国際キャリア学科3年生、4年生を対象とする「International Relations I」(前期)と「International Relations II 」(後期)(担当:千葉)では、私たちの生活と深く繋がっているさまざまな国際問題を学習しています。トピックの例として、人種差別と固定観念、国際協力や途上国支援、先進国での大量消費、とくにファストファッションの陰にある開発途上国での問題、環境破壊と生物多様性の激減、核兵器問題、ファッションと文化などがあげられます。
本科目では、CLIL(Content and Language Integrated Learning, 科目内容と言語学習を統合したアプローチ)を取り入れています。英語教材や補足資料、動画、ドキュメンタリー映画など、多様な教材を使用するほか、専門家を招いての特別講義もあります。また、受講生全員が授業のトピックについて口頭発表をし、学期末には英語でレポートを提出します。さらに、英語語彙力アップのため単語テストも実施しています。
先日の講義では、カンボジアでの緊急医療支援に従事されている佐々木明子様を講師に迎え、プノンペンからオンラインでご講義いただきました。
佐々木様は、NPO法人サイド・バイ・サイド・インターナショナル(SBSI)の職員として2006年に活動を開始されました。当初は国内養護施設への食糧寄付や東京でのホームレス支援などの事業が中心でしたが、その後、カンボジアをはじめ、スリランカ、タンザニア、シベリアなどの被災地支援や貧困者向け物資輸送事業にも取り組んでこられました。2013年からはプノンペンに駐在され、SBSIカンボジア事務所長として活動しておられます。多数の救急車や医療機器、農村部学校向けの教育機器の寄贈・輸送などに携わられ、近年では医療者育成事業にも力を注ぎ、国立病院や各地の州立病院医療者向けの講習会や訓練を実施しておられます。そのほか、日本の大学生のスタディツアーも積極的に受け入れられており、カンボジアの実情を学んだ学生たちがその後、支援の輪に加わっていくという新たなサイクルも生まれています。
今回の講義では、「カンボジアで命を守るー日本の大学生と共に」と題して、カンボジアの状況や行われている支援の内容に加え、日本の大学生たちが現地の状況に戸惑いながらも真摯に学び、貢献している状況も語ってくださいました。受講生たちは、初めて知るカンボジアの現況に衝撃を受け、国際支援のあり方や生き方について大きな刺激を受けました。以下は受講生の感想(抜粋)です。
V.Pさん(いろは日本語学校出身、ベトナム出身)
I was deeply moved by Ms.Sasaki’s lecture, knowing her commitment to working with the NOP and the Red Cross, to provide vital health care support to people of Cambodia. I cannot help but feel overwhelming sense of gratitude for her dedication. Her insight into the challenges Cambodia faces was eye-opening for me. The prevalence of hunger and the lack of education among the local youth, compounded by the lasting effects of wars, left me astonished. Her initiative to teach the local children essential life skills, and the support from Japan in providing medical supplies to address the health care deficiencies are truly heartwarming. The challenges that Cambodia is grappling with underscore the urgency of the situation. I feel proud of Japan’s contribution to this noble cause, which demonstrates the power of international collaboration in the face of 2 adversity.
A.Hさん(福岡県立朝倉高等学校出身)
カンボジアのボルボト政権下での大虐殺について驚きました。罪のない多くの子どもや知識人のほか、眼鏡をかけているだけでも殺され、国民の4分の1が虐殺、病気、飢餓によって死亡したという事実に胸が痛みました。子どもまで兵士として命を捧げねばならなかった悲痛な歴史は絶対に繰り返してはならないと強く思いました。講義のなかで特に印象深かったのは、新生児死亡率が非常に高いため実施されている救命講習会で、現地の母親たちが新生児蘇生法を熱心に習っていることです。私は蘇生方法など全く身につけておらず、「誰かが近くで苦しんでいる」状況に遭遇したこともないため、危機感を感じないのだと自省しました。また、「カンボジア人がカンボジア人を助けること」こそ支援であるとの佐々木様の言葉に納得しました。支援のやり方によっては、受け手側の自己肯定感が下がっていったり、助ける側が「上から目線」になりがちな状況に気づき、自分も心構えを変えるべきだと気づきました。講義を通して、支援の受け手の気持ちを理解し、「支援」の行動だけで満足してはいけないと思いました。これからさらに「支援」の意味を考えていきたいです。
N. Nさん(福岡市立福岡女子高等学校出身)
M.Tさん(福岡女学院大学短期大学部出身、東筑紫学園高等学校出身)
A.Tさん(久留米市立久留米商業高等学校出身)
M.Oさん(長崎県立長崎北陽台高等学校出身)
A.Yさん(長崎県立長崎北陽台高等学校出身)
A.Nさん(福岡女学院高等学校出身)
医療従事者の知識の浅さや専門家不足など、カンボジアが抱える問題を知りました。病院に看護師が少ないため、入院時には家族の負担が大きく、家庭の収入も減り、リハビリも普及していないこと、費用負担の増加を恐れてリハビリしないまま治療をやめる人が多く、完治する患者は少ないなどの現実を知りました。また、カンボジアでは新生児の死亡率が多く、新生児蘇生法の講習会が佐々木様の活動の重要な位置を占めています。出産時の衛生面の問題以外にも、多くの要因があるのでしょう。医療技術を高めるとともに、現地の人々が運営していける長期的計画が必要だと考えました。また、住民たちにとって使いやすい医療機器の開発・普及を助けていくことで、住民自身が人々の役に立つことができ、自己肯定感も上がると思います。途上国の内情を知ることで住民の本当の望みや適正な支援方法が見えてきます。そのためには、互いに信頼関係を築く必要があり、実際に現地に住み、関係を深めていくことが重要なのではと思いました。