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2013.11.11

国際キャリア学部開設記念セミナー質疑応答

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2013年11月2月(土)に国際キャリア学部開設記念セミナー『女性が世界を舞台に活躍する!』を開催いたしました。(詳細
当日は満席となり、ご参加いただいた皆様に深く感謝申し上げます。

セミナー中のパネルディスカッションでは、参加者の皆様から多くの質問をいただきました。
当日は時間が足りずご紹介できなかった質問について、本日は本学の川端清隆教授(元国際連合本部政治局政務官)からの回答をご紹介致します。


【質疑応答】

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基調講演Ⅰ「世界を舞台に夢をかなえる」
川端清隆(元国際連合本部政治局政務官、福岡女学院大学教授)
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20131111_02.jpgQ.理系の学生で英語が苦手ですが、理系の学生に特に求められる国際的な資質があればご教示ください。

A.求められる資質は文系の学生と同じです。特に理系の場合は、世界的な研究発表は英語で行われるのが常識で、そのための英語力の修得は避けては通れません。


Q.国連で働いている方のお話を聞くと、国連のポジションに就かれたことを"たまたま"とか"偶然"とおっしゃる方が多いという印象を受けます。そうした"たまたま"や"偶然"をよびこむには日常の中でどういう準備をすればよいと考えられますか?

A.国連に限らずビジネスなど国際キャリアにおいては、日本のように毎年春に定期採用があるわけではありません。コーチの倉田さんの話でもありましたが、ミッドキャリアでの転職や再教育を繰り返しながら、自分が望むポストが出てくるのを我慢強く待つことになります。国際機関の採用も全く同じで、チャンスは突然やってきます。大事なことは、そのような機会(ポスト)が現れた時のために、早いうちからキャリアデベロプメントの中・長期計画を立てて十分な準備をしておくことです。


Q.医療従事者という方面から国際社会で活躍していきたいと思っているのですが、(医師か薬剤師として)どのような職業で活躍できますか?もしありましたら教えて下さい。現状、日本での医師薬剤師免許は世界で使えない場合が多いです。

A.難民支援などの人道活動で、医師や薬剤師などの専門家の需要は高いです。また、開発途上国の医療に携わる人材の育成のための教育や訓練のための要員も必要とされています。具体的な活動や派遣の実情については、JICAや東京の国連広報オフィスなどに問い合わせてみればいかがですか。


Q.global化というのは競争の激化を生き抜き勝つのではなく「共生化」をめざし、「物」ではなく「精神」の豊さをめざさねばならないのではないでしょうか?この女学院の場合だと、精神の豊かさとはイエスの跡を歩くということが我々のめざす目標ではないでしょうか?先生はキリスト教教育の中でどう「国際キャリア」を教えるのでしょうか?

A.キリスト教のMission(使命感)やService(奉仕)の考えは、そのまま平和活動や人道支援を支える理念につながります。他方、善意だけに頼る活動には限界があります。また、公正な競争は、人間社会の発展のために避けては通れません。国際政治や経済の現実から目を逸らさず、バランスのとれた国際キャリアへの道を学生とともに考えたいと思います。


Q.女学院の卒業生が国連の職員になるには特に何をがんばればいいでしょう?

A.英語力の向上です。国際語としての英語を習得しなければ、国連職員を含めた国際キャリアのスタートラインにつくことはできません。そのうえで、政治や経済など、自分が目指す分野での基礎力と、それを踏み台とした大学院レベルでの専門教育が必要となります。


Q.私の働いている会社は、60人くらいの中小企業です。といっても、親会社は一部上場の企業で、その子会社となっています。(ちなみに製造業です)現在、60人弱いますが、英語ができて文化も違いも分かっていて...というグローバル化に対応出来る人がいません。(親会社にはたくさんいます。)私はその道のトップバッターになりたいと思います。英語や技術の向上以外に、もっと世界で活躍できるようになるには何が大切だと思いますか?

A.とりあえず英語をマスターしましょう。単に英語といっても、発音や文法の話をしているのではなく、例えば英語であなたの会社が持つ技術を説明したり、海外の取引先を交渉したりできるかどうかということです。そのためには、英語での発言力、説得力や問題解決能力が必要となります。頑張ってください。


Q."英語で学ぶ"ためには高度な英語力が必要だと思います。今現在英語力に乏しいと思われる学生徒にはどのような指導をされるのでしょうか?

