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2021.11.24

言語芸術学科

【授業紹介】百読百鑑Ⅱ ① 『イル・ポスティーノ』

 言語芸術学科では、4年間で文学の名作100冊、演劇・映画鑑賞100本を目標とする「百読百鑑」という授業があります。

 「百読百鑑Ⅱ」は、映画を中心とした2年生の授業です。授業では、古今東西の名作映画リストの中から一人一作品選んで、その作品の魅力をプレゼンテーションします。

 受講生は必ずしもその作品に精通しているわけではありません。しかし、この授業で大切なのは、未知の作品に出会ったときに感じる新鮮な驚きや違和感を丹念に言葉にする作業です。

 ご紹介するのは、昨年度おこなった授業から質疑応答の様子です。プレゼンテーションの後は、毎回教員と発表を担当した学生による質疑応答の時間が設けられます。昨年度は遠隔実施でしたので、チャット欄で他の受講生から感想コメントももとめました。

『イル・ポスティーノ』 (1994・イタリア)

監督: マイケル・ラドフォード  出演: マッシモ・トロイージ、フィリップ・ノワレ

祖国を追われたチリの詩人パブロ・ネルーダが、ナポリ湾のカプリ島に身を寄せた史実に基づく。イタリアの小さな島に住む青年マリオとパブロの交流を描く。

──ポイントをつかんだプレゼンテーションでよかったですね。すでにチャットでも感想をいただいています。「街の風景を出してくれたので映画の世界を想像しやすかったです」や「詩を習得したいのが女の子にモテたいというのがイタリア人らしくて笑いました」という感想がありますね。この作品はどういった理由で選びましたか?

選んだ理由は二つあります。一つ目がたしか最初のアンケートで、この映画を知っている人が一人もいなかったので、逆に気になって見てみようと思いました。もう一つが、ストーリーは全然知らなかったんですが、題名を見た時に、手紙のやりとりがある話なのかと想像しました。自分も友達と文通をしていたことがあったので、親近感がわくというか、いい話なんだろうと思って選びました。

──「ポスティーノ」の意味は「ポストマン」ですね。実際に見てどうでしたか?

すごくゆったりとした時間が流れていて、癒されました。定期的に見たくなる作品ですね。

──チャット欄で他にも感想や質問をいただいています。「温かい気持ちになれそうな映画だと感じました。詩をテーマにした作品というのも珍しい気がします」。それから「この作品が百鑑リストに選ばれた理由はなんだと思いますか?」という質問があります。

この映画、実はオリジナル版とディレクターズ・カット版が二つ存在していて、オリジナル版の方で、マリオが詩の根本に迫るようなことを言って、詩人が驚くようなシーンがあるんです。詩のあり方を感じさせられる映画ですから、言葉に関心のある言語芸術学科の人にはぜひ見てほしい作品だと思います。

── なるほど。まさに、この映画は「詩の力」を描いています。言葉をとても大事にしている作品です。だからこそ百鑑リストにも選ばれたのかもしれません。それからアコーディオンの曲が出てくるという話がありましたが、特に音楽と場面がマッチしていた印象的な場面はありましたか?

マリオが一人でもの思いに耽りながら考え事をしているシーンがあるんですけど、詩を考えるときに、さりげなく流れてくる音楽がシーンとすごくマッチしていて、いいなと思いました。

──「温かい気持ちになれそう」という感想もありました。音楽の効果は大きいですね。これはイタリアの映画ですが、ふだんイタリアの映画作品などを見ることはありますか?

いや、全然見たことがなかったです。イタリアの言葉もおしゃれだし、景色もすごく綺麗で、見られてよかったと思いました。

──前回、別の受講生が発表してくれた『ニュー・シネマ・パラダイス』ともつながる作品だと思います。同じキャストも出演しています。どちらも牧歌的ですが泣かせます。皆さん英語圏や日本の映画をよく見ると思いますが、それ以外の言語圏にもたくさん面白い映画はあるので、ぜひ開拓してください。ありがとうございました。

 場面や演出の効果、作品のもつ魅力についてあれこれ語り合えるのも言語芸術学科の良いところです。

 学生の受け答えから、日頃の取り組みが伝われば嬉しいです。