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2023.02.27

メディア・コミュニケーション学科

授業紹介:北九州の戦争遺跡を訪ねるフィールドワーク(「国内スタディ・ツアー」②)

メディア・コミュニケーション学科では集中講義「国内スタディ・ツアー」を2月の第2週と3週に行いました。
2回目のフィールドワークでは、北九州を訪ねました。
*1回目はこちらをご覧ください。

今回は、北九州平和資料館(2022年8月閉館)元館長の小野逸郎さんと、北九州市若松区に新しい資料館(2023年6月開館予定)を開設しようと準備している小松芳子さんの案内で、北九州市に残された戦争遺跡をたどる旅です。

 

午前中に訪れた「北九州平和のまちミュージアム」。そこに展示されている「風船爆弾」の模型。
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午前中は「北九州平和のまちミュージアム」を訪問し、午後は門司区にある蕪(かぶら)島へ行きました。蕪島は、戦時中に陸軍の水上特別攻撃艇(秘匿名マルレ)の基地があった場所です。下の写真にあるような洞窟にマルレが格納されていたそうです。

マルレは重さ250キロの爆弾を積んだボートで、ベニヤ板で作られています。上陸しようとする敵艦に体当たり攻撃を仕掛けるために配備されました。この基地に配属された隊員の多くは宮崎出身の20歳前後の若者だったそうです。

基地内は日中でも薄暗く、波打つ音しか聞こえてきません。学生たちとほとんど歳の変わらない若者は、どんな思いで出撃命令を待っていたのでしょうか。

事前に特攻について学習していた学生も、現地に足を運ぶことでいろいろと感じるものがあったのでしょう。静かに海を見つめていました。

訪問を終えた学生のコメントを紹介します。

小野先生が海で「あれを敵の船だと思って、自分が今から向かうのだと想像してみてください」と言われた時、本当に怖くなりました。戦時下の人たちの気持ちは今の私たちには絶対想像出来ないけれど、少しだけわかったような気がします。特攻隊は最後に叫びながら突っ込むという話を聞いて、「もし自分だったら・・・」と考えるとゾッとしました。あの場所に立ったからこそ考えられたことだと思うので、今日は本当に貴重な体験をしたと思います。(B・Aさん)

 

今日の学習の中で印象に残ったのは、小野先生が「自分自身も立派な軍国少年として育っていた」という体験談である。幼い頃から社会全体が軍国主義の空気のなかで、その世界しか知らない子供であればその状況を疑うことがなかったのは当たり前だったのだろうなと想像できた。そのような社会に飲み込まれないようにするには、外の情報に沢山触れ、多様な価値観や考え方を学ぶことが重要なのではないだろうか。(M・Rさん)

 

小野先生が力強く仰っていた「戦争は二度と起こしてはいけない」という言葉は実際に体験した方だからこそ説得力がありますが、当時を語れる人が少なくなってきている現状があると思います。だからこそ当時の記録や体験者の声をただ残すだけでなく広めたり、繰り返さないための教訓にすることが大事なのだなと感じました。戦争がないことが当たり前の日本になっていますが、何故戦争がない生活を送ることが出来るのか、今に至るまでにどのような過去があったのかをこれからの子どもたちに伝えていく必要性を強く感じました。(I・Aさん)

 

「国のために命を捨てること」が当たり前だった当時、死を目前にしながらも本心を誰にも明かすことなく消えた多くの命がありました。残されたものだけに目を向けるのではなく、残されなかったものにまで想像力を働かせる必要があるはずです。そして、私たちが戦争について学ぶとき、日本という国の枠を外して、一人の人間として戦争の歴史を見つめなければならないと改めて感じました。

小野さん、小松さん、本当にありがとうございました。
新しい資料館でまたお話を聞かせてください。

北九州平和資料館のブログで今回のフィールドワークが紹介されています。こちらより是非ご覧ください。

(学科Today編集担当)