国際キャリア学科には、国際キャリア(国際ビジネス)、異文化コミュニケーション、地域研究・国際協力の三つの学びの分野があります。先日はこのうち国際協力について1年生を対象とする「Freshers Seminar」で、国連ハビタット福岡本部の本部長補佐官の星野幸代様をお招きしてご講義いただきました。
星野様は国連と国連ハビタット(国連人間居住計画)の役割、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とこれまでにご自身が携わられてきたプロジェクトを中心にわかりやすくご説明いただき、学生たちに多くの刺激を与えてくださいました。
国連ハビタット(UN-Habitat)はSDGsに向けて持続可能な都市(Sustainable Cities and Communities)を提供することを目標としています。星野様ははじめに人類が直面している課題として、貧困と格差の拡大、自然災害、戦争・地域紛争、気候変動(地球温暖化)、都市化(都市の人口の増加)等をあげられ、その一例としてエチオピアのごみ問題を紹介してくださいました。エチオピアでは高さ50メートル、福岡女学院大学の敷地より広いごみ山に2000人以上が住んでいて、子供たちは学校に行きたくても行けずに、ゴミ山から食べられそうなもの、売れそうなものを探すのが日課であること、世界中にこのような場所がたくさんあることを聞いて、私たちと開発途上国における「現実」「あたりまえ」がいかに異なるかに驚かされました。
続いて、星野様が携わられた様々な国際協力プロジェクトをご紹介いただきました。‟People's Process"と呼ばれる国際協力では、特に最も立場が弱い女性や子供、少数民族に対して、住民が何か求めているのか、何か必要なのか、どうしたら状況を改善できるのか、様々な検討と工夫を通して、現地住民の自立や女性の社会進出を支援しています。ただ、支援を提供するだけでなく、パキスタンでの震災後の現地住民による家づくりやミャンマーでの橋作りの例のように、現地の人々が将来、自分でも対応できるように、知識や技術を移転していけば、本当の意味の自立が可能になることも教えていただきました。
世界で30億人以上は安全な水に恵まれてなく、貧困層の人々は水を得るために穴を掘って水をため、安全ではないことを知りながらも、その水を使うことで乳幼児死亡率が高い状況が続いています。また、水汲みが女性と子供の仕事であるため、子供は学校に行く機会を失い、十分な読み書きができず、その結果、給料を得る仕事につけない、児童婚や早期出産を強いられるなどの問題につながっており、水問題の解決が多くの問題の解決につながることもご紹介いただきました。
国際協力は様々な人々との意志疎通と様々な問題の解決が重要で、決して簡単ではありません。自分の価値観を基準にしないで、現地の価値観や文化を尊重しつつ、できることを探り、粘り強く国際協力に取り組まれてきた星野様の姿勢に感動しました。国際キャリア学科1年生の皆さんはこれからの大学生活を大切にして、将来、自分自身が自立できる人になるだけではなくて、星野様のように世界の人々の役に立てるように努力し続けてください。
参考ソース:
国連ハビタット https://www.fukuoka.unhabitat.org/about/habitat.html
SDGs https://www.un.org/sustainabledevelopment/sustainable-development-goals/
国連ハビタットとのご縁
国際キャリア学科の学生たちは2014年から毎年、国連ハビタットと福岡県国際交流センターが主催する「国際協力リーダー育成プログラム」に積極的に挑戦して、参加してきました。参加した学生はこのプログラムを通して国際協力への理解を深め、大きな成長につながってきました。
【2020年】
(学生の活躍)国際キャリア学科のF.Mさん(福岡県立香椎高等学校出身)が「福岡県国際協力リーダー育成プログラム」の最年少団員に選ばれました!
(学生の活躍)国際キャリア学科2年のF.Mさん(福岡県立香椎高等学校出身)が「福岡県国際協力リーダー育成プログラム」の団員としてミャンマーでの研修に参加しました!
【2019年】
学生の活躍:国際キャリア学科2年のH.Mさん(広島県立福山明王台高等学校出身)が「福岡県国際協力リーダー育成プログラム」の団員としてミャンマーでの研修に参加しました!
学生の活躍:国際キャリア学科2年のA.Nさん(福岡県立筑紫高等学校出身)が「福岡県国際協力リーダー育成プログラム」の団員としてミャンマーでの研修に参加しました!
【2018年】
(学生の活躍)3年生のM.Kさん(福岡県立筑紫高等学校出身)が「福岡県国際協力リーダー育成プログラム」の団員としてミャンマーでの研修に参加しました!
