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2022.09.08

現代文化学科

【研修旅行】世界遺産と観光を学ぶフィールドワーク Day2 活動報告

 「世界遺産と観光」をテーマに現地研修を行う今年の「フィールドワーク現代文化(日本)」。2日目は長崎県外海地方・浦上地区をめぐります!!
 外海地区は遠藤周作の代表作『沈黙』に登場する架空の「トモギ村」のモデルの一つとも言われ、禁教期に小規模な潜伏キリシタンの信仰組織が聖画や教義書、教会暦などを密かに伝承し、自分たち自身で信仰を続けた集落です!外海は大村城下から遠方に位置していたこと、また出津や黒崎などは比較的寛容な佐賀藩の飛び地も混じっていたため、多くの潜伏キリシタンが存在したとも言われています。キリスト教解禁後は、段階的にカトリックへ復帰する立場をとる者と禁教期の信仰形態を継続するカクレキリシタンの立場に分かれたとされています。
 2日目の最初に訪れたのは「ド・ロ神父記念館」!フランスから来日し、1879年に外海地区の主任司祭となった宣教師マルコ・マリー・ド・ロ神父が「陸の孤島」と呼ばれ、田畑にも恵まれない貧しい自然環境のなか、長期のキリシタン弾圧にも耐えながら、信仰だけを頼りに貧しい暮らしをしていた外海の人々のために力を注いでこられた功績を見学しました。
 続いて訪れたのは「旧出津救助院」!ド・ロ神父が女性の自立支援のための作業場として1883年に建設し、織物、縫物、素麺などの食品加工などをおこなった施設を見学しました。シスターさんからド・ロ神父が出津集落のために施されてきた功績や歴史をお聞きするとともに、ド・ロ神父がフランスから取り寄せたデュモン社製のオルガン(ハルモニュウム)を演奏頂き、その美しい音色に魅了されました。
 そして世界文化遺産に登録された「出津教会堂」を訪れました!出津教会堂はド・ロ神父自ら設計し1882年に建設した教会堂で、出津集落の人々にとって信仰の拠り所として大切に守られてきた場所です。ここでは自らもカトリック信徒であり、外海の潜伏キリシタンの末裔である教会守の方から教会内で出津教会や外海地区の歴史を聞きしただけでなく、世界遺産登録後の地域の変化やその思いについてお聞きすることができました。
 続いて訪れたのは「黒崎教会」!1897年にド・ロ神父の指導で敷地が造成され、1920年に完成した教会で、信徒が奉仕と犠牲の結晶として一つひとつ積み上げたレンガで造られた場所です。堂内の見学ができ、印象的なリブ・ヴォールト天井やステンドグラスの美しさにみんなでうっとり!!!
 午後からは浦上地区で平和学習を行いました!1945年8月9日午前11時2分に投下された原子爆弾によって浦上地区は第二の被爆都市となりました。その被爆の実相を学ぶべく、「長崎原爆資料館」を見学しました。
 続いて「爆心地公園」「平和公園」を見学しました。実際に見学をしながら原子野からの復興のプロセスやそこに観光がどのように関わるのか、そして被爆者や遺族の思いなどを考えていくなかで、私たちが抱くイメージや歴史の裏側にまでまなざしを向ける重要性を実感しました。
 平和学習の最後に訪れたのは「浦上天主堂」!当時「東洋一の大カテドラル」と言われた浦上天主堂も、原爆によって崩壊し、現在は再建され平和発信の記号を担っています。実際に堂内を見学し、その教会の美しさのみならず堂内に安置されている「被爆マリア像」を見つけながら、改めて平和の尊さを実感しました。
 戦跡や災害被災地など、死・暴力・虐待などの悲劇にまつわる場所を訪問する観光をダークツーリズムと呼びます。本来このような「人類の悲しみの記憶を巡る旅」は慰霊顕彰をすることが目的です。しかし、戦争体験の風化が進んでいくなかでその記憶が継承されにくくなっている現状のなかで、こうした場所でさえも観光化の動きが進んでいます。ただ、これらの場所はただの観光地ではありません!そうした場所の記憶を確かなものにするために重要な意義をもつのがダークツーリズムであり、「記憶の継承」こそが現代を生きる私たちの使命であることを改めて実感する機会となりました。
 そして2日目の最後に訪れたのは「稲佐山展望台」!2021年に開催された一般社団法人 夜景観光コンベンション・ビューロー主催の夜景サミットにおいて、「モナコ」「上海」と並んで、「世界新三大夜景」に選出された「稲佐山」!!1000万ドルの夜景とも称される長崎の夜景に全員が心奪われました!!!
 フィールドワーク2日目も充実した研修となりました。最終日の3日目は長崎市の2つの世界遺産をめぐります!!!

※掲載された写真は撮影時のみマスクを外しています