黒木社長は食品メーカーを中心に様々な職を経験された後、化粧品関係の事業で独立されて、企業向けの企画提案や商品開発のお仕事を始められました。その後、アルコールや化学物質などのケミカルな成分に頼らない化粧品を作りたいという思いで、出身地である鹿児島県で株式会社ボタニカルファクトリーを起業され、廃校になった小中学校の校舎を活用して化粧品工場を設立されました。現在では、月桃やホーリーバジルなど南大隅町の植物資源を活かした製品が注目され、2021年には「サスティナブル・コスメアワード」のシルバー賞も受賞されています。俳優の井浦新さんや成宮寛貴さん、松山ケンイチさん、モデルの水原希子さんやローラさん、メイクアップ・アーティストの亜耶バネッサさんなどがプロデュースするブランドをはじめ、他の企業からの受注生産も多く手がけられており、今年はフランスのブルターニュ地方に初の海外工場も設立されました。
「AI時代にあなたはどう生きる?-地元を『宝の山』に変える思考法」と題する講義の冒頭、黒木社長は学生たちに「あなたは毎日、どれくらいAIを使っていますか」と質問され、「AIに知能で勝負しても勝ち目はありません。みなさんが磨くべきなのはAIには真似できない自分だけの知性です。今日は身近にある価値を発見し、それを自分だけの物語に変える価値創造の思考法について考えていきましょう」と語りかけられ、最初に学生たちの関心が高い美肌のために必要なスキンケアの基本について、約4000人の女性にヒアリングされてきた結果をもとに、従来の化粧品と同社のようなナチュラル&オーガニック化粧品との違いを比較しながら詳しく解説いただきました。
続いて、ボタニカルファクトリーを起業された経緯についてご説明いただきました。契機となったのはお嬢様がアトピー性皮膚炎になられたことで、「何百種もの化粧品を作ってきたのに、自分の最も大切な人の肌さえ救えていない。なぜなのか」という悩みを抱えられるなかで、「美しさとは何なのか」「そもそも化粧品とは何なのか」と考えられるようになります。そうした疑問への回答を求めて、故郷の鹿児島でお肌が美しい高齢の女性にそのスキンケアの秘訣をヒアリングして回られた際、ある女性の「私は特別なことは何もしちょらん。自分で作ったヨモギ水と馬油だけ」という言葉に衝撃を受けられます。自然の恵みこそが美しさの本質だということに気づかれ、それが同社の原点となります。そして、ご自身が生まれ育った南大隅町に戻られ、廃校となった学校を活用して、化粧品の生産を始められました。
日本本土最南端に位置する南大隅町で創業された理由について、黒木社長は①オーガニック・コスメの先進地のヨーロッパで農業と連携した化粧品づくりに感銘を受けられていたこと、②南大隅町は温帯と亜熱帯の境に位置し、約4000種類もの植物が生い茂り、化粧品原料資源のポテンシャルが高いことなどをあげられ、具体的な開発事例としてホーリーバジルや月桃、芳樟、ティーツリー、パッションフルーツなどを原料としたスキンケア製品をご紹介いただき、「地方に眠るこうした『宝』こそが産業を興す鍵であり、日本の未来の希望です。『何もない』場所なんてありません。『ない』ものを見るか、『ある』ものを見つけるか。視点次第で、世界は変わります」と話されました。
前述のとおり著名な俳優、モデルの方々などが南大隅町の同社を訪ねて、製品の生産を委託されていますが、その理由について黒木社長は「モノづくりの基盤にある『想い』や『物語』に共感されたからです。商品を手にする人が生産地を知ることで、その背景にある『物語』に触れます。そこから消費者と地域がつながり、人の流れが生まれます。オーガニック・コスメという商品を通して、地域のフアン、そして人と人、地域と地域をつなぐ『関係人口』を増やす。それが私が考える地方創生です。あなたも地元と世界をつなぐ『ハブ』になれます。必要なのは地元への愛と、あなただけの知性です。課題を発見し(人の感情や現場の空気から『本当の困り事』に気づく)、価値を創造し(『宝物』を見つけ、解決策に変える独自のアイデア)、ストーリーを設計する(共感の『物語』をつくり、価値を最大限に伝える)、この思考法がAIには真似できない強みになります」と熱く語られました。
