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2023.11.13

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」2023年度⑧製造業(輸送機器):ヤマハ発動機提携講義Ⅱ-ヤマハ発動機マリン企画統括部の佐野純様による講義

国際キャリア学科(ICD)では、グローバル企業と提携したプログラムとして、2017年度からヤマハ発動機株式会社様との提携講義を実施しています。その一環として、今年度後期は3年生以上を対象とする「Current Business」で、同社で活躍されている女性社員の方による講義をシリーズで開催しています。先日の提携講義には同社マリン企画統括部から佐野純様をお招きし、これまで携わられてきたお仕事とそれを通して学ばれてきたことなどについてお話しいただきました。

 

佐野様からは初めにご自身の経歴とヤマハ発動機入社の経緯からご紹介いただきました。佐野様は福岡のご出身で、香住丘高等学校をご卒業後、中国の大学に進学して、ビジネス中国語を学ばれました。就職活動に際して佐野様は、価値観(私の大事なこと)、才能(得意なこと)、情熱(私の好きなこと)という三つの円を描き、それらが重なるところがご自身が「本当に自分がやりたいこと」であり、それは「とにかくグローバル、第一線で活躍する海外営業の仕事」と自己分析され、①海外売上高が約9割を占めるグローバルな企業であること、②製品が人の笑顔につながること、③働かれている方が個性派揃いで、温かい社風であることに魅力を感じ、ヤマハ発動機への入社を決められました。

次に入社されてからこれまでのご経歴をその都度のご自身のモチベーションを示したグラフを見せながらご紹介下さいました、佐野様は入社後、工場実習などを経て、兵庫県にある西日本営業所でマリン事業(船舶や船外機など)のソフト営業のお仕事に携わられます。人口の減少や顧客の高齢化などで国内のプレジャーボートの市場は縮小しており、ヤマハ発動機では展開していた会員制のレンタルクラブ「Sea-Style」を通してボートの利用を促進していくことで新たな顧客層を開拓しようと努めていました。佐野様は利用者の方々の声を聞き、プレジャーフィッシングを想定した操船体験会を企画し、開催するなどの事業に取り組まれます。この仕事を通して、佐野様は広報普及業務における効果測定の難しさを痛感されるとともに、お客様視点と現場感覚、信頼関係の構築、そして「面倒くさがられる一歩手前の押しの強さ」の大切さを学ばれました。

入社3年目に佐野様は上海に駐在されることになり、待望の海外営業の機会が訪れます。上海で佐野様は中国で「富二代」と呼ばれる莫大な資産を受け継ぎ、情報リテラシーに優れている顧客層への水上バイクの販売促進を目標とした電子商取引の立ち上げと運営に取り組まれます。この業務では、新しい取り組みに対する周囲の理解を得ることの難しさ、中国人と日本人との仕事への向き合い方の違いなどに直面されるなかで、仕事におけるメンタルの強さの必要性を痛感されました。新しい分野への挑戦にやりがいを感じられていた佐野様でしたか、コロナ禍により駐在半ばで帰国されることになりました。帰国後、佐野様が配属されたのはマリン部門の海外マーケティングで、マレーシア、シンガポール、ブルネイ市場を担当されることになります。

 

この頃から佐野様は「果たして自分がやりたかったことはこれだったのか」という疑問を感じられるようになり、その壁を乗り越えるために、今一度、自らの「ポジティブ・コア=やりがい、価値観」を理解しようと取り組まれます。ここで佐野様は学生たちに①社会人モチベーション・グラフを作ることを通して自身を客観的に俯瞰して捉える、②モチベーションの動きについてその理由を分析する、③自分の価値観を理解するというポジティブ・コアを知るための三つのステップについてわかりやすく解説いただくとともに、当時、影響を受けた『チーズはどこへ消えた?』という書籍についてご紹介下さいました。こうした取り組みを経て、佐野様は「環境はいずれ変化する、過去に固執せず、楽しみながら変化に順応し続ける自分であろう。楽しめるかどうかは自分次第だ」と考えられるようになります。そして、個人のキャリアは偶発的に決定されるもの(※計画的偶発性理論)、どんな仕事にも自身のポジティブ・コアを見いだすことで楽しめると解釈し、経験の振り返りから、自身のポジティブ・コアは「役に立つこと、喜ばれたり、必要とされること」であると気づきを得ます。その結果、現在、配属されているマリン人財統括部ではヤマハ発動機のマリン事業の一層の競争力強化を人材・組織面からリードするお仕事に携わられ、「人材サポートのスペシャリストとして陰に日向に頼られる存在になる」というキャリア目標を見出し、現在、充実した日々を送られています。

