国際キャリア学科(ICD)では、グローバル企業と提携したプログラムとして2017年度よりヤマハ発動機株式会社様との提携講義を実施しています。3年生以上を対象とする「Current Business」では同社で活躍されている女性社員の方をお招きした講義をシリーズで開催しており、この8年間でご講義いただいた方は計18名に達しています。また、これまで提携講義を受講した学生から学科3期生のK.Mさん(福岡県立春日高等学校出身)と同7期生のY.Fさん(福岡県立香住丘高等学校出身)がヤマハ発動機に就職し、現在、世界とつながる業務で活躍しています。
昨年度、実施した提携講義では同社のIT本部デジタル戦略部(講義当時)から森奈津美様よりこれまで携わられてきたお仕事とそれを通して学ばれてきたことなどについてお話しいただきました。森様からは初めに180を超える国・地域で製品を販売し、海外での売上比率が9割に達する、日本を代表するグローバル企業であるヤマハ発動機の概要についてご説明いただきました。続いて、学生たちに「社会人になるということに対して、皆さんはどんな感情をお持ちですか。今日は『社会に出るとこんなことができる』『自信がなくても何とかなる。大丈夫』ということを生来、ネガティブ思考の私からお伝えできれば嬉しいです」と話しかけられ、ご自身の経歴とヤマハ発動機入社の経緯をご紹介くださいました。
森様は兵庫県のご出身で、大学では国際学部で文化人類学を学ばれ、1年間の米国留学も経験されました。就職活動に際して森様は、将来は海外、特に英語圏で働きたい、日本の良さ、強みを伝え、日本と海外をつなぐ架け橋のような存在になりたいと考えられ、製造業企業を中心に就職活動を行われました。そのなかで、会社説明会で接した女性社員の方々がとても活き活きとされていたこと、海外で働く機会が多そうなところに魅力を感じ、ヤマハ発動機への入社を決められました。
次に入社されてからこれまでのご経歴を、その都度のご自身のモチベーションを示したグラフを見せながらご紹介下さいました、森様は入社後、研修での工場実習などを経て、ヤマハ発動機のなかでも特殊な事業分野である産業用無人航空機の国内営業の部署に配属されます。同社が製造・販売している産業用無人航空機は農薬等の薬剤を散布する無人ヘリコプターや電動ドローンなどの農業用途向けと、人のアクセスが難しい領域でのインフラストラクチャ―の点検や物流・運搬、計測などを行う非農業用途に分けられますが、森様はそのうち農業用の無人ヘリコプターの国内営業に携わられます。英語を使う機会が全くなく、ご自身の親世代に当たる特約店の方々とのコミュニケーション、そして数字に苦手意識を持たれている中での生産計画の策定など多くの悩みを抱え、一時は落ち込まれますが、「特約店の方々から信頼されているから、営業に向いていると思うよ」との上司の方の言葉を機に、言葉巧みな営業トークができることが必ずしも良い営業ではないこと、特約店の方からの理にかなっているご指摘は愛情の裏返しであることに気付かれたことで、壁を乗り越えられます。森様はこの最初の業務での経験はご自身の社会人としての基礎を固め、「人の役に立てたと感じる時に大きな喜びを感じる」という自己発見につながったと話されました。
入社3年目に森様は同じ産業用無人航空機の海外営業の業務に携わられることになり、オーストラリアとニュージーランドを担当されます。日本にいながら現地社員と連携することの難しさを痛感された森様でしたが、そうした時、オーストラリアの事務所より営業系の日本人駐在員の派遣要請があり、海外駐在の機会が訪れます。オーストラリアで森様は海外駐在員の多くが直面する現地での人事管理の問題、さらにはコロナ禍でのロックダウンに直面されます。そして、この時も人との出会いが道を切り開きます。理解のある上司の方と優れた資質を持つ現地マネージャーの方に恵まれ、産業用無人航空機を離島での有害アリの駆除や電線の点検サービスなど、広大な国土を持つオーストラリア市場ならではの需要の開拓とそのための組織づくりに取り組まれ、単月での事業の黒字化を達成されます。この海外駐在経験を通して、森様は良い組織を作る最も大きな要素は人であること、最初はできない仕事でも場数を踏めばできるようになることを学ばれました。
講義の最後には「ヤマハ発動機には若手の頃から責任ある仕事にチャレンジしやすい環境があります。その分、たくさん悩み、苦しむこともありましたが、振り返ってみると、その分、視野が広がり、自分の適性が見えてきました。これまで無駄な経験は一つもなく、全てが今の自分につながっています。仕事を通して得られた仲間との出会いが私の宝物です」と語られ、就職活動の本格化を前に不安を抱えている3年生たちに「きっと大丈夫です。今は生き方も働き方も多種多様になっています。自分を信じて、頑張って下さい」との熱いエールを送って下さいました。
学生たちに寄り添って、自らの経験から学んだことを分かりやすく伝えて下さる森様の講義に学生たちは真剣に聴き入っていていました。以下は、聴講した学生の感想(代表)です。
H.Iさん(福岡県立小郡高等学校出身)