講義の最後には「自分だけの個性をブランドにしよう」というタイトルで、「ブランドとは、その商品を提供する人の思い、物語、体験です。商品はそれを伝える手段です。いいブランドは提供する人の『体験』から生まれます。これこそがAIにはできないことです」とアップルやシャネルを例にとりながら解説いただいたうえで、学生たちに①自分の好きな、または嫌いな化粧品、スキンケア商品のブランドは何か、②それに共感してくれそうな人はどんな人か、③共感してくれそうな人のためにあなたの考えるブランドはどんなことをしてあげたいのかの三点を順に検討したうえで、自分自身の化粧品ブランドのブランド名と1行コンセプト、そのコンセプトにした理由をまとめるというワークを体験させてくださいました。
化粧品業界に関する解説から起業、地域創生、農業との連携、ブランドづくり、そしてスキンケアの基本まで、90分の授業時間が短く感じられるような充実した講義に学生たちは終始、真剣な表情で聴き入っていました。以下は、受講した学生の感想(代表)です。
R.Oさん(福岡市立福岡女子高等学校出身)
黒木社長の講義を通して、自分自身の進路やキャリアを考えるうえでも「固定概念にとらわれず、視点を変えてみること」が大切だということを学びました。最初は難しそうに見える分野でも、工夫次第で新しいチャンスを生み出せることを知り、挑戦する意欲が高まりました。また、ビジネスは利益だけを追い求めるのではなく、人や地域とのつながりを重視することで、より長く続けられる形になるのだということも実感しました。今回の講義はビジネスについての理解を深めるだけでなく、自分自身の考え方や将来像を見直すきっかけになりました。これからも様々な視点を取り入れながら学び、将来は自分にしかできない価値をつくれるようになりたいと思います。ありがとうございました。
Y.Tさん(福岡県立香住丘高等学校出身)
今回の授業を通して、AIにはない「人間らしさ」や「考える力」の大切さ、そしてブランドが持つ「らしさ」の意味を深く学ぶことができました。どんなに時代が変わり、技術が進化しても、最後に人の心を動かすのは「想い」や「表現」の力だと思います。これからの自分の学びや将来の仕事でもこの授業で得た考え方を忘れずに、自分らしい視点で物事を見つめ、成長していきたいです。
A.Nさん(福岡県立新宮高等学校出身)
講義を通して、私は「AIにできること」と「人間にしかできないこと」を見極め、自分自身がどう生きたいのかを考えるきっかけをいただきました。便利さや効率だけを追い求めるのではなく、自分の心で感じたことを大切にし、他者や地域に貢献できる生き方を目指したいと思います。AI時代を生き抜くためには、技術に使われる側ではなく、技術を理解し、人の幸せのために活かす力を持つことが求められます。そして、その根本には「人を思う心」があると感じました。黒木社長の講義は、私にとって「これからの生き方」を考える大切なきっかけとなりました。AIがどれほど進化しても、最終的に社会を動かすのは「人」であり、「想い」だということを忘れずに、自分も将来、人の心を動かせるような生き方をしていきたいと思います。
R.Mさん(福岡県立須恵高等学校出身)
講義全体を通して、化粧品業界は単なる美の提供だけでなく、「科学」「感性」「共感」「倫理」など、さまざまな要素が重なり合って成り立っていることを学びました。AI時代を迎える今だからこそ、人にしかできない共感力や想像力を磨き、テクノロジーと共により良い社会をつくっていく姿勢が求められています。今回の学びは化粧品業界についての理解に留まらず、これからの働き方や生き方を考えるうえでも大切なヒントとなったと感じています。また、講義終盤に取り組んだワークでは「誰に、何を、どのように届けるのか」というマーケティングの基本的なフレームを自然と意識して進めることができました。ターゲット設定からメッセージの設計、そして伝え方の工夫まで、一連のプロセスを体験的に学べたことは、将来、企画の仕事を目指している私にとって非常に有意義でした。表面的なデザインやキャッチコピーだけでなく、「なぜその商品を届けたいのか」という根本的な意図を明確にすることがブランドづくりの核心なのだと実感しました。今後も今回の講義で得た学びと気づきを活かし、人に寄り添い、心を動かすような企画づくりを目指していきたいです。