 

講義の最後に佐野様は就職活動を控えた学生たちに「言葉はあくまでもツールであり、グローバルに働くということが先行してはいけません。どんな仕事をするかより、どんなことを楽しみながら経験できそうなのかを重視しましょう」「学生時代にはやりたいことに挑戦し、経験してください。ハチャメチャできるのは今です」と熱くアドバイスいただきました。

 

学生たちに寄り添って、自らの経験から導き出したポジティブ・コアの知り方を丁寧に分かりやすく解説いただく佐野様のアドバイスに受講した3年生たちは真剣に聴き入っていていました。以下は聴講した学生の感想(代表)です。

A.Hさん(福岡県立朝倉高等学校出身)

今回の講義で最も心に残ったのは「モチベーションは自分で上げるものである」という言葉です。将来、仕事をしていくなかで、悩むことも多いと思いますが、自分の芯を強く持って、周りに流されないように頑張っていこうと思います。佐野様のお姿を見ていると、とても仕事を楽しみ、誇りを持たれていると感じ、私もぜひこのようになりたいと強く思いました。講義を通して、就職活動に向けた準備をしっかりしておくべきだと改めて思い、将来、後悔しない職業選びが大切だと痛感しました。

E.Mさん(福岡県立小倉南高等学校出身)

ヤマハ発動機の佐野様の講義は改めてこれからの就職活動について真剣に考える、とても貴重な時間となりました。私が特に印象に残っていることは三つあります。一つは、自己分析が大切であるということです。自分はどんな人で、どのようにしたら楽しみながら仕事ができそうなのか、そして何をアピールできるのかなど、自分自身についてよく理解しなければならないことを学びました。二つ目は、メンタルの強さが大切であるということです。これから仕事をしていくなかで、辛いことや大変なことがたくさんあると思います。そこで諦めるのではなく、耐えて乗り越えることができるメンタルの強さが大切であると学びました。仕事を楽しめるかどうかは自分次第であり、他人や環境に左右されないことが重要であると教えていただいたので、たとえ大変なことがあってもそれをプラスに変えていけるようになりたいと思います。三つ目は、学生生活の中でやりたいことに挑戦するべきだということです。残りの学生生活を楽しく、有意義に過ごし、たくさんの経験をし、新しい自分を見つけ、仕事に活かすことができればと思います。今までの私はこれからの就職活動にとても不安がありました。しかし、今回のお話を聞いて、自分がしなければいけないことに気付くことができました。今の自分にできることに全力で取り組み、しっかり就職活動に繋げていこうと思います。そして、自分にあった仕事に就けるように努力したいです。

Y.Oさん(福岡県立筑紫中央高等学校出身)

今回の佐野様の講義で最も印象に残ったことは、「〝好きなこと・得意なこと〟 を仕事で実現させても必ずしも充実するとは限らない」ということです。これから企業研究をしていくなかで、「どんな仕事をするか」ではなく、「どんなことを〝楽しみながら〟経験できそうか」を重視していきたいです。 就職することがゴールではなく、就職してからもそこで常にモチベーションを持ちながら働くことができるのか考えていく必要があると学びました。私も佐野様のように、自分自身で高みを目指していく働き方ができるよう努めたいと思います。

M.Fさん(福岡県立春日高等学校出身)

佐野様からは、「グローバルに働くことが先行していないか」という言葉をいただきました。私は以前から海外に興味があり、グローバルに働きたいという思いを強く持っていましたが、具体的に何をやりたいのかと聞かれると、はっきりと答えることができず、気持ちだけが先行してしまっているのではないかと気が付きました。好きなことや得意なことを仕事にしても本当に充実するのかどうか分からないので、改めて自己分析をして、様々な角度から自分を見つめ直そうと思います。

