意味、つまり(水筒なの)と回答していると考えたんだと思います。ただ、ここには少し説明が必要です。
従来の博多弁では動詞は「行くと」、形容詞・形容動詞の場合は「赤かと」「元気かと」のように言っていました。しかし、最近は形容詞・形容動詞に付く「カ語尾」が使われにくくなって「赤いと」とか「元気と」という新しい形が出てきました。その流れの中で、名詞文「風邪と」(共通語では「(太郎は)風邪なの」の意味)という形が現れてきたのです。
伝統的には名詞には直接、「と」が接続しなかったのですが、若い層を中心に使われるようになってきました。つまり、博多弁の新しい形の誕生です。大きくは共通語の影響があるのですが、博多弁全体として「と」の接続の形を整えよう、統一しようとの動きとみることができます。
方言を使わなくなるなら、これらの「と」は消えていくはずです。ところが「と」は今でもよく使われますし、子供も盛んに使っています(例「花子ちゃん、どこ行くと?」)。
「と」の新しい用法が生まれていることは、まだまだ博多弁に力があることを示していると思います。博多の発展と合わせて、しばらくは博多弁の活気が続くのではと予想します。
(注) 今回は博多弁を筑前方言(福岡市及びその近郊地域の方言)の意味で使用します。
参考 KBC「アサデス。」
参考文献 九州方言会編『これが九州方言の底力』大修館書店 2009・5
(二階堂整)


