国際キャリア学科2年生のK.Sさん(鹿児島県立大島高等学校出身)が福岡県と国連ハビタットが実施している「国際協力リーダー育成プログラム」の最年少団員として選ばれ、この夏にスリランカで行われた研修に参加しました。
以下では国際キャリア学科2年生のさんからの報告を紹介します。
国際協力リーダー育成プログラムに参加して
国際キャリア学科2年 K.S
大学2年生になり、国際協力について学んでいくうちに「国際協力ってどういうことだろう、本当の支援って何だろう」と思うようになりました。そこで実際に現場に行って自分の目で見て経験したいと思い、「国際協力リーダー育成プログラム」に応募し、幸い団員として選んでいただきました。
スリランカの大学生・国連ユースボランティアの方々と
「国際協力リーダー育成プログラム」は福岡県が国連ハビタットの協力のもと進めているもので、事前研修を経て、今年8月30日から9月12日までスリランカでの現地研修に参加しました。事前研修では、3名の先生から自分の考えを再確認する、そして相手の意見を受け入れたうえで新しい考え方を見つける「対話」を学びました。また、国連ハビタットがすべてのプロジェクトの基礎としている「people’s process」についても学びました。
「people’s process」とは、外部の企業に頼んで家などを建ててもらうのではなく、支援される方々自身で建物を建てていくというものです。ただ建てるだけでなく、その過程の中で技術を身に着けるという目的もあります。このお話を聞いたとき、私が考えていた「自立できる支援の在り方」について学べることがたくさんあると思い、とても興味を持ちました。
スリランカでの研修では色々な経験ができました。多くの方々と出会い、話すことで、違う視点から物事を考えることができ、視野が広がったと実感しました。 特に、事前研修で興味のあった「people’s process」のコンセプトのもと行われているコミュニティー・センター建設に一緒に参加した際には考えさせられることが多くありました。
コミュニティー・センターにて、一緒にペインティングした方々と
コミュニティー・センターへ行く前に現地スタッフの方から「people’s process」についての詳しい説明と意見交換をした際に、「教育を受けたくても受けられず、職に就けない人々が、ただ単に建設する技術を身に着けるだけでなく、その過程で交渉の仕方や計算の仕方、仕入れ方なども身に着けることができる」と話されていたことがとても印象的でした。私はみんな当たり前のように計算ができる環境にいたので、日本の「当たり前」がどこでも通用するわけではないのだと実感しました。
スリランカの人たちが教育の大切さを理解していて、次の世代のことや将来のことを考えていることも強く印象付けられました。限られた資金の中で、多く建設されていたのが幼稚園やコミュニティー・センターでした。実際に幼稚園に視察に行った際にも壁には文字の表や動物の名前などのポスターがたくさん張られていました。コミュニティー・センターについても、現地の人たちは「みんなが集まって話せる場所、みんなの意見を保管できる場所が必要」と話されていて、今の日本では話し合う場が少なくなったと思うとともに、対話することの大切さを改めて学びました。
スリランカの大学生と意見交換やワークショップを行う機会もありました。その中で勉強になったことは、たとえ関係のないようなことでもどこかつながる部分があるということです。実際にワークショップで自分の考えを別の考えとつなげて発表していくというものがありました。現地の人たちがどんどん発表する中、なかなか発表できずにいましたが、いざ自分の意見をいったとき、完璧な英語ではありませんでしたが、伝えることができました。そこで、「自分の意見を伝えることが大切なのだ」と思いました。
スリランカの大学生とのワークショップ
支援に携わっている人たちから学んだこともたくさんあります。どの人にも共通して思ったことは、「一緒にやる」という気持ちを常に持っているということです。不便なこともある中で、現地の人とおなじ生活をして、現地の人たちのお話を聞き、その文化を尊重しながら活動していくことは簡単なことではないと思います。「現地の人から学ぶこともたくさんある」という話を聞いたときには、一緒に活動するってこういうことなのかと思いました。
現地のプログラムを通して新しい発見や気づきがたくさんあった中で、私がもっと深く知りたいと興味を持ったことがふたつあります。ひとつは先ほど述べた「people’s process」のように「自立できる支援の在り方」についてです。
もうひとつは「女性の地位・ジェンダー問題」についてです。スリランカではまだまだ女性の地位は低く、私たちの訪れた北部では女の人は働くものではないという意識がありました。そのような環境の中でも、女性が集まり、話し合いをして、女性のための小さな銀行口座を作っているというような活動を見て、もっとジェンダーの問題について知りたい、このような環境を何か変えたいと思いました。
今回のプログラムでは最年少での参加でしたが、たくさんの方々にサポートしてもらい、とても充実したプログラムになりました。このプログラムを通して学んだことをしっかりと活かしていこうと思います。今回、「国際協力リーダー育成プログラム」に参加できたことを心より感謝しています。
JICAスリランカ事務所訪問