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2017.01.15

心理学科

テーマコラム 心理学科での学生の「成長」第4回 その授業で何するの?成長のためのカリキュラム

 テーマコラムでは、「心理学科での学生の成長」という同じテーマのもと、学科の教員がコラムを執筆して意見や考えを発信しています(注1)。第4回は、認知心理学を専門とする分部先生のコラムをお届けします。心理学科で受講できる科目やそのつながりについて、新しい気づきを得ることができると思います。どうぞご一読ください。
 
  注1)過去のテーマコラムはこちら 第1回 第2回 第3回
 

テーマコラム 心理学科での学生の「成長」
第4回 その授業で何するの?成長のためのカリキュラム
 
 本学HP内にカリキュラムの紹介(こちら)がありますので、一度ご覧ください。「社会心理学」「心理療法基礎実習」「フィールドワーク」など、心理学科でしか受講できない科目が種々用意されています。
 では、なぜその科目が心理学科では用意されており、しかもその学年で学ぶようにされているのでしょうか?その答えはずばり、「学生が成長の階段を一段ずつ上がっていけるように」です。
 例えば2年次のところを見ると、「心理学実験」や「心理統計」などの科目が目に入ります。これらは、心理学の研究を自分で実際に行ったり、そこで得られたデータを解析したりする力を養うための科目です。この力は、3年次以降に卒業論文に向けて心理学の研究を行うためにも、さらには大学卒業後に会社などでデータを収集・解析したり批判的に検討したりするためにも、絶対に欠かせないものです。その習得に向け、心理学科では「心理学実験」や「心理統計」などの科目が準備されているわけです。
 とは言え、「心理学実験」や「心理統計」で扱う数理関係は学生たちの拒絶反応が小さくないことも事実。そこで、さらにその前の1年次に受講する「心理学概論」では、実際の研究結果(図表など)を読み解きながら心理学の知識を学びます。これにより、学生たちが心理学の数理的な面に少しずつ慣れるようにされています。
 このように心理学科の全ての科目は、実は学生が着実に成長できるようにこっそり設計してあります。1年次では図表を見ただけで嫌悪感を示していた学生たちが、3年次にもなれば自分で研究計画を立て、実験を行い、データを解析し、さらには他大学の大学院生や大学教員に混ざって学会発表するようになる姿を見ると、そうなるように設計されているとは言え、いつの間にか多くの階段を上がっていたことを痛感します。
 
 では、学生たちは心理学科で得られる成長についてどう捉えているのでしょうか?ゼミ生の一人であるM.H.さん(久留米信愛女学院高等学校出身)に、考えを寄せてもらいました。M.H.さん、ありがとうございました!!
(担当:分部)
 
 
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女学院の池にいる鴨のヒナ ―学生の癒しでもあり象徴でもあり―
 
 私が心理学科で得られた一番の成長は、自分を客観的に見る力です。
 高校の頃まで、私は自分ができないことを「できない」と認めることができませんでした。私が「できない」と言わないため周りも先に進んでしまい、できないことはさらにできなくなるという悪循環でした。
 大学1年生になり、『認知心理学』という授業で自分の認知(文責者註:知っていることや考えていること)を認知する「メタ認知」を知りました。そのときはあまり気に留めませんでしたが、私自身の考え方が変わり、成長するきっかけになりました。
 その後で履修した『心理統計基礎』という授業で、エクセルを使って標準偏差や偏差値を計算する課題がありました。私は説明されたエクセルのやり方が何も理解できませんでした。高校の頃であれば誰にも相談せず、解決できないまま終わっていたと思いますが、このときは1年で習ったメタ認知を何となく思い出し、自分ができないことは「自分はできていない」と素直に認めようと思いました。そして、自分ができないこと、助けが必要であることを素直に友人に伝えたところ、マンツーマンで教えてもらうことができ、エクセルも使えるようになりました。
 このときに私ができるようになったことはエクセルの表計算で、技術としてはとても小さなことです。しかし自分の現状を素直に認めることで、私はできないことを一つ克服し、自分を成長させることができたと思っています。また、できなかった自分ができるようになったことで自信がつき、できないことにも逃げずに向き合えるようになったと感じています。
 心理学科で自分を客観的に見ることがどのようなものかを学んだことで、自分自身に向き合うきっかけになり、成長に繋がったと感じています。
(M.H.さん:久留米信愛女学院高等学校出身)