本専攻では、心理臨床実践の多様な理論及び実践について、年に数回にわたって授業以外に「臨床研修会」を開き、修了生から国内外の有数の先生方に至るまで、心理臨床実践の心、エッセンスを学ぶ機会を設けています。
今回は近年注目されている「メンタライゼーション」について、その分野の最前線でもっとも活躍していらっしゃる西村馨先生をお招きし、大変充実した学びを得ることができました。西村馨先生は、集団精神療法をご専門とされ、MBT(メンタライゼーションに基づく治療)の実践や研究の権威として実践とともに多数の訳書・著書を通して日本におけるMBTをけん引しておられる先生です。院生たちにとって大変貴重な学びの機会となったことをとてもうれしく思います。
参加した院生の感想
〇メンタライジングという言葉は耳にしたことがありましたが、メンタライジングの態度はセラピストを守るためのものでもあり、想像以上に親しみやすいものなのだと感じました。また、自分が自分に正直であることが大切であり、「無知の姿勢」と「覚醒度の調整」が重要なのだと理解しました。(中略)今後は、Clの言動の背後にどのようなニーズがあるのかを考え、“わからないから教えて”というメンタライジングの姿勢を心にとめて臨みたいと考えます。 M2 T.A.さん
〇特に印象に残ったのは、自分は何を感じているのかを知ることの大切さであり、それを明確にするためには、他者に自分をわかってもらうというプロセスが必要だということです。自分を理解してくれる他者の存在があってこそ、自分の内面を理解できるという視点は、育ちの中でもカウンセリングの実践の中でも共通して重要であることを学ぶことができました。今後は、実際にケースを担当する際やケースカンファレンスで資料を作成する際にも、クライエントの心のストーリーを意識していきたいです。M1 T.R.さん
〇今回の研修会では、自身のケースにつながることを多く学ぶことができた。特に印象に残ったのは、3段階のコミュニケーション・システムである。まず安心できる関係の中で警戒が緩み、次に信頼を通して心を理解し合う力が回復し、最後に社会とのつながりを取り戻していくという段階があることを学んだ。セラピーで培った信頼やメンタライジング能力を、セラピー外の人間関係にも広げていくという視点はとても印象的だった。セラピーという安全な場で得た経験が、日常の人間関係の中で活かされ、家族や友人、職場などでの関わりにも変化をもたらしていくという考え方は、クライエントの「生きる力」を支える上で非常に重要だと感じた。M2 T.Y.さん
〇講義の中で特に印象に残ったのは、「相手の心が分からない状態でスタートすることも大事である」という言葉である。支援者であっても相手の心を完璧に読み取れるわけではなく、むしろ“分からない”ところから丁寧に理解しようとする姿勢こそが大切だと知り、肩の力が抜けたと同時に、自分にはどんな視点が足りていないのかを振り返るきっかけになった。また、自他ともにメンタライジングするための視点の一つとして、「心のストーリー性」を大切にすることが重要だという学びも印象深く残っている。細かな情報やデータをたくさん用いるのではなく、相手がどのような背景を持ち、どのような流れで今の状態に至っているのかを物語として捉えることが、心の動きを捉えていくためには必要なのだと感じた。さらに、自分自身の心も同じようにストーリーとして理解することで、自分の気持ちにも少し優しく向き合えるのではないかと思う。M1 I.M.さん



