学科 Today

  1. HOME
  2. 学科 Today
  3. 国際キャリア学部
  4. 国際キャリア学科
  5. (授業紹介)「Current Business」2022年度⑪官公庁:農林水産省九州農政局の小林地方参事官、中尾管理官、道辻事務官による講義

2022.12.13

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」2022年度⑪官公庁:農林水産省九州農政局の小林地方参事官、中尾管理官、道辻事務官による講義

国際キャリア学科3年生以上を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネス、またはそれを支援する公務の第一線で活躍されてきた様々な業界、業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。 

 

先日の講義には、農林水産省九州農政局より小林地方参事官、総務部総務課の中尾管理官、そして輸出促進課の道辻事務官を講師にお迎えして、官民を挙げての輸出促進が奏功し、近年、拡大基調にある農林水産物輸出の状況と農林水産省の取り組み、農林水産省と九州農政局の業務、求められる人材像などについてご講義いただきました。

前半では、小林参事官より「日本の農産物輸出の状況と輸出促進施策について」と題する講義をいただきました。初めに少子高齢化で国内の市場が縮小する一方で、世界的な日本食ブームの広がりとアジア諸国を中心とする人口増加や経済発展に伴う所得水準の向上により海外には拡大が見込まれる有望なマーケットがあるという日本の農産物・食品産業を取り巻く状況から説き起こしていただき、農産物の輸出拡大に取り組む意義について、①輸出入バランスの改善、②日本の食文化の海外への普及による対日理解の増進という「国民全体にとってのメリット」と、①新たな販路拡大と農家の所得の向上、②国内価格が下落した時のリスクの軽減、③輸出を通じた国内ブランド価値の向上、④経営に関する農林水産業者の意識の改革、⑤地域経済の活性化という「産地・地域にとってのメリット」に分けて解説いただきました。

 

続いて、2021年には1兆2382億円と1兆円の大台を超えた日本の農林水産物・食品の輸出の状況について、①品目別ではアルコール飲料等加工食品や水産物、畜産物の輸出が多い、相手国・地域別としては地理的に近く、食文化も近い東アジア諸国と米国が多い、②人口に比して香港やシンガポール向けの輸出が多いのは動植物検疫などの規制が少ないこと、所得水準が高いことによる、③九州の港等からの輸出では海外向けのコンテナ船が多く発着する博多港が多い、また鹿児島の志布志港も南九州地域からの輸出港として利用が多い、④九州からの輸出産品には福岡、佐賀はイチゴやかんきつ類などの果実が、宮崎、鹿児島、熊本の南九州三県からは牛肉など畜産品や木材が多く、それぞれの地域の強みのある産品が輸出されているなど、具体例を交えながら解説いただきました。

農林水産省を中心とする農産物の輸出促進施策については、2030年までに農林水産物・食品の輸出を5兆円とするという目標が設定された食料・農業・農村基本計画と28の農林水産物・食品を輸出重点品目に選定して行われている輸出産地への集中的な支援等について解説いただいたうえで、①輸出品目別に輸出の促進を図る法人を認定する認定農林水産物・食品輸出促進団体(品目団体)の制度、②輸出先国・地域での専門的、継続的な支援体制を強化するために設立が進められている輸出支援プラットフォーム、③海外の日本レストラン等を日本産食材の輸出拠点として活用する日本産食材サポーター店の展開、④農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)による各種支援などを、鹿児島のお茶の輸出事例などを紹介しながらご説明いただきました。輸出重点品目に関する解説では、なぜその品目のなかに鶏卵が入っているのか(答:日本の鶏卵は生で食べることができ、香港等でニーズが高い)、なぜ水産物ではぶり、たい、ホタテ貝が含まれているのか(答:養殖ができるため、安定的に供給できる)など、わかりやすく説明いただきました。あわせて、動植物検疫協議や原発事故による日本食品等の輸入規制の撤廃・緩和など、農産物・食品輸出の阻害要因の除去のために行っている外国政府との交渉などについてもその進捗状況を含めご説明いただきました。

後半には、総務部総務課で人事・採用を担当されている中尾管理官より、農林水産省と九州農政局の機構や業務、農林水産業が抱えている課題に対する取り組み、さらに公務員における職種などについて解説いただいたうえで、九州農政局でのキャリアパスやワークライフバランスなどを若手職員の方が経験する農村での現地研修のお話などを交えながらご説明いただきました。

 

