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2023.12.17

国際キャリア学科

(授業紹介)「International Relations II」:カンボジアでの緊急医療支援についての特別講義

国際キャリア学科3年生、4年生を対象とする「International Relations I」(前期)と「International Relations II 」(後期)(担当:千葉)では、私たちの生活と深く繋がっているさまざまな国際問題を学習しています。トピックの例として、人種差別と固定観念、国際協力や途上国支援、先進国での大量消費、とくにファストファッションの陰にある開発途上国での問題、環境破壊と生物多様性の激減、核兵器問題、ファッションと文化などがあげられます。


本科目では、CLIL(Content and Language Integrated Learning, 科目内容と言語学習を統合したアプローチ)を取り入れています。英語教材や補足資料、動画、ドキュメンタリー映画など、多様な教材を使用するほか、専門家を招いての特別講義もあります。また、受講生全員が授業のトピックについて口頭発表をし、学期末には英語でレポートを提出します。さらに、英語語彙力アップのため単語テストも実施しています。

先日の講義では、カンボジアでの緊急医療支援に従事されている佐々木明子様を講師に迎え、プノンペンからオンラインでご講義いただきました。

 

佐々木様は、NPO法人サイド・バイ・サイド・インターナショナル(SBSI)の職員として2006年に活動を開始されました。当初は国内養護施設への食糧寄付や東京でのホームレス支援などの事業が中心でしたが、その後、カンボジアをはじめ、スリランカ、タンザニア、シベリアなどの被災地支援や貧困者向け物資輸送事業にも取り組んでこられました。2013年からはプノンペンに駐在され、SBSIカンボジア事務所長として活動しておられます。多数の救急車や医療機器、農村部学校向けの教育機器の寄贈・輸送などに携わられ、近年では医療者育成事業にも力を注ぎ、国立病院や各地の州立病院医療者向けの講習会や訓練を実施しておられます。そのほか、日本の大学生のスタディツアーも積極的に受け入れられており、カンボジアの実情を学んだ学生たちがその後、支援の輪に加わっていくという新たなサイクルも生まれています。


今回の講義では、「カンボジアで命を守るー日本の大学生と共に」と題して、カンボジアの状況や行われている支援の内容に加え、日本の大学生たちが現地の状況に戸惑いながらも真摯に学び、貢献している状況も語ってくださいました。受講生たちは、初めて知るカンボジアの現況に衝撃を受け、国際支援のあり方や生き方について大きな刺激を受けました。以下は受講生の感想(抜粋)です。

V.Pさん(いろは日本語学校出身、ベトナム出身)

I was deeply moved by Ms.Sasaki’s lecture, knowing her commitment to working with the NOP and the Red Cross, to provide vital health care support to people of Cambodia. I cannot help but feel overwhelming sense of gratitude for her dedication. Her insight into the challenges Cambodia faces was eye-opening for me. The prevalence of hunger and the lack of education among the local youth, compounded by the lasting effects of wars, left me astonished. Her initiative to teach the local children essential life skills, and the support from Japan in providing medical supplies to address the health care deficiencies are truly heartwarming. The challenges that Cambodia is grappling with underscore the urgency of the situation. I feel proud of Japan’s contribution to this noble cause, which demonstrates the power of international collaboration in the face of 2 adversity.

A.Hさん(福岡県立朝倉高等学校出身)

カンボジアのボルボト政権下での大虐殺について驚きました。罪のない多くの子どもや知識人のほか、眼鏡をかけているだけでも殺され、国民の4分の1が虐殺、病気、飢餓によって死亡したという事実に胸が痛みました。子どもまで兵士として命を捧げねばならなかった悲痛な歴史は絶対に繰り返してはならないと強く思いました。講義のなかで特に印象深かったのは、新生児死亡率が非常に高いため実施されている救命講習会で、現地の母親たちが新生児蘇生法を熱心に習っていることです。私は蘇生方法など全く身につけておらず、「誰かが近くで苦しんでいる」状況に遭遇したこともないため、危機感を感じないのだと自省しました。また、「カンボジア人がカンボジア人を助けること」こそ支援であるとの佐々木様の言葉に納得しました。支援のやり方によっては、受け手側の自己肯定感が下がっていったり、助ける側が「上から目線」になりがちな状況に気づき、自分も心構えを変えるべきだと気づきました。講義を通して、支援の受け手の気持ちを理解し、「支援」の行動だけで満足してはいけないと思いました。これからさらに「支援」の意味を考えていきたいです。

