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2020.12.08

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」⑥製造業:ヤマハ発動機提携講義Ⅰ-人事部企画グループの川口さやか様による講義

国際キャリア学科では、グローバル企業と提携したプログラムとして、2017年度からヤマハ発動機株式会社との提携講義を実施しています。昨年度は、国際キャリア学科1年生を対象とする「フレッシャーズ・セミナー」と同3年生を対象とする「Japanese Industry:日本産業論」の合同授業として、同社の柳弘之代表取締役会長による特別講義を開催しました。 

柳会長による特別講義(2019年)

今年度は国際キャリア学科3年生以上を対象とする「Current Business」で、同社で活躍されている女性社員の方による講義をシリーズで開催しました。第一回講義には、人事部企画グループで女性の活躍を推進するための業務に従事されている川口さやか様をお招きし、オンラインで講義をしていただきました。

横浜の女子校で中高6年間を過ごされた川口様は東京の大学に進学し、学生時代は専攻していた民俗学の勉強と塾講師のアルバイト、そして趣味のオートバイに打ち込む4年間を過ごされました。就職活動では当初はアルバイトで経験のある進学塾を考えられていたものの、「仕事を長く続けたい。ライフイベントで仕事を諦めたくない」という気持ちから趣味であったオートバイに関わる企業のなかで女性が長く働ける環境が整っている企業を調べていった結果、ヤマハ発動機と出会われました。講義では初めにこうしたご自身の入社の経緯についてご紹介いただくとともに、売り上げの約90%を海外が占め、常時500人の社員が海外50の拠点に駐在している日本を代表するグローバル企業であるヤマハ発動機の概要についてもご説明いただきました。

続いて、ご自身が入社後、配属され、昨年まで担当されてきた調達バイヤーのお仕事でのご経験を、横軸に年度ごとの担当されたお仕事を、縦軸にその時のご自身のお気持ちの上がり下がりを書いた図を示しながら解説いただきました。趣味であるオートバイに関わる仕事に就きたいと思い入社された川口様でしたが、配属されたのは部品を調達する部署でエンジン内の電装部品を調達する業務に従事されます。しかも、入社翌年に起こったリーマンショックに伴う世界的な金融危機によりヤマハ発動機の業績も悪化、生産台数の減少に伴って大きく塗り替る発注レイアウトの実現を、既存取引に影響なく実施するという難題を任されることになりました。

ご苦労されながらもこの難題をこなして「もしかしたらこの仕事、面白いかも」と思われるようになった川口様に次は部品のコスト構造を分析し、最適価格で購入するという課題が課されます。この時はグループ企業の工場に入り浸って、目をつぶってでも歩けるくらい生産現場を調べ、エクセル上に仮想の工場を作り上げて、コスト構造を解析されました。この時の経験から「本当に必要な情報はネットには載っていない。現場で生の情報を手に入れる必要がある」「どんな難題でもやらねばならぬ時もある。目の前のことに全力で取り組む」ことを学ばれました。

続いてメーターのデジタル化に伴い最適な調達先を提案するという課題もこなされた川口様に転機が訪れます。ご結婚、出産され、育児休業を経て職場に戻ってこられた川口様はサポート業務を担当されることになりました。経験を活かして他のスタッフのサポートをして感謝され、居心地のよい仕事でしたが、「この時、自分はマミートラックを経験していました」と話されます。マミートラックとは出産を終えて仕事に復帰した女性が単調な業務を担当することになり、自然とそこから抜け出せなくなることで、川口様は「育児等の制約のあるなかで難易度が高い仕事に手をあげる自信がなかった」とその時の気持ちを話されました。

 

この状況から救ってくれたのが当時の上司の方で海外と地方の企業からの部品調達の業務を任され、出張などは上司の方が代わりに担当してくださって、無事、この難題もこなされ、昇格のチャンスを掴まれました。ここまでのご自身の歩みを、テクニカルスキル(予算管理、倒産対応、災害対応、経営診断、システム知識、原価知識、設計知識、工程知識、製造知識)、ヒューマンスキル(組織牽引、後輩育成、社内調整、納期調整、価格交渉)、コンセプチュアルスキル(ビジョン策定、調達戦略立案、取引先育成、取引先開拓)という調達バイヤーに求められるスキルのどれをどの段階で得ることができたのかを示しながら解説いただきました。