N.Oさん(福岡県立新宮高等学校出身)
A.Yさん(福岡市立福翔高等学校出身)
K.Sさん(大分県立大分雄城台高等学校出身)
講義の特に印象に残ったのは、「鹿児島の片隅から世界を驚かせる」という言葉です。地方にあるということをハンデに感じるのではなく、そこにしかない自然や文化を「強み」として世界に発信していく姿勢に深く感動しました。黒木社長は、「自分だけの武器」を見つけることの大切さを何度も強調されていました。AIのような知能や大企業の資本力には勝てなくても、人には知性や感性があり、それを磨き、自分のブランドとして表現していくことが、これからの時代に必要だと話されていました。私はこの言葉を聞いて、改めて「知性とはテストの点数や知識の量ではなく、自分なりの視点や感じ方を持つこと」だと気づかされました。講義を通して、ブランドとは「自分をどう見せるか」ではなく、「自分がどんな価値を届けたいか」を考えることだと学びました。そして、何よりも大切なのは、自分の内面としっかり向き合うことだと感じました。流行を追いかけるのではなく、自分の中にある思いや信念を大切にする。その積み重ねが本当のブランド力につながるのだと思います。今回の学びを通して、私も「自分だけの武器」を探していきたいと思います。小さくてもいいから、自分の個性を磨いていくことが、これからの人生において一番、大事なことだと気づかされました。私も黒木社長のように自分の想いと地域の魅力を重ねながら、人に喜ばれるブランドをつくれる人になりたいと思います。
K.Tさん(大分県立臼杵高等学校出身)
今回の講義は、将来を考えるうえで、参考になることばかりでした。商品そのものだけでなく、その背景となる考え方やモノづくりへの姿勢も含めて会社を見ていくことが大切だということ、そして仕事は利益だけでなく、地域や人との関わりを意識しながら続けていくものだということを学びました。黒木社長のように、自分の考えをしっかり持って、それを形にできる人は本当に素敵だと思います。化粧品やものづくりの分野にかかわらず、どんな仕事にも人への思いや地域との関わりが大切だということがよくわかりました。とても貴重なお話を聴くことができました。これからの進路選択に活かしていきたいです。
Y.Sさん(長崎県立佐世保東翔高等学校出身)
黒木社長の講義から私が学んだ大きなポイントは三つあります。第一は「課題発見力」です。地域に眠る資源や社会的な問題に気づき、それを活用し、解決するための事業を構想する力は、今後、どの分野でも必要になると感じました。第二は「価値創造の発想」です。単に自然素材を活かすだけでなく、そこにストーリー性や人との関わりを加えることで、より強いブランド価値を築けることを学びました。第三は「持続可能性の重要性」です。地域と共に発展する仕組みを作ることは、一時的な成功ではなく、長期的な成長に繋がるのだと理解しました。講義のなかで、あなたも地元と世界をつなぐハブになれるという言葉が心に響きました。必要なのは大きな資金や特別な技術ではなく、地元への愛情とその地域にしかない個性を見出す視点であるということです。この言葉を胸に可能性を形にしていきたいと思いました。今回の講義では、化粧品の製造・販売業の話から、地域社会の未来や自分自身の生き方にまで考えを広げることができました。
H.Kさん(福岡大学附属若葉高等学校出身)