R.Mさん(福岡県立武蔵台高等学校出身)

今回の講義で最初に強く印象に残ったのは、佐野様の学生時代の自己分析のお話です。「学生佐野の脳内」と題するイラストに価値観(私の大事なこと)、才能(得意なこと)、情熱(私の好きなこと)という三つの円が描かれていて、とても分かりやすく、自分で自己分析する際もこのように図などにして、可視化できるようにすると整理しやすいのではないかと思いました。講義の最後にいただいた「学生時代にはやりたいことに挑戦し、経験してください。ハチャメチャできるのは今です」というアドバイスも心に残りました。会社説明会でもほとんどの企業の方が「学生時代にしかできないことをして、自分の強みとなるものを持っておくのがよい」とおっしゃっています。これから取り組まなければならないことはたくさんありますが、学生生活を楽しむことと頑張ることのメリハリをつけながら、就活生を乗り切りたいです。

M.Sさん(福岡県立宗像高等学校出身)

佐野様はお仕事で厳しい状況にあっても、そこからしっかり学びを得て、次に繋げる努力をされているからこそ、今、高いモチベーションでお仕事に取り組まれているのだろうと思いました。私自身も社会人になった時に希望とは違う部署に配属されたり、業務内容が理想と異なったりなど、様々な要因からモチベーションの低下は起きてしまうと思います。しかし、佐野様が教えて下さったように他人や環境に左右されず、その仕事を楽しむ努力をすることを忘れなければ、きっと良いことがあると思えました。今回、いただいた言葉を社会人になっても忘れないようにしっかり記憶しておきたいです。

A.Kさん(佐賀県立致遠館高等学校出身)

本日の講義で「ポジティブ・コア」という言葉を初めて聞いたので、調べてみました。「人それぞれが持つ、生きること・働くことをポジティブにしていくための原点・核のこと」と書かれていて、このポジティブ・コアを探求することがモチベーション向上に役立つそうです。講義では、自らのポジティブ・コアを知るための方法について学びました。一つは、モチベーション・グラフを作ることです。それにより、過去の自分自身の出来事、体験を振り返り、嬉しい時、悲しい時など、感情が揺れ動いた時の状況やモチベーションの動きを客観的に俯瞰することができると学びました。先週、お話して下さったヤマハ発動機の竹内様もモチベーション・グラフを用いて今までのことを振り返っていらっしゃったので、私もこれまでの人生を振り返ってみようと思います。二つ目は、これまでの仕事について振り返り、モチベーションの動きを理解することです。私は何か経験しても、時間が経つにつれてその出来事をよく思い出せなくなってしまい、モチベーションが変化した理由も分からなくなってしまうので、その日にあった出来事や感じたことはしっかりとメモや日記に残すことが大切だと感じました。三つ目は、経験を通した気づきを知り、自分の価値観を理解することです。佐野様は今までの業務でモチベーションが高い時と低い時を自己分析して、ポジティブ・コアを理解されていました。ポジティブ・コアを理解することは自分の行動の軸として活きてくる大切なことだと学びました。就職活動が始まるこの時期に今までの人生について振り返ることで、自分のやりがいや価値観を大事にしながら企業選びを行うことができるのではないかと思いました。

A.Mさん(熊本県立第一高等学校出身)

今回の講義で自己分析の必要性や重要性について改めて実感することができました。佐野様に教えていただいた「ポジティブ・コア」を大切にし、就職活動に臨んでいこうと思います。

M.Jさん(福岡雙葉高等学校出身)

「グローバルに働くということが先行していませんか」という言葉を聞いた時にはっとしました。海外が好きだから、外国の方と話すことが好きだからという理由だけで、グローバルに働きたいと考えがちでした。言語はツールにしか過ぎないことを忘れてはいけないと強く感じました。自分のポジティブコアを見つけて、その考えを持って今までの自分、そしてこれからの自分のことを熟考し、就職活動に臨もうと思います。今回の講義はたくさんの気づきがあり、その気づきを就職活動だけでなく、その後も忘れずにいようと思います。

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