 

ここで川口様は社内公募に応募して人事部に異動し、女性の活躍推進の仕事に従事されることになります。応募した理由は「入社した時の社会や企業の課題はリーマンショックを経てコストの削減だったが、今は人が集まらない、残業を減らさなければいけないといった働き方や人に関する課題に変わってきている」という認識を持たれたことでした。

そして、講義の最後には「今日、女性は多様な生き方を許されています。同じ生き方をする女性はいません。だから自分らしく働くことはとても難しいです。とても迷います。仕事は1日8時間、最高では50年間あります。楽しく、夢中になれれば最高です。好きなこと、夢中になれることを貪欲に手にしてください」と述べられ、学生たちに縦軸の上に「得意」、下に「苦手」、横軸の右に「好き」、左に「嫌い」と書かれた二つの軸を示しながら「迷ったときはこの二つの軸を思い出してください。好きなことを大事にしてください。軸の右に行けば行くほど、成長できます」「女子校にいることは幸いです。性別に関係のない環境で自分の好きなことに取り組めるからです」とアドバイスいただきました。学生たちは大きな壁に当たってはそれを乗り越え、結婚、出産、育児という女性のライフイベントと仕事を両立させながら成長を続けられてきた川口様の臨場感あふれるお話と同じ女性としての心のこもったアドバイスに真剣に聴き入っている様子でした。以下は聴講した学生の感想(代表)です。

N.Fさん(福岡県立筑紫高等学校出身)

川口様の講義を聴き、自分自身が積み重ねてきた経験や努力は後になって決して裏切らないのだと思いました。お話をされている川口様のお姿からも、とてもお仕事が楽しそうで、ご自身のお仕事にやりがいを感じられていることがとても伝わってきて、素敵でした。私も仕事を楽しいと感じられるようになりたいと強く思いました。

M.Sさん(福岡県立筑前高等学校出身)

川口様のこれまでのキャリアに関するお話を聞き、はじめは抵抗のあった仕事でも、一生懸命向き合って取り組んでいくなかで、やりがいを見つけ、そして会社に貢献できるということは本当に素晴らしいと思いました。お話を聞いて一番印象に残ったことは、川口様が過去の経験について語られる際の表情や話し方がとても活き活きとしていらっしゃったことです。今まで一生懸命にお仕事に取り組んでこられたことが伝わってきました。女性の社会人の先輩としてとても尊敬しましたし、私も将来は川口様のように仕事に信念を持って働き、活き活きとした日々を送りたいと思います。

R.Mさん(福岡県立八女高等学校出身)

今回の講義では、「働くことの楽しさ」を学びました。女性には出産や子育てもあり、会社は女性が働きやすい環境にしていると言っても、実際は少なからず仕事や生活に支障をきたすのだろうと思っていました。しかし、川口様の実体験を聞いて、仕事とプライベートをどちらも楽しめることや、子育てをしながら会社で活躍できることを知りました。お話のなかで特に印象に残っている言葉があります。「女性は多様な生き方を許される」という言葉です。それは、子供がいても仕事で輝くことができるという意味が含まれていると思います。私もプライベートを充実させるだけではなく、自分を常に成長させられるような企業に就職したいと思いました。

A.Sさん(筑紫女学園高等学校出身)

今回のご講義で仕事に対する姿勢について多くのことを学ばせていただきました。家事と子育てをしつつ、お仕事に熱意を持ち、困難を乗りこえられてきた川口様のお姿は私たち女性にとっての憧れの存在だと思いました。講義のなかで特に印象に残ったのは「自分がどうありたいのか考える」というお言葉でした。私も、就職活動を目前にし、自分の好きなことなのか、自分の得意なことなのかどちらに重きを置いたほうがいいのか非常に迷っていました。このお言葉は私にとってとても印象的で、進路を決める大きなキーワードになったと感じました。私もありたい自分やなりたい自分になることを諦めずにいようと思います。また、今回、初めて質問をさせていただいたのですが、緊張していて聞きづらかったかもしれないなかで、わかりやすく、親切にお答えいただき、とても嬉しかったです。今後、チャンスを無駄にしないように積極的に行動していきたいと思います。本当に多くのことを学ばせていただきました。