【2017年】
(学生の活躍)福岡県・国連ハビタット「国際協力リーダー育成プログラム」団員としてミャンマーを訪問したA.Aさん(2年、筑紫高等学校出身)からの報告です
(学生の活躍)A.Aさん(筑紫高等学校出身)が「福岡県国際協力リーダー育成プログラム」の最年少団員に選ばれました
【2015年】
以下は受講した学生(代表)の感想(代表)です。
Y. Hさん(中村学園女子高等学校出身)
A. Kさん(佐賀県立致遠館高等学校出身)
星野先生の講義を聞いて、技術を提供するだけでなく、住民同士で話し合う場をつくり、住民自身に責任を担ってもらい、習得した技術を残していくことが国際協力をするうえで大切だと学びました。当たり前のように安心して暮らせているという幸せを世界中の人にも感じてもらうために、私も学生の間に国際協力を経験したいと思います。
K. Yさん(長崎県立長崎南高等学校出身)
自然災害や紛争で大きな被害を受け、精神的にも傷を負った被害者のために、家を建てる際に色や素材などを住民自身が選び、住みたいと思える家に住めるようにするなど、被害者の気持ちに寄り添った支援活動をされていることが素敵だと思いました。
A. Yさん(長崎県立長崎北陽台高等学校出身)
今回の講義はとても衝撃的で、ありがたいお話でした。私が当たり前と思っている日常がいかに恵まれたことなのか実感しました。国連ハビタットの方々のように私もいつか誰かを笑顔にできるような仕事に就きたいと思います。
R. Kさん(宮崎県立宮崎西高等学校出身)
今回の講義で「住民を中心に置く復興プロセス」に取り組まれているというお話が特に印象に残りました。住民自らが関わることで技術が人々に残り、その後の生活でも活かせるということは素晴らしいことだと思います。女性でも意見を言いやすい場を設けるなど、女性の社会進出にも積極的に取り組まれていることが印象的でした。
R. Tさん(佐賀県立伊万里高等学校出身)
国連ハビタットの活動や途上国の現状など、貴重なお話を聴くことができました。貧困で苦しんでいる国の生活を豊かにしようと活動されてる姿に感動し、自分達も貧困などの問題についてしっかりと知っていかなければならないと思いました。
N. Nさん (福岡市立福岡女子高等学校出身)
星野先生の講義を受けて、国際協力分野のお仕事に一層、魅力を感じました。国連ハビタット福岡本部は全ての人に適切な住まいを提供するため、アジア太平洋地域を中心に自然災害や戦争・紛争の後の復興活動などを行っています。被災者の人達が自身で家を建て直したり、復興作業に関わることができる機会を与えていることがとても良いと思いました。技術が身につき、他の機会にもそれを活かしていくことができるからです。開発途上国には様々な問題がありますが、星野先生は「一つの課題が解決されれば他の課題も解決されていく」と話されていて、希望を感じました。私も開発途上国の課題解決に向けたプロジェクトに参加し、現地の人達と共にそれを解決していきたいです。
K. Hさん(福岡県立福岡中央高等学校出身)
今回の講義を聴いて、SDGsについて改めて深く考えることができました。貧困や自然災害によって十分な医療や教育が受けられない人を少しでも支援するためにその土地の伝統を守りつつ、話し合いの機会を提供する活動をみて、自分にできる取り組みは何か考えるきっかけになりました。「自ら率先して行う」という言葉がとても印象的でした。これからの大学生活で自ら積極的に行動を起こし、様々なことに挑戦していこうと思います。
M. Iさん(福岡県立田川高等学校出身)
国連ハビタットの活動を深く知ることができ、とても大事なことをたくさん学びました。私が普通に暮らせているのは決して当たり前なことではなく、世界には今も苦しんでいる人がたくさんいます。そんな人たちのために行動されている星野先生を尊敬しました。私自身も自分にできることを探していきたいと思います。
Y. Mさん(福岡県立武蔵台高等学校出身)
私がまず今回の講義で驚いたことは、在学している福岡女学院の敷地よりもたくさんのゴミ山が開発途上国の地域に散在していることです。SDGsの一つの目標でもある「住み続けられるまちづくり」を達成するために国連ハビタットの方々は開発途上国の各地に出向き、複合的な問題を抱えている住民の方々を手助けしていると聞き、感銘を受けました。今後、同じ問題が起こっても住民自身で対処できるように“People's Process”を掲げ住民の方々を中心とした取り組みをされたり、女性だけを招集して発言できる場を設けたりと、たくさんの工夫を凝らされていることを知りました。星野先生に教えていただいたように、私たち学生はまずこのような状況を少しでも知り、深く追求していくことが重要であると思いました。