N. Nさん(福岡市立福岡女子高等学校出身)

カンボジアでは交通事故の頻発や新生児死亡率の高さが主要な社会問題であることなど、これまで知らなかった多くの事実を知ることができました。最も印象深かったのは、水難事故を防ぐための救命講習会です。子供たちが安全に登下校できるための講習会は、現地の人々にとってたいへん価値ある学びの場だと思います。また、「講習会の将来に向けての目的は、カンボジア人がカンボジア人を救い、助けることであり、支援する側は『脇役』」との佐々木様の言葉や姿勢に感銘を受けました。このように利他的精神を大切にして活動をする団体が増えてほしいと思います。貴重なお話をありがとうございました。

M.Tさん(福岡女学院大学短期大学部出身、東筑紫学園高等学校出身)

これまでカンボジアの基本的な事項にさえ理解が不足していましたが、NPOによる支援活動などを通して、日本と深い関わりがあることを知りました。とくに、私たちがふだん何気なく行う支援や寄付は開発途上国の人々の自己肯定感を低くし、心理的負担になりうることを知り、支援の受け手の心のケアの必要性を感じました。また、カンボジアでの劣悪な労働環境など、先進国側の責任もあり、国際的に解決していく必要があると理解しました。そのような状況下でNPOによるさまざまな取り組みがあり、水難事故防止のための救命講習会など、先進国の側の人間が知るべきことが多くあると気づきました。さらには、カンボジアでの貧富の格差が年々増大傾向にあると知り、支援の必要性を感じました。看護師が内臓の位置を知らないなど、現地の医療従事者への教育の遅れのお話からも問題の深刻さを痛感しました。今後も理解を深めていきたいです。佐々木様が現地での活動を通して得られたもの、考え方が変化した点など、さらにお話を聴いてみたいです。

A.Tさん(久留米市立久留米商業高等学校出身)

カンボジアでは都市部が発展する一方で、その他の地域との貧富の格差が広がっていることを知りました。また、交通事故での死亡率が高く、医療が不十分であるため、助かるはずの命が多く失われている現実も知りました。当たり前に救急車を利用し、治療を受けられる日本の状況がどれほど恵まれているかと気づかされました。さらには、医療機器の寄贈や心肺蘇生についての講習会などに日本の大学生も加わり、多くの貢献をしていることは、同じ大学生として感慨深かったです。最後に佐々木様が言われていた「カンボジア人のモチベーションを上げるためには、カンボジアが援助の受け手でいるだけでなく、現地の若者たちが日本など他国の被災者を援助するよう促していくことも大切」との言葉を聞き、寄付やボランティアだけが開発途上国を救うのではないと気づきました。

M.Oさん(長崎県立長崎北陽台高等学校出身)

新たに知ることが多くあり、同時にまだ知らないことだらけだと感じ、無知の怖さを実感しました。基本情報である人口についてもカンボジアでは正確な統計が出せないことや人口ピラミッドが日本とは全く逆で40歳以下が多いことにも驚きました。また、経済格差の大きさ、首都圏には高層ビルもあればスラム街もあることなど、驚きの連続の講義でした。

A.Yさん(長崎県立長崎北陽台高等学校出身)

カンボジアの歴史を知り、心が痛みました。子供も含め無実の人々が虐殺された事実は過酷すぎて言葉を失いました。今もこの世界で同様な虐殺や戦争が起こっていると思うと、本当にやめてほしいと思うばかりです。カンボジアでは経済格差が大きい一方で、日本と逆で若者の人口が多く、将来性があるとのお話もありました。また、安く買えるファストファッションを今まで何も知らずに楽しんでいましたが、その背後には途上国の労働者の貧困や劣悪な労働環境があることを知り、情けなく思いました。そのような事実をより周知させ、酷い状況を終わらせるために私たちに何ができるのか学びたいです。人材育成という根本的な援助活動を進めておられる佐々木様を尊敬します。募金がどう使われているかの不安や活動に加わることの怖さから、私はこれまで支援を行動に移せませんでした。募金の使い道の詳細や活動の安全性をもっと周囲に伝えられれば、活動に関わる人々が急増するのではないかと思いました。深く考えさせられる講義に感謝します。