講義のテーマが非常に印象的でした。「AIの発達によって効率的に情報を処理したり、デザインや文章を自動で作成したりできる時代に人間ができることは何か」という問いかけです。黒木社長は「AIにできないことは“感性”や“想い”を込めること」だと話されていました。ボタニカルファクトリーの製品は、まさにその「想い」から生まれたと思います。人の肌に直接、触れる化粧品だからこそ、自然素材や香り、使い心地などを通して「人の心を動かすものづくり」が大切であるという言葉に深く共感しました。黒木社長が「地方の小さな町からでも世界に発信できる」と話されていたことも印象に残りました。人やモノ、情報が集まる都市でなければ成功できないという固定観念を打ち破り、地域の自然や人材を活かしてブランドを育てる姿勢は、これからの時代の新しい働き方や生き方のモデルだと思います。AIのような最新技術が進む時代でも、最も大切なのは「どんな価値を人に届けたいか」という人間の根本的な想いであると感じました。講義の終わりには、自分自身の化粧品ブランドを考えるというワークにも取り組みました。私は、自分の好きな香りや使用感を思い浮かべながら、どのような人に使ってほしいか、どんな想いを込めたいかを考えました。今までは「パッケージがかわいい」「SNSで話題だから」といった理由で商品を選んでいましたが、今回の体験を通して、ブランドの理念や背景を意識することの大切さを学びました。この講義を通して、私は改めて「好きなことを仕事にする」ことの意味を考えさせられました。黒木社長は、自分が信じる価値を地方でかたちにし、地域の人と共にブランドを育てられています。その姿勢から、「好き」や「こだわり」を貫くことで、人に感動を与えるブランドが生まれるのだと学びました。私も将来、自分の興味や感性を大切にしながら、人の心に寄り添えるような仕事がしたいと思います。AIがどれだけ進化しても、人の想いが生み出す価値は決して置き換えられまでせん。黒木社長の講義は、これからの自分の生き方を考える大きなきっかけとなりました。
N.Iさん(福岡大学附属若葉高等学校出身)
黒木社長の講義では、AIが急速に発達している現代社会において、AIには決して真似できない「知性」を磨くことの大切さを学びました。AIが情報処理や効率性の面で優れている一方で、人間には自分で考え、感じ、想像する力があり、それこそがこの時代を生き抜くうえで最大の武器であるということが特に印象に残りました。また、物事を一方向から見るのではなく、些細なことでも視点を変えて捉えることで、新しい発見や価値が生まれること、そして少し角度を変えてみるだけで、これまで気づかなかった魅力や良さに出会えることも学びました。これらの学びは、今後の就職活動においても自分の強みをどう活かすかを考えるうえで大きなヒントになると感じました。社会に出てからも、自分自身の知性や感性を磨き続ける姿勢を忘れず、柔軟な発想で新しい価値を生み出せる人になりたいと思います。また、講義内で紹介されていたボタニカルファクトリーの製品には人の手で丁寧に作られた温かみや、自然素材へのこだわりを感じ、ぜひ実際に使用してみたいと思いました。
Y.Kさん(九州産業大学付属九州産業高等学校出身)
株式会社ボタニカルファクトリーの黒木社長から「ブランドづくり」や「地域との関係性」についてとても深いお話を伺いました。単に商品を作るのではなく、「人と人、地域と地域をつなぐ関係人口を作っている」という考え方がとても印象的で、ものづくりに対する価値観が大きく変わるきっかけになりました。講義を通して学んだのは、ブランドとは「人と人との関係」から生まれるものであり、そこには「想い」と「物語」が必要だということです。そして、その物語を語る言葉を持つこと、自分の体験を大切にすることが、どんな時代にも通用する力になります。黒木社長の講義は、人としてどう生きるか、どう社会と関わるかを考えさせてくれる内容でした。私もこれから、自分の感じたことや体験を大切にしながら、自分なりのストーリーを持って生きていきたいと思います。
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