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2025.08.17 授業紹介

【授業紹介】「Junior Seminar」(国際政治経済、中東・北アフリカ地域研究、山口ゼミ10期生)

国際キャリア学科生は3年次から国際政治経済・地域研究、英語学・異文化コミュニケーション、経営・ビジネスの各専門分野のゼミ・クラスに分かれ、専門科目を重点的に学びます。

このうち、ドバイやカタール、トルコ、エジプトなど中東・北アフリカ諸国の政治、経済、社会を中心に学ぶ山口ゼミの3年生は、今年度前期、世界を揺るがせた「イスラーム国」(IS)が生まれてきた要因や背景について、『現代中東の国家・権力・政治』(ロジャー・オーウェン著、明石書店)や『「イスラーム国」の脅威とイラク』(吉岡明子/山尾大編、岩波書店)などの文献に基づき、グループに分かれて研究し、その結果を発表しました。

各グループとも、「イスラーム国」が生まれてきた要因を2003年のイラク戦争とその後の米国による占領統治の混乱、2010年末のチュニジアでのジャスミン革命に始まり、多くのアラブ諸国に波及した政治的変動「アラブの春」とその後のシリア内戦など近年の出来事だけでなく、イスラーム教の成立期以来、続くスンナ派とシーア派の宗派対立やいずれも現代史の分水嶺とも言える1979年に起こったイラン革命とソ連のアフガニスタン侵攻がアラブ世界の思想潮流へ及ぼした影響まで、関連する様々な事項を深く調べて、発表していました。

後期は、「経済・ビジネス」に焦点を当てて、レバノンやドバイ、トルコなど中東・北アフリカ地域における広域的な経済ハブとなってきた国々を取り上げ、それぞれの経済政策の成功(国によってはその後の挫折や破綻)の要因について様々な視点から考察しています。そのなかで、航空業界に関心の高いゼミ生が多いことから中東航空(レバノン)、エミレーツ(ドバイ)、カタール航空、トルコ航空など、各国の経済多様化の一翼を担ってきた航空会社の歩みや経営戦略についても考えていきます。

 

以下は、前期の「イスラーム国」が生まれてきた要因や背景に関する共同研究を終えたゼミ生の感想(代表)です。

Y.Tさん(福岡県立香住丘高等学校出身)

「イスラーム国」がどのようにして生まれたのかについて考えていくなかで、歴史的、社会的な背景が複雑に関係していることを知りました。特に印象に残ったのは、「アラブの春」やイラク戦争、そして9.11同時多発テロなど、それぞれ別の出来事と思っていたことが実は深くつながっていたという点です。発生した時期も場所も異なりますが、それらが関わり合い、積み重なって、中東・北アフリカ地域の政治的不安定や宗派対立、国民の不満などを生み、過激派が勢力を伸ばす土壌になってきたことを知りました。また、「イスラーム国」が世界各地でテロを起こしたことで、イスラーム教徒に対する偏見が広がってしまったことも知りました。特定の集団による暴力が宗教そのものへの差別や誤解につながってしまうというのは、とても悲しく、不公平なことだと感じました。

A.Sさん(福岡県立筑前高等学校出身)

今回、「イスラーム国」の誕生につながった「アラブの春」やシリア内戦などについて学び、自由を求める運動が必ずしも良い結果に結びつかなかったという現実を知り、複雑な気持ちになりました。人々が自由や民主主義を求めて立ち上がったにもかかわらず、その後に混迷や内戦、そして過激派組織の台頭が起きたという現実はとても衝撃的でした。また、特に若者が将来に希望を持てず、過激派組織に巻き込まれてしまう背景には社会の不安定さや不公平が深く関係しているのだと理解しました。平和な日常を送っている私たちにとって、これらの問題は遠い世界のことのように思えていましたが、今回の学びを通じて世界で起きている現実により関心を持つことの大切さを感じました。

K.Tさん(大分県立臼杵高等学校出身)

「イスラーム国」がSNSを駆使して支持を広げ、世界各地から戦闘員を集めていたこと、特に社会での居場所のなさに不満や不安を抱いて生きている若者にとって、自分の存在価値を見出せる居場所といったメッセージを送ることで勧誘していたことを知り、巧妙な戦略を感じると同時に、恐ろしさも感じました。情報が武器となる時代において、発信されている情報をただ受け取るのではなく、その裏にある意図を考え、判断する必要があると痛感しました。前期の研究を通して、「イスラーム国」の誕生は長い間に積み重なってきた様々な要因が複雑に絡み合った結果だということがわかりました。世界の諸問題を表面的に捉えるのではなく、その裏にある背景や流れを正確に読み取る必要があると思いました。今後も物事の背景を意識しながら考える力を大切にしていきたいです。

R.Yさん(神村学園高等学校出身)

前期の研究で、グループ・ディスカッションを通して考えが深まったことが多くありました。疑問に思っているところをグループのメンバーに質問すると、別の視点や資料を示してもらい、より明確に理解することができました。逆に、自分の担当分野について質問を受けた際には、気づいていなかった情報の不足に気づかされ、さらに調べるきっかけとなりました。こうしたやり取りを通してお互いに助け合いながら発表資料を完成させられたことは大きな達成感につながりました。同じ出来事についても情報源によって説明の内容やそのニュアンスが異なることがあり、どの情報をどこまで信じてよいのか判断することの難しさを実感しました。今後の研究や発表では、情報の出所や信頼性を意識し、複数の資料を比較しながら考えていく姿勢を大切にしていきたいと思います。今回の経験を通して、ニュースや国際問題を見る際には背景や過去の出来事にも目を向け、批判的かつ多角的な視点を持つように心がけていきたいと思いました。

H.Rさん(福岡女学院高等学校出身)

前期の共同研究を経て、「イスラーム国」が生まれた要因は単なる宗派対立だけではなく、様々な政治的・社会的要因が複雑に絡み合っていることが分かりました。2003年のアメリカによるイラク攻撃後、サダム・フセイン政権が崩壊し、イラクの統治機能が大きく弱体化しました。それまでイラク社会の主流を占めていたイスラーム教スンニ派の国民は多数派のシーア派から政治的に疎外されるようになり、強い不満を抱きます。そうしたなかで、「イスラーム国」が登場し、スンニ派住民の不満や絶望につけ込んで支持を広げていったことが非常に印象的でした。シリア内戦による混乱も「イスラーム国」の拡大を後押しします。内戦により権力の空白地帯が生まれ、「イスラーム国」が勢力を伸ばす場となりました。さらに、「イスラーム国」のSNSを活用した巧みな宣伝や外国人戦闘員の勧誘も、世界中の若者を引き寄せる大きな要因となったことに驚きました。このように、「イスラーム国」の台頭はイラクだけの問題ではなく、国際社会全体の対応の遅れや地域の不安定さが生んだものだと痛感しました。この地域の安定のためには、社会の不満や格差をなくす地道な取り組みが必要だと思いました。

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