『心理療法基礎実習』では、「主動型リラクセイション療法」、「箱庭療法」、「心理劇」など、様々な心理療法の実際を体験し、心の援助技術を学びます。
これらの実習を通して、自己理解、他者理解を深め、人と人をつなげる技術を習得するとともに、受講者のコミュニケーションスキル向上が望める内容になっています。
これらの実習を通して、自己理解、他者理解を深め、人と人をつなげる技術を習得するとともに、受講者のコミュニケーションスキル向上が望める内容になっています。
私が担当しているのは「主動型リラクセイション療法」(以下、サート)です。
サートは、自分が動く、動かすこと(主動)を手掛かりに、バランスの良い、程よい感じ状態や動きを得ることをリラクセイションとしています。
大事なことは、「自分が動いている、自分が動かしている」という実感である「主動感」を獲得することです。
「主動感」の反対は「他動感」です。「他動」とは、実際他人が私を物理的に掴まえて動かすようなことで、「他動感」は他人によって動かされる、コントロールされるという感じです。
赤ちゃんから高齢者まで、誰でも生きている限り、自分で動かしているのに、あたかも人に動かされているかのように感じる(他動感)ことが多いです。
たとえば、朝目が覚めて、支度をして、行きたくないのにいやいやと出かけたとしても、全部自分でやっているから、「主動」であるにもかかわらず、「主動感」がなく、「他動感」ばかり感じているようなことがあれば、身体も心も固まり、思うように動かせなくなります。
サートの授業を通して、自分をゆっくり動かすことで新たな自分発見をしたり、ペアを組んで、相手に寄り添ってもらう安心感の中で頑張ってみたり、気づけば自分が動かしたことが大きな変化につながる驚きを体験したりしながら、自分で自分をなんとかできる、という実感といった心の変化を体験することができます。
受講した学生の感想をいくつか紹介します。
受講した学生の感想
- 普段何かする時はまず考え込んでしまうのですが、サートをやっている間は無心に自分の身体だけに向き合えました。サートをする前よりも動かしやすくなっていたことがうれしかったです。こんな短時間で変化することが驚きでした。
- 向こう側にある目標達成を基準にしたら今がダメに見えましたが、今の自分をベースラインにして動かすたびに少しずつ変化することを大事に見ていたら、私は変われるんだ、としっかり実感することができました。
- 対人関係で悩んでいたけど、サートをやっていく中で、対人関係が変わったわけではないものの、それがあまり気にならず、まあいいか、と思うようになりました。