M.Eさん(福岡工業大学附属城東高等学校出身)

川口様のキャリアを詳しく聞くことでヤマハ発動機という会社にとても興味をもちました。また、川口様が女性としてのライフイベントを経ながらお仕事に向かってこられた姿勢が本当に理想でかっこよく、「こんな素敵な女性になりたい」と思いました。私もできるだけ長く仕事をしたいし、何より楽しんで仕事をしたいので、自分が好きなことを遠慮なく実行できるようなキャリアを歩んでいけたらいいなと思います。そして、どんなに難しい課題を突きつけられてもそれをやり遂げて次に繋げ、その中に楽しみを見出すことを忘れずに仕事をしていきたいと思いました。

C.Iさん(福岡工業大学附属城東高等学校出身)

川口様の講義のなかで「チャンスはいつかやってくるので、自分がどうありたいかを想像することが大切」というお言葉がとても印象に残りました。就職活動のことに限らず、日常生活のなかで自分がどうありたいかを常に考え、目標をもって様々なことに取り組みたいと思いました。このヤマハ発動機提携講義で、やはり私はグローバルな会社で働きたいと改めて感じました。貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

Y.Mさん(佐賀県立鳥栖高等学校出身)

多くの濃い経験をされてきた川口様から講義の最後に私たちへのメッセージをいただきました。「ありたい姿の実現に向かい、どうあれば幸せかを考えて生きましょう」という言葉です。コロナ禍のなか様々なことを見失ってしまうことが多くなった私たちにとって、とても大切なメッセージだと感じました。素敵なお話をいただいて、本当にありがとうございました。

M.Mさん(熊本県立八代高等学校出身)

ヤマハ発動機提携講義で人事部企画グループの川口様の講義をお聞きして、働く女性としての人生のプランを考えることができたように思います。仕事面はもちろんのこと、家庭との両立のお話もとても参考になりました。なかでも「女性は多様な生き方を許されています。同じ生き方、働き方をする女性はいません。だから、自分らしく働くことはとても難しいです。とても迷います。仕事は8時間×50年、楽しく、夢中であれば最高!です。好きなこと、夢中になれることを貪欲に手にしてください」というお言葉がとても心に残りました。私も自分らしく働けるように難しくても努力をし、女性としてしっかり働き、家庭との両立をバランスよくできる自立した人間になりたいと思います。

M.Kさん(宮崎県立宮崎大宮高等学校出身)

今回の講義を通して、ヤマハ発動機についてはもちろんですが、川口様の働かれる姿勢から学ぶと同時に女性の働き方について考え直すことができました。川口様が仕事を楽しむ自信を持たれ、長く続けたい、ライフイベントは諦めたくないという思いでいらっしゃるところに共感しました。女性は男性と比較して、ライフイベントのために仕事を諦める、辞めるという選択をする方が多いです。女性にはタイミングというものがかなり重要になります。そのため、将来を見据えた職選びが必要になってきます。これまではやりたいことを考えることが多く、ありたい姿、どうあると幸せかを考えたことはありませんでした。同じ生き方はないので、自分らしく、好きなことや夢中になれることに打ち込み、最高な人生を作り上げたいと思います。今回はとても刺激的なご講義を本当にありがとうございました。

A.Tさん(ルーテル学院高等学校出身)

講義の最後に川口様からは「好きなこと、夢中になれることを貪欲に手にしていってください」というアドバイスを頂きました。人に言われたからこうしなければいけない、周りの目を気にしてしまうからこうしなければいけないという考えをなくして、自分が本当にやりたいことを見つけて、自分らしく働くことが大切だと感じました。自分が好きなこと、得意なことであれば仕事にやりがいを感じ、働くことが好きになると思います。何事にも受け身になるのではなく、自らチャレンジする姿勢を心がけたいと思います。これから、本格的に就活活動が始まりますが、しっかり自分自身を見つめ直して何に興味があるのか、何をしたいのかを考えながら取り組んで行きたいです。今回は貴重なお時間をさいていただき、ありがとうございました。