A.Nさん(福岡女学院高等学校出身)

医療従事者の知識の浅さや専門家不足など、カンボジアが抱える問題を知りました。病院に看護師が少ないため、入院時には家族の負担が大きく、家庭の収入も減り、リハビリも普及していないこと、費用負担の増加を恐れてリハビリしないまま治療をやめる人が多く、完治する患者は少ないなどの現実を知りました。また、カンボジアでは新生児の死亡率が多く、新生児蘇生法の講習会が佐々木様の活動の重要な位置を占めています。出産時の衛生面の問題以外にも、多くの要因があるのでしょう。医療技術を高めるとともに、現地の人々が運営していける長期的計画が必要だと考えました。また、住民たちにとって使いやすい医療機器の開発・普及を助けていくことで、住民自身が人々の役に立つことができ、自己肯定感も上がると思います。途上国の内情を知ることで住民の本当の望みや適正な支援方法が見えてきます。そのためには、互いに信頼関係を築く必要があり、実際に現地に住み、関係を深めていくことが重要なのではと思いました。

N.Nさん(福岡県立田川高等学校出身)

カンボジアについて詳しいことを全く知らなかったので、非常に興味深い内容でした。たとえば米ドルも通貨として使用できることや正確な統計が出せない状況など、基本情報も驚きでした。ポルポト政権下での虐殺には関心があり、以前、映像を見たことがありましたが、講義でより具体的なお話が聞けました。医療体制が整備されていない難しい状況のなかで、支援に携わられている佐々木様を尊敬します。これまで教育やインフラ整備をサポートするボランティアについては聞いたことがありましたが、それ以外のさまざまな面での協力で両国民間の関係も深められていることを知りました。国家間の平和が築かれていく過程で、NPOの方々の貢献が大きいと感じました。日本の大学生を受け入れて、その学びを支援されていることも知り、私も何か力になりたいと思いました。

M.Yさん(長崎県立諫早商業高等学校出身)

カンボジアの基本情報、歴史、環境について多くを学ぶことができました。現在は都市部を中心に開発が進んでいますが、過去には悲惨な虐殺や内戦の歴史があると知り、胸が痛くなりました。罪のない子供や女性でさえもが無差別に過酷な手口で殺され、当時の犠牲者の骨や収容所も残され、人々の記憶の中に一生消えない傷が残っています。トラウマを抱えているだけでなく、ベトナム戦争時の米軍による爆撃や、周囲の人々から距離を置かれる被害者のお話などから、一瞬で多くを破壊する戦争の恐ろしさを痛感しました。最も印象的だったのは、支援をする側とされる側の姿勢についてです。人々のために行なっていた行為が、相手にとってはありがたい反面、自己肯定感を下げてしまう場合があること知り、相手の気持ちを大切にしなければならないことを学びました。この点は私たちの日常生活にも通じることで、自分が良かれと思ってやった行動が相手にとっては辛いかもしれないため、相手が何を求めているのか十分コミュニケーションを取りながら行動するべきだと思いました。貴重なお話をありがとうございました。

A.Mさん(福岡県立朝倉高等学校出身)

カンボジアには開発途上国で貧困に悩まされている国というイメージしかなかったのですが、講義で紹介された動画を見ると、都市部の発展など想像とは違った面もあり、意外でした。一方、悲惨な事実も多く、内戦や虐殺により罪のない人々が拷問・虐殺されていた歴史について学びました。20年ほど前から徐々に平和になってきたものの、今も貧富の格差に悩まされています。日本とは違い、40歳以下が多く、若者のパワーが強いと聞き、そのパワーで状況が改善されることを願います。また、支援の輪に加わっている日本の大学生がいることを知り、私もその一員としてカンボジアの若者たちを支援したいと思いました。

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