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2023.07.09

国際キャリア学科

(授業紹介)「Freshers Seminar」2023年度:国連ハビタット福岡本部の星野本部長補佐官による特別講義を開催しました!**VIDEO**

国際キャリア学科 (ICD)では、1年生を対象とした「Freshers Seminar」のなかで、世界とつながる仕事で活躍されている方々による特別講義を開催しています。先日は前期の第2回の特別講義として、国際連合人間居住計画(UN-HABITAT、国連ハビタット)福岡本部の本部長補佐官の星野幸代様をお招きして、国連と国連ハビタットの概要と活動、アジア等の開発途上国が抱えている課題、国連ハビタットが進めている住民中心の復興プロセス「The People’s Process」を中心にご講義いただきました。

 

日本には28の国連機関がありますが、そのうち唯一、九州にあるのが国連ハビタット福岡本部です。国連ハビタットは「すべての人に適切な住まいを提供し、都市のより良き未来のために成立された国連機関」で、SDGsの11番「住み続けられるまちづくり」を担ってています。具体的には、自然災害や戦争・地域紛争の後の住まいの復興やまちづくり、貧困の削減やスラムの改善、都市計画・政策・法律の整備などの支援、気候変動などに対応するための環境プロジェクトに携わっています。

講義のなかで、星野様は開発途上国の都市が抱えている次の五つの問題をあげられました。
1.貧困と格差の拡大

2.自然災害の多さ

3.戦争・地域紛争の多さ

4.気候変動(地球温暖化)の深刻な影響

5.都市の人口の増加(都市化)

特にアジア太平洋地域は自然災害等の発生件数や被害が多く、他地域よりも深刻な問題を抱えていること、こうした諸問題は複合的に絡み合っており、社会において最も弱い立場にいる貧困層の人々、特に女性に重くのしかかっているという現実をアフガニスタンやネパール、ミャンマー、フィリピンなどでの写真を見せながら星野様は解説して下さいました。「貧困と格差の拡大」についてはエチオピアにおけるゴミ山の例を紹介いただき、日本では想像もできないショッキングな「現実」を知ることができました。首都アジスアベバの近郊に30年以上積み上がったゴミ山は福岡女学院大学の敷地よりも広く、多くの人々がゴミ拾いで生計を立てています。その地で育った子供たちは学校に行く機会がないため、読み書きができず、結果的に仕事も得られず、貧困は世代間で連鎖していきます。
こうした開発途上国が抱える課題の解決に向け、国連ハビタットは限られた予算や資材、人材、時間を効率的に活用するため、住民を中心に置く「The People’s Process」の方針を打ち立て、ファシリティターの役割を果たしています。災害等からの復興を行う際には、意思決定、行動、責任はすべて住民を中心に行い、また同じような災害にあった場合には住民コミュニティが対応できるようにしています。「自分の家」と呼べる安心して家族が住める家、住みたい家に住むことが被災者にとってとても大切であるため、被災者が自分で自分の家を建て直すように意識しています。例えば、パキスタンではこうした取り組みによって80万軒を超える住宅が建設されました。 国連ハビタットではまた、女性のエンパワーメントにも力を入れています。伝統的に女性が外で発言することが難しい国・地域では、女性が自由に安心して発言できる場を作るように支援しています。女性が経済的に自立することで、子供たちの教育の機会も増え、貧困が少しずつ改善されていき、様々な課題が次第に解決につながっていきます。

講義の最後に星野様はご自身が支援に携わられたエチオピアのゴミ山で知り合った3人の女性の写真を紹介して下さいました。この3人の女性は初めて学校に行くことで、歌を歌う喜びを知り、英語がより話せるようになり、自分の将来について考え、話すようになったそうです。安心な住まいがあり、安全な水が当然のように飲め、普通に教育を受けるなど、私達にとっては当たり前なことがない国・地域があるという世界の「現実」をこの講義を通して実感することができ、考えさせられることが多くありました。また、その解決に向けた国連ハビタットと星野様の取り組みからも多くのことを学ぶことができました。星野様、お忙しいなか、心を打つ貴重な講義をありがとうございました。

 

以下では、聴講した学生の感想(代表)をご紹介します。

S.Uさん(福岡県立須恵高等学校出身)

星野様の講義を聴き、世界の現状について知ることができました。星野様は主にアジア地域を担当されていますが、アジア地域は戦争や地域紛争、気候変動、地球温暖化による海面上昇、干ばつ、急激な都市化などの様々な影響により、家を失う人が他の地域に比べて多いそうです。お話を聴くなかで、特に驚いたことがありました。それは、国連ハビタットが復興支援を行う際にそこに住む住民自身がどのような街や家にしたいかを決め、責任も住民が負うというかたちで進められていることです。復興を進めていくなかで、住民が責任を持つことはとても大事だと思います。そうすることで、支援が終わってからも住民が自らの力で暮らしていくことができます。また、復興に際して住民自身が作業をすることにより費用が抑えられる、コミュニティに仕事が生まれ、結びつきが強くなるというメリットがあることも分かりました。とても勉強になる講義でした。これからも世界、特に開発途上国の現状を知り、私にできることは何かを考えていきたいと思います。

