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2025.09.30 教員コラム

写真撮影の現場より

メディア・コミュニケーション学科では、実践的な現場でも活躍する教員が、その経験を授業などで学生にも伝えています。今回は現代美術家として活躍されている飯塚純先生に、ご自身の取り組みについてご紹介いただきます。

私は普段、現代美術の制作を活動の中心にしていますが、その傍らで美術作品の撮影・編集も行っています。これまで、美術作家の作品集に掲載する写真や、美術館から依頼を受けた記録撮影など、個人から公的機関まで幅広く撮影に関わってきました。

最近では、プロダクト・デザインレーベル 「Hylé(ヒュレー)」 の公式サイトに掲載されるビジュアル撮影を担当しました。

Hylé (ヒュレー) 」の公式サイトより こちらから:https://hyle-products.com/about

東京のある場所で、デザイナーのお二人に立ち会っていただきながら撮影したものです。

私の撮影スタイルには、いくつかのこだわりがあります。アシスタントを置かず、可能な限りひとりで完結する撮影を行っています。また、ストロボを使ったスタジオ撮影ではなく、自然光だけを利用したスナップ写真のような、身軽で自由な撮影を心がけています。光の角度を探しながら商品を配置し、ときにはかなり苦しい体勢になりながらも、その瞬間にしか生まれないイメージを捉えたいと思っています。

実際に撮影した商品写真です。

鏡作品の写真では、自然光を反射させながら空間と商品が一体になる瞬間を狙いました。

自然光を反映した鏡作品の商品写真です。

また、ブランディングに合わせたイメージカットとして、シベリアから渡ってきた白鳥をフィルム写真で撮影し、ブランドの世界観に寄り添わせました。

私は「写真家」ではありません。私は現代アートの制作に取り組む立場にあります。しかし、写真というメディアは、私にとって非常に重要なテーマです。たとえば、一度きりのパフォーマンス・アートは、その記録を写真や映像に残さなければ、証拠も痕跡も失われてしまいます。記録そのものが出来事の存在を保証する——このことは、私にとって強い問題意識となっています。

現在、AIの進化によって、誰もが容易にイメージを生成できるようになりました。だからこそ「撮影する」という行為にどのような意味があるのか、今一度問い直す必要があるのではないでしょうか。

後期には、私が担当する 「写真表現演習」、「視覚デザイン論」、「比較美術表現論」 といった授業が開講されます。これらの授業では学生の皆さんと共に「写真」という存在を多様な視点から探究していきたいと思います。写真を“撮る”ということが、いかに私たちの世界の捉え方に関わっているか。ぜひ授業の中で、一緒に実験し、議論していきましょう。


(飯塚 純)