3年で履修する「専門演習II」(池田理知子教授)の授業にお邪魔しました。
過去に起きた事件や出来事と向き合い、現在につながる課題をみつけていくことがこの授業の目的です。太平洋戦争をさまざまな形で経験した人びとの話から構成された『知らなかった、ぼくらの戦争』(アーサー・ビナード著、2017年)をテキストとして使いながら、ペアになって担当した章の内容や疑問点を発表し、それをもとに全員でディスカッションを毎回行っているそうです。
今回の授業では「対馬丸事件」をテーマに学生がプレゼンテーションに臨みました。
1944年8月、沖縄から本土に疎開する学童ら1788人を乗せた「対馬丸」が米軍の潜水艦に撃沈されます。護衛の軍艦2隻を含む計5隻の船団を組んで出発したにもかかわらず、危険を察知した他の船は逃げ、老朽化した貨物船であった「対馬丸」だけが置き去りにされて攻撃を受けたのでした。事件について話すことを禁止する箝口令により長い間生存者は真実を語れずにいたため、正確な犠牲者の数などその全容は今でもわかっていないそうです。
授業の前半では、「対馬丸事件」が起こった背景やその後の国の対応などをまとめ、わかりやすく発表してくれました。
後半では、疑問に感じた事柄について全員でディスカッションを行いました。
「なぜ対馬丸が犠牲になったのか」、「なぜ米軍は対馬丸の予定航路を把握していたのか、日本政府はその事実を知っていたのか」。投げかけられた疑問について議論を深めるうちに、新たな問いが次々と生まれます。
活発に議論を交わす学生たちの姿から、自らの「問い」に向き合い、自分なりの答えを探りながら、そこから何を学べるかを真剣に考えている様子がみてとれました。
発表を終えた学生のコメントの一部を紹介します。
「プレゼンテーションをするにあたって、対馬丸事件に関して教科書を読みこんだり、調べたりするうちに、日本政府の対応に多くの疑問が浮かびました。この問題は決して終わった話ではなく、今の日本政府にも通じることがあると強く感じました。もっと国の取り組みや発言について深く考え、国の都合の良いように流されていないかしっかりと見極めていかなければならないと感じました。」(N・Hさん)
3年生のみなさん、本当にお疲れ様でした。
(学科Today編集担当)


