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2024.02.28

メディア・コミュニケーション学科

海軍航空基地があった鹿屋を訪ねて知ったこと

2021年7月30日のブログに書いたように、福岡女学院と帰還特攻兵を収容した施設である「振武寮」とのつながりを知ったことで、あまり伝えられていない特別攻撃(特攻)についての調査をここ数年は続けています。今回は、かつて海軍航空基地のあった鹿児島県鹿屋市でのフィールドワークのなかで印象に残った話を紹介します。

戦跡を案内してくださる平和ガイドの方との打ち合わせの際にまず聞かされたのが、高等女学校学徒通信隊の話でした。鹿屋基地では、鹿屋と高山、志布志、末吉の女学校の生徒たち合わせて100名が、各基地への電話連絡などの任務を24時間3交替で行っていたそうです。

「ヒト マル マル マル マルダイ ハッシン」。これは、「午前10:00 丸大 発進せよ」という意味です。「マルダイ 」とは「桜花」のことで、発案者の大田正一に因んでこのように呼ばれていたそうです。「桜花」とは特攻兵器の一つです。頭部に1200キロ爆弾を搭載し、搭乗席の後ろに小型ロケットエンジンをつけた人間爆弾です。母機から放され、高度を下げたところでロケットを噴射して敵艦船に突入していきます。鹿屋では55基の「桜花」が出撃しています。

電話でこれを基地に連絡した女学校生は、戦後になってからもそれを忘れられずにいたのでしょう。図らずも特攻作戦に関わってしまったと知った彼女たちは、平静ではいられなかったのではないでしょうか。敗戦間際に兵器づくりに従事させられていた福岡女学校の生徒たちの姿と重なってきます(こちらを参照)。下の写真は、彼女たちが働いていた場所とは異なりますが、鹿屋基地の近くにあった串良基地の電信室内を写したものです。

誰しもがこのような思いをしないですむような世の中にするにはどうしたらよいのか、記憶をつないでいくための研究をこれからも続けていきたいと思います。

(池田理知子)