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2022.09.08

現代文化学科

【研修旅行】世界遺産と観光を学ぶフィールドワーク Day3 活動報告

 「世界遺産と観光」をテーマに現地研修を行う今年の「フィールドワーク現代文化(日本)」。最終日となる3日目は長崎市内の2つの世界遺産「明治日本の産業革命遺産」「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」をめぐります!!
 まず午前中は「軍艦島クルーズ」に参加しました。「明治日本の産業革命遺産」は、鎖国状態にあった日本において非西洋地域で初めて、西洋先進諸国からの積極的な技術導入によっ​て約50年間という短期間で飛躍的な経済的発展を成し遂げた産業遺産群は、その歴史上の重要な段階を物語る優れた科学技術の集合体であることが評価されて、2015年に世界文化遺産に登録されました。クルーズではその構成資産である「端島(通称:軍艦島)」「高島」を解説を聞きながら巡りました!!
 長崎半島の西沖合に位置する高島は外国資本と外国技術が我が国で初めて導入された炭坑で、現在も竪坑をはじめ周辺に蒸気機関の痕跡とみられる遺構が地中に良好に残存していることから近代的炭坑技術初期の姿を伝える代表的な遺跡として世界遺産に登録されています。ここでは炭鉱の歴史や軍艦島の模型を用いた解説をお聞きしました!

 そして「端島(通称:軍艦島)」を訪れました。1810年頃に端島で石炭が発見され、1890年に三菱社が島全体と鉱区の権利を買い取り、本格的に石炭の発掘が開始された端島炭鉱は、とても良質な石炭が採掘できたこともあり隣接する高島炭鉱とともに日本の近代化を支えてきた場所でした。石炭出炭量の増加に比例するように島は急成長を遂げ、1960年には5,267人が住んでいたとされており、当時の人口密度は東京人口密度の9倍以上とも言われ、世界一の人口密度を誇ったとされています。
 しかしながら、1974年1月15日に閉山、この年の4月20日に全ての住民が島から離れ、軍艦島は無人島となって以後、様々なメディアで登場するなかで ”廃墟の島”のような表現がされていますが、ガイドの解説のなかで強調されていたのは「当時の日本の最先端の技術や名残が島全体が繁栄当時のまま残っている」ことこそがこの島の魅力であり、その姿を見て欲しいという点であり、私たちがメディア等で抱いていた軍艦島のイメージとは異なる点が多々ありました。
 いつ崩落してもおかしくない状況にある軍艦島ですが、台風接近のため上陸することはできませんでしたがこの目でその実相を見ることができた貴重な機会となりました。

 昼食は横浜、神戸と並ぶ中華街・長崎新地中華街へ!この場所は江戸時代中期に中国からの貿易品の倉庫を建てるために、海を埋め立ててできた街です!!絶品の中華料理店や中国菓子等に舌鼓!!お腹も心も満たされました!!

 午後からは長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の構成資産の1つ「大浦天主堂」を訪れました。大浦天主堂は日本に現存するキリスト教建築物としては最古の教会堂で、約250年の長きにわたり、長崎地方に潜伏し、信仰を守り続けてきたキリシタンの存在が明らかになった世界宗教史上の奇跡とも称された「信徒発見」の舞台となったこの場所で、これまで事前授業で学び、現地研修で自身の目で見て感じてきた長崎のキリスト教の歴史の足跡を改めて感じました。

 最後に訪れたのは「グラバー園」!世界文化遺産の「旧グラバー住宅」で有名な冒険商人トーマス・グラバーをはじめ居留地時代から残る外国人の住宅と長崎市内に点在していた洋館が集まるこの場所で、幕末から明治の長崎の歴史を感じました!
 3日間の研修を通して、長崎の魅力のみならず普段大学の授業だけでは体感できない歴史の裏側や地域の人々の思いに直接触れることができる充実した研修になりました!!

☆フィールドワーク現代文化(日本)に参加した学生の感想を一部ご紹介☆

・このフィールドワークを通して、普段はほとんど関わることのないキリスト教や原爆について丸三日間勉強してきました。小学生の時に修学旅行で長崎を訪れたことがありますが、その時とは違った視点で見ることができました。三日間で多くの教会を訪れ、現地の方から様々な話を聞いてきました。その中でも特に印象に残っているのが、原爆資料館と軍艦島クルーズです。小学生の時とは違って、今回は原爆資料館を隅々までじっくり見ました。私はその中にあった被爆した方たちが描いた絵を見て、涙が出そうになりました。当時3歳4歳の小さな子どもの記憶に鮮明に焼き付いているということ、まだ赤ちゃんと言ってもよい年齢で一生分の恐怖を味わったということに衝撃を受けました。一瞬にして今までの日常生活を奪うだけではなく、尊い命をも奪う原爆の恐ろしさを絵から感じ取ることができました。日本は被爆国であること、私たちが受け継いでいくべき歴史のひとつであること、何よりも戦争のない世界が一番であることを改めて実感しました。

・長崎には異国の文化や聖地が多くあり、忘れてはいけない原爆被害など物凄く魅力的な場所でした。これらと観光の結びつきは密接ではありますが、そこに関わるメリットとデメリットを理解するべきだと感じました。ただただ「すごい!」や「感動した!」ではなく、そこに秘められた思いや、経緯を汲み取る必要があると思いました。世界遺産登録と観光のあり方、地域の人たちの思いを知る物凄く良い経験になりました。

・この研修を通して、事前学習で学んだことよりももっと深くキリスト教や長崎の原爆からの復興、観光事業など様々な事を学びました。また現地の人のお話を伺う事で、観光には暗い面もあると知りました。特に軍艦島でのお話では、自分達が伝えたいことをいくらアピールしてもメディアはそれ以外の暗い面を報道するとおっしゃっており、メディアの報道を全てを鵜呑みにしてはいけないと改めて思いました。これから、観光について学ぶ上でダークツーリズムへの配慮や観光倫理などを忘れないようにしたいです。

※掲載された写真は撮影時のみマスクを外しています