国際キャリア学科(ICD)3年生を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネスや公務の第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。
今年度の第5回は農林水産省九州農政局より経営・事業支援部の村中輸出促進課長と国際キャリア学科の卒業生で今年、入省された農村振興部用地課の田上彩花様をお招きし、ご講義いただきました。
村中課長からは「農林水産物・食品の輸出拡大等による『海外からの稼ぐ力』の強化について」というテーマで講義をいただきました。最初に人口減少や高齢化に伴う日本国内での食料品市場の変化とアジア地域の拡大が顕著な海外での農産物市場の動向について解説いただいたうえで、全国と九州の品目別、国別の農林水産物・食品輸出の内訳について、なぜ同じ産地でありながら福岡、佐賀、熊本ではイチゴが輸出品目の上位に位置付けられているのに大分は違うのかなど、興味深いお話を交えながらご説明いただきました。続いて、従来から注力されていた農林水産物・食品の輸出拡大とともに、日本の食品産業の海外展開とインバウンドによる国内での食関連消費の拡大の相乗効果を通じて、農林水産物・食品の「海外からの稼ぐ力」を強化し、地域活性化につなげる農林水産省を中心とする日本政府の施策について、農林水産省本省や日本貿易振興機構などでの豊富な実務経験をもとに、詳しく解説いただきました。講義の終盤には今年、国際キャリア学科(ICD)を卒業し、農林水産省に入省され、九州農政局の農村振興部用地課で活躍されている田上様が登壇され、現在、取り組まれているお仕事や職場の雰囲気、公務員試験を受けるなかで感じられたこと、得られたことなどについてご説明いただきました。
お忙しいなか、熊本から講義にいらしていただいた九州農政局の皆様、本当にありがとうございました。以下では、受講した学生の感想(代表)をご紹介します。
Y.Sさん(ルーテル学院高等学校出身)
農林水産省九州農政局の村中課長より多くの統計データやグラフを用いながら、食品や農水産物などがどのように海外と取引されているのか、また地域経済の動きが世界とどのようにつながっているのかを丁寧に説明していただきました。講義を通して、農林水産省が一次産業の振興だけでなく、地域の経済を動かす仕組みづくりや海外との調整など、幅広い業務に関わっていることが強く印象に残りました。行政機関の人たちが日々、どのような視点でお仕事をされているのかを垣間見ることができ、社会の仕組みを新たな角度から理解するきっかけにもなりました。講義の後半では、本学の卒業生の田上先輩が登壇され、お仕事の内容や就職活動についてお話ししてくださいました。公務員試験に挑戦された際のご経験や就職活動中の気持ちの保ち方など、参考になる内容が多く、とても印象に残りました。田上先輩は地域の人々の暮らしに直接、関われるお仕事のやりがいや社会を支える立場としての責任の重さについても話され、自分の仕事に誇りを持って働くことの大切さを感じました。就職活動を終えて、実際に働かれている先輩の言葉はとてもリアルで説得力があり、今の私たちに必要なメッセージがたくさんこめられていたと思います。
M.Nさん(自由ヶ丘高等学校出身)
K.Sさん(大分県立大分雄城台高等学校出身)
私は大分県の出身であり、講義のなかで村中課長が紹介された地元のブランドいちごのベリーツには特別な思いがあります。ベリーツは糖度が高く、香りも豊かで、見た目の美しさからも高い評価を受けていますが、流通面では課題も多くあります。いちごは非常に繊細な果実であり、長距離輸送では傷みやすく、品質を保つための温度管理や包装技術が求められます。こうした課題を乗り越えて販路を広げるためには、生産者だけでなく、輸送業者や販売店、行政が一体となった取り組みが必要だと感じました。実際、講義で紹介された輸出拡大等の取り組みの中には、国内の大都市圏への販売促進や物流改善の支援も含まれており、これはベリーツのような繊細な農産物にも大きな可能性を与えると思いました。「地域ブランドの確立が今後の鍵になる」というお話も強く印象に残りました。