A.日常的に英語を使うことに慣れることです。そのうえで、討論、発表、質疑応答などを通して実践的な英語力を養う必要があるかと思います。換言すると、英語で考える能力の育成です。その過程で、「高度な英語力」も養われるのではないでしょうか。


Q.国際人として通用する人材育成は必要な事ですが、現状多くの学生は中小企業という大変厳しい経済環境に就職する事となります。そういう厳しい状況の中で戦うには何が必要ですか?

A.先日、関西の財界人とお話をしたのですが、大企業より「大変厳しい経済環境」に直面する中小企業の方がはるかに高い国際感覚を持つようになったそうです。一部のエリートが日本の国際化を主導する時代は終わりました。実践的な英語力と中小企業の持ち味である小回りの良さを「武器」に、日本の国際化を地元の企業が率先して進めるべきかと思います。


Q.現在62才で大企業に勤務し来春退職します。これまでODA案件で東南アジアに2年間派遣された経験があります。来春以降、国際関係ビジネスに携われないかと、就活、模索している昨今です。チャレンジ力、好奇心も旺盛と考えますので何かアドバイスをお願いします。

A.既に十分な職場でのご経験をお持ちのようですので、それを伝える英語力と現地での生活力(すなわち体力)さえあれば、第二のキャリアでの活躍の可能性は広がるのではないでしょうか。


Q.2020年東京オリンピック決定は悦ばしく思いますが、その受け入れ体制が心配です。語学、通訳(世界各国に亘って)の出来る人材を、産・学・官一体となって今から養成していく必要があると思います。組織的にアクションプランを国と地方、個人全体で考えて行く方策はないものでしょうか。

A.英語力向上のための組織的な取り組みの必要は、その通りだと思います。とりわけ、対応の遅い国への依存を低めて、地方や個人のレベルで積極的なアプローチが求められるのではないでしょうか。オリンピックに限らず、「福岡発」の国際化が今ほど求められるときはありません。


Q.グローバルで活躍できる人材の育成に当たり、教育分野におけるIT革命(化)は今度どのように進んでいくのか?
また、世界の教育のIT化はどこまで進んでいるのか教えて頂ければと思います。


A.国境を越えた金、物、人の流れがどんどん活発になってくるかと思います。日本は今まで国境の壁に守られてきましたが、これからはアジアなど世界の国々との競争はますます激しくなります。好むと好まざるにかかわらず、われわれ日本人は内向きの姿勢を改めざるを得ません。
IT革命の発祥地はアメリカで、IT化に対応するためのカギは英語力です。特に、メールなどで使用する短く簡明な文章力の修得が必要となります。


Q.日本人のアイデンティティの一番は何でしょうか?

A.他国、特に中国や韓国などアジアの隣人との付き合いの中で、「日本(人)とは何なのか」を説明できることではないかと思います。


Q.英語が嫌いなのに、どうして上手になられたのですか。

A.「必要は発明の母」といいますが、私の場合は新聞記者になって国際ニュースを書きたかったので、苦い薬を飲むような感覚で無理やり勉強しました。


Q.福岡に住む「私」の国際化。してもいいんだな、していこうという気になりました。

A.がんばってください。応援します。


Q.英語は発音が一番大切では。日本人が日本人の英語の発音でよいと考えるのは傲慢では。

A.英語教育において発音は重要です。一方、国際キャリアにおいては内容がすべてです。両者の間に矛盾はありません。


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パネルディスカッション「世界で活躍する人材となるために、いま何を学ぶべきか」
パネリスト:久保田勇夫氏、倉田浩美氏(コーチ・ジャパン)、川端清隆
モデレーター:細川博文(国際キャリア学部長)

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Q.英語の次に学ぶべき言語といえばやはり中国語でしょうか。今後求められる能力として英語だけじゃ足りない気もしています。

A.とりあえず英語を修得しましょう。第二外国語は、その後で考えても遅くはありません。


Q.国益やバックグラウンドの違う人々が主張し合う中で、問題解決するために、必要となる「考え方の軸」のようなものがあれば教えて下さい。

A.平和活動に欠かせないのは、戦争と平和の問題を自分自身の言葉で語れることです。紛争当事者を説得するためには、教科書や教室での一方通行の勉強を超えて、自分自身の歴史観や価値観を持たねばなりません。


Q.日本人独特の、おくゆかしさ、の様な考えを持って、言いたいことを英語におきかえても、外国人には伝わりにくいと思うのですが、そこらへんは、どう切り替えればよいと思いますか。
A.実際に海外に行って、その地の人たちと生活をともにすれば自然にできるようになります。


※西日本シテイ銀行頭取 久保田勇夫様、本学のOGであるコーチ・ジャパン マーケティング部シニアバイスプレジデント 倉田浩美様宛の質問に関しては、後日ご紹介させていただきます。