今回の講義を通して、ヤマハ発動機様の幅広い事業展開について深く理解することができました。同社が築き上げた独自の技術力やデザイン性、そしてグローバル市場での常に挑戦を続ける姿に感銘しました。また、森様のご経験や私たちにいただいたメッセージからも多くの学びを得ることができました。特に、「場数を踏めばできるようになる」という言葉は私にとって大きな勇気となり、自分のComfort zoneを抜け出して、努力と挑戦を積み重ねることの重要性を再確認することができました。新しい可能性を切り開いていけるよう努力を続けたいと思います。
K.Uさん(福岡県立筑紫中央高等学校出身)
森様の講義を聴き、働くことに対する考え方が大きく変わり、「社会人としてどのように成長し、どんな経験を積むか」という未来への具体的なイメージを持つことができました。就職活動に対する姿勢も大きく変わりました。これまでは、自分の専門分野に限られた選択肢で将来のキャリアを考えていましたが、ヤマハ発動機のように多様な事業を展開する企業であれば、自分自身の可能性を広げ、新しい挑戦をする機会が得られるのではないかと感じました。森様のエネルギッシュで前向きな姿勢に触れることで、積極的に行動することの重要性を再認識しました。貴重な講義をありがとうございました。
Y.Kさん(福岡県立宗像高等学校出身)
森様はこれまでのお仕事で学ばれたことをわかりやすく教えて下さいました。特に印象に残ったのは、「最初はできなくても、場数を踏めばできるようになる」という言葉です。「同じ会社で働く人たちが活き活きと働く姿を見ることが大きな喜びにつながる」という言葉も心に残りました。一緒に働く人とのつながりや仕事のやりがいを大切にされている森様のお話を聞いて、私も将来、そのような環境で働きたいと思いました。「いろいろな挫折を経験しながら成長していく」という言葉にも深く考えさせられました。仕事で壁にぶつかり、落ち込むこともあっても、それを乗り越える度に新しいことを学び、前よりも強くなれたと話されているのを聞き、失敗や挫折は自分を成長させるチャンスだと思いました。森様の講義を通じて、挑戦することの大切さや仲間と協力する喜び、挫折を乗り越える力の重要さを学びました。この度は、貴重なお話をありがとうございました。
R.Tさん(佐賀県立神埼高等学校出身)
ヤマハ発動機様のように若手社員が働きやすく、その挑戦を奨励してくれるような職場環境であれば、自分の能力を最大限に発揮できると感じました。私も早い段階から積極的に様々なことに挑戦し、社会に貢献できる人材になりたいと強く思います。今回の講義は、自分のキャリアを見つめ直し、より前向きに未来を考える貴重な機会となりました。ありがとうございました。
H.Gさん(沖縄県立読谷高等学校出身)
森様からは、これからの就職活動や将来に不安を抱えている私たちに、これまでのご経験から得られた「無駄な経験はない」「頑張れるうちは続けてみる」などの貴重なアドバイスをいただきました。たびたび強調された「出会いを大切に」という言葉は、思いがけないご縁から素晴らしい経験をされた森様からのとても説得力のある言葉で、私も周りの方々とのご縁を大切にしていこうと思いました。今回の講義では、就職活動だけでなく、その後の人生においても大切になる学びを得ることができました。ありがとうございました。
K.Nさん(福岡県立武蔵台高等学校出身)
森様の講義を聴いて、自分の目標よりも少し高いレベルのことに挑戦することで、思いがけない成長や成果を得る可能性があることに気づかされました。そして、もし将来、ヤマハ発動機で働く機会をいただけたなら、自分が想像していた以上の経験や可能性に触れられるのではないかと思いました。今回の講義では、ヤマハ発動機の企業としての魅力を知るだけでなく、就職活動や今後のキャリアについて深く考えるきっかけをいただきました。また、挑戦することや自分の可能性を信じることの大切さを学ぶことができました。
K.Hさん(西南学院高等学校出身)
今回、お話をして下さった森様は私自身のキャリアの目標である海外駐在を経験されていて、とても勉強になるお話をたくさん聞くことができました。お話のなかでも、森様ご自身がもともと内向的な性格だったと話されたことが印象に残りました。MBTIは私と同じINFJで「人付き合いは狭く深く」や「集団の中で孤独を感じる」など共感する点がたくさんありました。森様の講義を聴くまでは、海外で働いたり、営業の業務に従事したりするのには外交的で、積極的な人が向いているというイメージがありましたが、お人柄において自分といくつかの共通点を持たれている森様が実際に海外駐在というキャリアを経験されて、活躍されていることを知り、前向きに頑張ろうと思えました。ヤマハ発動機の良さである自由で個性を尊重する社風が若いうちから様々なことにチャレンジできる環境を創り上げていて、それが森様のキャリアを形成したのだなと感じた講義でした。今回、お話を聴けて本当によかったです。ありがとうございました。
N.Tさん(八女学院高等学校出身)
H.Nさん(自由ケ丘高等学校出身)
困難や思い描いていた理想とのギャップに向き合いながらも、努力を続けて社会人としての基礎が作れたと話される森様の体験談に非常に勇気をいただきました。就職活動を進めるなかでは、理想の環境ばかりを追い求めるのではなく、どのような環境でも柔軟に対応し、成長する力を身につけることが必要だと気づきました。就職活動でも今回の講義で得た気づきを大切にし、自分自身の成長を信じながら臨んでいきたいと思います。