S. Mさん(福岡県立筑紫中央高等学校出身)

今回、国連ハビタットの星野様の講義を聴いて、世界の現状について深く知ることができました。いかに私たちが住んでいる日本が平和で安全なのかを実感するとともに、食事、教育、医療、住居などが得られない子供たちが世界には多くいることを知りました。大勢の子供が亡くなっているという現実もあり、その原因の多くが安全でない水を飲んだことによります。これらの諸問題を解決するためには、たくさんの労力が必要です。適切な医療機関を設置し、子どもたちに適切な教育を施し、女性や子どもにかかっている負担を取り除き、住民の意見が反映されるまちづくりが必要です。星野様はこれらの問題を解決するために日々、取り組まれていると知り、とても尊敬しました。

K. Mさん(福岡県立小郡高等学校出身)

星野様の講義を聴いて、今まで知らなかった開発途上国が抱える諸問題について知るとともに、その解決策を様々な視点から考えることができました。これから多様な視点から物事を考えていくように心がけていきたいと思います。

S.Aさん(福岡県立鞍手高等学校出身)

星野様の講義は私にとって衝撃的なものでした。なかでも衝撃的だったのは開発途上国の現状です。エチオピアでは、何世代にもわたってゴミ山に住み、そこでゴミを拾って生活している人がいるという状況に度肝を抜かれました。また、水道が整備されていない地域では毎日の水汲みが必要で、女性や子供が一日中、川や井戸と家を何往復もしています。そのため、学校に行くことができず、教育の機会が失われ、それによって職に就けずに貧困が連鎖していきます。私は生まれた時から水道があり、教育施設もあり、当たり前のようにそこに通ってきました。世界には学校に行きたくても行けない人が多くいるということを知り、当たり前だと思えている現状に感謝すべきだと思いました。SDGsに関する説明のなかで星野様は「知る」だけでも目標の達成につながるとおっしゃっていました。今を生きる私たちの日頃のちょっとした行動がSDGsの目標達成につながると思いますので、これからも正しい知識を持てるように学んでいきます。

N.Oさん(福岡県立新宮高等学校出身)

国連ハビタットでは、開発途上国の復興支援のために、住民自身が「住みたいと思える」家づくりを支援したり、女性に対する社会的、伝統的な制約が大きい地域では女性が自由に安心して発言する場を作るなど、様々な取り組みを行われていることを知りました。住民自身が復興に当たることにより、技術が地域コミュニティに残って、仕事を生み、連帯を強くしているそうです。今回の講義を聴き、改めて私たちが恵まれた環境にいること、世界に目を向けると支援を必要としている多くの人がいることが分かりました。

I.Oさん(熊本県立高森高等学校出身)

アジア地域は自然災害が多いうえに、戦争や地域紛争も多く、それらの被害が特に低所得層の人々や女性にのしかかっているということを知り、とても残念に思いました。こうしたなか、国連ハビタットが行っている支援は復興に向けての意思決定や行動、責任を住民自身が担うかたちで進められており、本来の国際協力のあるべき姿とはこのようなものではないかと思いました。

Y.Fさん(長崎県立諫早商業高等学校出身)

講義の最後に星野様がご紹介下さったエチオピアのゴミ山で出会った女性のお話が非常に心に残りました。その女性はゴミ山で生活し、星野様と出会う前には歌を歌うことを知らなかったそうです。学校に行く機会が得られたことで女性は歌を歌うことを知り、今では将来の希望についても語るようになっています。私たちが当たり前のように聞いている音楽も学校に行けない子供達にとっては一生、出会うことのない尊いものであるということに改めて考えさせられました。小中高から学んだことの集大成である大学で学ぶことのできている自分の今に感謝し、将来的には私も星野様のように開発途上国の子供達のためになるような活動ができるような人になりたいと思います。

Y.Hさん(長崎県立諫早商業高等学校出身)

国連ハビタットでは、自然災害などで被災した開発途上国の住民が話し合い、自分たちで住居を再建する手助けをしています。また、女性に対する制約が大きい地域では、女性が自由に安心して発言ができるよう女性のみでの話し合いの場を設けたり、女性専用の広場を作ったりもしています。現地の人が自分たちで家を建てることで技術が地域コミュニティに残り、その後は自分たちで修理、再建することができるようになります。費用も安く抑えられます。今回、国連ハビタットの様々な取り組みについて知り、自分でも開発途上国の現状について調べていこうと思いました。

N.Iさん(福岡大学附属若葉高等学校出身)

私は以前からSDGsや開発途上国への支援、国連の活動に興味を持っていましたが、今回の星野様の講義を聴き、ますます関心を強くしました。国連ハビタットはただ財政的な支援をするのではなく、後々、他の力を借りなくても地域コミュニティが自立できるようになるような支援を行っています。そのために現地の人々と積極的にコミュニケーションをとり、女性の社会進出に貢献しようとする姿勢はとても魅力的であると思いました。

A.Tさん(近畿大学附属福岡高等学校出身)

星野様の講義を聴き、世界各国で起こっている現状をもっと多くの人が知り、解決策を考えていくべきだと思いました。また、これまで私は世界の様々な問題の解決やSDGsの目標達成のためには現地に赴いて、取り組んでいく必要があると考えていました。しかし、国内にいる私たちにもできることはたくさんあることに気づきました。これから私たちにできることに、この恵まれた環境に感謝しながら精一杯、取り組んでいきたいと思います。