単に「おいしい」というだけではなく、「この地域だからこそ生まれる価値」を発信することが重要で、大分県でいえば清らかな水や寒暖差のある気候がベリーツの甘さを引き出しているといった、産地ならではのストーリーを伝えることがブランド価値の向上につながります。こうした情報発信を強化し、都市部の消費者に「買いたい」と思わせる工夫をすることで、国内市場での存在感を高められるのではないかと感じました。さらに、生産者の高齢化や後継者不足といった構造的課題に対しても、輸出拡大等の支援は有効だと考えます。販路の拡大によって収益が安定すれば、若い世代が農業に希望を持って就業するきっかけになるでしょう。大分では若手生産者がSNSなどを活用して自ら情報を発信し、ファンを増やしていく動きも見られます。こうした努力と行政の支援がうまく結びつくことで、「稼ぐ農業」に近づくと思います。私も大分出身者として、地元の魅力ある農産物をより多くの人に知ってもらえるような活動に関わりたいと思いました。この講義を通じて、農業は販売や流通の工夫によって新たな成長産業になり得ることを実感しました。
Y.Sさん(長崎県立佐世保東翔高等学校出身)
農林水産省九州農政局の方々による講義では、日本と九州の農業や食料をめぐる現状と課題、そして国が進める政策について学ぶことができました。普段はあまり意識していなかった「食料の安定供給」というテーマが、実は私たちの日常生活と深く結びついていることを改めて実感しました。特に印象的だったのは日本の食料自給率の低さと農業現場の高齢化問題です。九州は全国的にも農業が盛んな地域ですが、担い手不足や耕作放棄地の増加といった課題は深刻であり、九州農政局の取り組みの重要性を強く感じました。今回の講義を通して、農業や食料問題は私たち一人ひとりが関心を持つべきテーマであると思いました。日常の「食べる」という行為の背景には多くの人々の努力と国の政策があることを理解できたのは大きな学びでした。
M.Kさん(山口県立山口中央高等学校出身)
R.Yさん(神村学園高等部出身)
A.Yさん(福岡県立嘉穂高等学校出身)
村中課長の講義を通して、農業や食品産業の「輸出」が地域社会の発展や文化の継承にも深く関わっていることを学びました。特に、「海外から稼ぐ力」を強化するという言葉には日本の未来の農業を守るという強い意志が込められているように感じました。これからの時代、日本の農業は「守るもの」ではなく、「攻める産業」へと変化していく必要があります。そのためには、地域の特性を活かしたブランドづくりや若い世代の発想が欠かせないと感じるとともに、改めて農業の可能性とそれを支える行政の役割の大きさを実感しました。後半では、九州農政局農村振興部用地課の田上様からもお話を伺いました。田上様は私たちの学科の先輩であり、実際の業務内容や職場の雰囲気など、より身近な視点から行政の仕事について話してくださいました。農政局の職場は落ち着いた雰囲気の中にも活気があり、職員同士が相談し、協力して仕事を進めていると聞き、行政の仕事に対するイメージが大きく変わりました。専門的で難しそうな業務内容にも関わらず、チームワークを重視した環境が整っていることに驚きました。
A.Yさん(福岡市立福翔高等学校出身)
S.Nさん(福岡大学附属若葉高等学校出身)
R.Oさん(福岡市立福岡女子高等学校出身)
農林水産物や食品の「輸出」というテーマについて、これまでよりずっと身近に感じることができました。村中課長のお話はとても分かりやすく、九州の魅力や日本の食の可能性を改めて考えるきっかけにもなりました。講義を通して、「農業=大変で地味」というイメージが大きく変わりました。実際には、マーケティングやデザイン、データ分析など、様々な分野が関わる、とてもダイナミックな仕事であることが分かりました。これからの日本の成長を支えるうえで、農業や食品産業が果たす役割はとても大きいと実感しました。私自身ももっと九州の魅力や地域の特産品に目を向け、自分の言葉で発信できるようになりたいと思います。今年、入省された学科の先輩の体験談もお聞きすることができ、将来の進路や働き方を考えるうえでもとても刺激になりました。
C.Sさん(勇志国際高等学校出身)
「Current Business」




