国際キャリア学科３年生を対象とする「Current Business」（担当：山口）は、世界とつながるビジネスの第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。
 
今年度の第二回の講義では、就職先として学生たちの関心が高く、卒業した国際キャリア学科一期生、二期生も多く就職している旅行業界から、長年にわたり日本通運の海外旅行部門で活躍され、現在は旅行会社ハル・トラベルを経営されている古賀勇代表取締役を講師にお招きしました。

古賀社長からは、初めにインターネットの普及による新しい形態の代理店の台頭、航空機の小型化などに伴う団体旅行の減少、円安による旅行代金の高騰やテロなどによるアウトバウンド型の業者の減少、訪日外国人向けのインバウンド型業者の増加など、旅行業の近年の動きについてご説明いただいたのに続き、①小売販売（JTB、H.I.S.、日本旅行など）、②卸売（ＪＡＬパックなど）、③インハウスエージェント（企業内代理店：トヨタツーリスト、MOツーリストなど）、④ランドオペレーター（海外地上手配業者：ミキツーリスト、ガリバーアソシエイトなど）、⑤ネット系代理店（楽天トラベル、じゃらんなど）、⑥ホテルレップなど、販売属性ごとに旅行会社の業務と昨今の動向について解説いただきました。そのなかで、日本旅行は修学旅行など団体旅行に強い、阪急旅行社はメディア販売に強いなど、主要企業ごとの特徴についてもご紹介いただきました。



続いて、①企画（ツアー・プランニング）、②仕入（ツアー・オペレーター）、③カウンターセールス、④アウトセールス、⑤メディアセールス、⑥予約、発券、斡旋、⑦添乗業務など旅行会社における具体的な仕事とそれぞれに求められる資質について、①企画は様々な制約のなかでお客様が抱かれているイメージを形にする「旅行の花形の仕事」、②仕入はツアーの成功の９割を左右する「プロとしてのテクニックが最も発揮される仕事」、③カウンターセールスは「旅行のコンサルタント的存在」で、接客能力や説明能力が求められるなど、ご自身の長年にわたる実務経験に基づき、豊富な実例をご紹介いただきながら、ご説明いただきました。



講義の後半では、旅行業を含む観光産業の現状と将来性について、ネット販売の拡大と大手の専業化、都市圏ホテルの供給不足と既存の旅館の減少、パンフレットレス化の進展、オーバーツーリズムの弊害など、カレントな話題を織り交ぜながら解説いただきました。そして、旅行業を含めたサービス業に求められる人材は、①人の世話をすることが好きな人、②好奇心が旺盛な人、③トラブルや突発的な事案にも臨機応変にポジティブに対応できる明るい人と述べられ、「旅行業に限らず世の中が大きく変わろうとしています。その変化に柔軟に対応する一方で、何が好きかという自分の軸をぶれずに生きていくことが大切です」「営業に限らず仕事ではただ自分が言いたいことを言うのではなく、自分の人間性を見てもらう気持ちで接してください。聞き上手になってください」など貴重なアドバイスをいただきました。

旅行業界を目指している学生も多く、３０年以上にわたる豊富なキャリアに基づき、イメージしやすい実例を織り交ぜながらわかりやすく解説いただく古賀社長の講義に真剣に聴き入っていました。
 

C.Iさん（４年、エイチ・アイ・エスに内定、長崎県立佐世保南高等学校出身）

H.Gさん（二期生、エイチ・アイ・エスに勤務、福岡市立福岡女子高等学校出身）

以下は今回の講義を聴講した学生の感想（代表）です。

R.Iさん（福岡県立武蔵台高等学校出身）

古賀社長は、旅行業界で求められる人材として①人の世話をすることが好きな人、②人の話をよく聴き、何を求めているか引き出せる人、③好奇心旺盛な人、④一緒にいて楽しく、話題の引き出しをたくさん持っている人、⑤明るい性格で、旅先のトラブルや突発的な事案にも臨機応変に対応できる前向きな人をあげられました。これらは私が第一志望として目指している航空会社の客室乗務員に求められる資質と同じだと思います。こうした人材になれるようこれから意識して、さらに頑張っていきたいです。

Y.Fさん（福岡県立久留米高等学校出身）

ネット系代理店の増加などにより旅行会社の取扱高は減少していますが、他方で古賀社長がおっしゃっていたように旅行をする人はいなくならないので、その旅をサポートする旅行会社の仕事はやはり魅力的だと思います。旅行業に関心を持っていましたので、業界について学び、研究することができる貴重な機会になりました。

M.Fさん（福岡県立香椎高等学校出身）

私は就職先として旅行会社を視野に入れているので、とても興味深く、貴重なお話でした。また、講義の最後に頂いた「自分は何が好きかという軸をぶらさないようにしてください」というアドバイスには古賀社長のお人柄の温かさを感じました。その言葉を胸に就職活動に取り組んでいきたいと思います。

S.Yさん（福岡県立筑紫中央高等学校出身）

旅行業について詳しく学ぶことができました。今後の企業研究に活かしていきたいです。様々な業種のことを調べていくことは仕事選びにも、また卒業後の仕事にも役に立つと思いますので、これを機に他の業界についても先入観を持たずに調べていきたいです。

M.Fさん（福岡市立福翔高等学校出身）

古賀社長が講義の最後に話された「自分の仕事以外の得意分野を持って、引き出しをたくさん持つことが大切」という言葉が心に残りました。私も様々なことに関心を持って、自分の知識と引き出しを増やしていきたいと思います。

E.Uさん（筑紫女学園高等学校出身）

古賀社長は「今までに得た知識や趣味が仕事につながっていることが多い。引き出しを多く持つことが大切」とおっしゃっていました。私もたくさんのことに興味を持って、自分の知識を広げていきたいと思います。自分の軸はしっかりと持って、そこからいろいろな枝を拡げながら、可能性を広げていきたいです。

N.Kさん（九州産業大学付属九州高等学校出身）

旅行業の業界の構造や現状、将来性、講義をしてくださった古賀社長ご自身のご経験、さらには旅行業のみならずどの業界にも当てはまる働くうえで大切なことなど、就職活動を目前にしている私たちにとってたいへん貴重なお話ばかりで、モチベーションの向上につながりました。今年夏、エイチ・アイ・エス様でのインターンシップで学んだことを思い出しながら、さらに学びを深めることができました。貴重な講義をありがとうございました。

E.Sさん（福岡女学院高等学校出身）

変化する社会のなかで旅行。観光業界はどう進んでいくのかなど、興味深いお話が伺えて本当によかったです。人生の岐路や節目に直面した時、今まで経験したことやキャリアをどう活かしていくのか、自分の軸をしっかり持って「自分を振り返って、棚卸する」、この言葉が強く心に残りました。

M.Tさん（れいめい高等学校出身）

古賀先生は日通旅行を退職されて、ハル・トラベルを起業されて、経営されていると聞き、そのような道を歩まれた勇気と努力が素晴らしいと思いました。今後のキャリア形成を考えるに際して、とても貴重な講義でした。ありがとうございました。

I.Mさん（宮崎県立延岡高等学校出身）

旅行業界について深く学べただけでなく、これから就職活動をしていくうえで大切なアドバイスも多くいただけました。特に「自分の軸を持つ」、自分の人生を振り返って「自分の棚卸をする」という言葉が心に残りました。エントリーシートを書き始めて、悩んでいる私にとってとても心に響く講義でした。