講義の最後には、昨年、入省された輸出促進課の道辻事務官より農林水産省を目指された経緯や若手職員から見た仕事のやりがいや職場の雰囲気などについてお話しいただきました。大学で異文化コミュニケーションを学ばれ、留学も経験された道辻様は、「生まれ育った九州に貢献したい」という軸を持ちながら就職活動を行われました。そして、九州農政局の業務説明会に参加された際に生活に身近な食に関わる分野で地域の活性化に貢献できること、業務内容が多岐にわたり、様々な経験が積めそうなことに魅力を感じ、農林水産省に入省されました。現在は小林参事官よりご説明のあった農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)に携わっておられます。

 

学生たちは、豊富な具体例をあげながら分かりやすく農林水産行政について解説いただく講師の方々の講義に聴き入っていました。お忙しいなか、熊本から講義にいらしていただいた九州農政局の皆様、本当にありがとうございました。

 

以下は聴講した学生の感想(代表)です。

K.Fさん(福岡県立福岡中央高等学校出身)

農林水産省九州農政局の方々の講義では、日本の農林水産物・食品輸出の状況と政府の輸出促進施策、農林水産省や九州農政局について詳しいご説明をいただいきました。講義の最後には、九州農政局で働かれている入省2年目の方の話をお聴きすることができました。その方は、生まれ育った九州に貢献することを就活の軸に定め、農林水産業を支援することで地域活性化に貢献できることに惹かれ九州農政局で働くことを決められたそうです。大学では私たちと同じような国際的な学科で異文化コミュニケーションを学び、留学にも行かれるなど、農林水産業からはかけ離れたことを学んでいたと話されており、就職活動において視野を広く持ち、業界研究を行うことの大切さを痛感しました。

H.Aさん(福岡県立春日高等学校出身)

農林水産省の方々は、常にどのようにしたら農林水産業と私たちの生活、そして日本が良くなるかということを考えながら職務に取り組まれているという印象を持ちました。今回は、貴重なお話を聞くことができて、本当に良かったです。お忙しいなか、ご講義をいただき、ありがとうございました。

Y.Eさん(福岡県立山門高等学校出身)

農林水産省では、農林水産物・食品の輸出促進に向けて様々な政策を実施していることを初めて知りました。最近では、先端技術を掛け合わせたスマート農業の普及などにより若者の農業への関心も高くなり、注目されてきています。今までは農業や食に関する仕事を全く考えていなかったのですが、今回の講義を聴いて、世界と関わりを持ちながら仕事ができて、まだまだ未開拓な市場でもあるので、おもしろそうなお仕事だなと思いました。日本人として日本食を世界に広めていきたいので、このような仕事も視野に入れて、就職活動をしていきたいと思います。

H.Kさん(福岡県立南筑高等学校出身)

今回の講義を受けて、農林水産省が行なっている様々な政策が私たちの生命を支える食を守り、安心して暮らせる環境づくりを担っていることがよくわかりました。国家公務員と聞くと、仕事の内容も難しく、かなり固いイメージを持っていましたが、農政局のお仕事内容について聞き、そのイメージがかわりました。農家の方々と協力して地域活性化に力を入れたり、海外の人たちに日本食の素晴らしさを感じてもらえるような取り組みをされていて、大変ながらもとても楽しそうなお仕事だと思いました。

M.Uさん(熊本県立熊本北高等学校出身)

初めに九州農政局が福岡ではなく、私の出身地の熊本に所在していることに驚きました。農林水産省は、食料の安定供給を確保し、農林水産業の発展を支える役割を担っており、そのなかで農政局は農林水産政策を現場レベルで着実に推進するために、各地域にくまなく出向き、農政を現場に伝えるとともに、現場の声を汲み上げ、現場と共に課題を解決するという地元に根付いたミッションを展開されているということが分かりました。農林水産省に入省して2年目となる道辻様は、大学時代は農業とは全く接点がなかったものの、生まれ育った九州に貢献するために国家公務員になるという就活の軸を定められ、説明会参加がきっかけとなり九州農政局を選ばれました。私も就職活動に臨むうえで、まずは自分の軸を定め、様々な業種を知ったうえで、将来を考えていきたいと思います。

A.Yさん(佐賀県立鹿島高等学校出身)

今回の講義を通して、公務員の仕事の業務の幅広さや農林水産省、九州農政局の業務内容などについて学ぶことができました。私は公務員を目指していますので、大変、興味深いお話を聞くことができ、貴重な時間となりました。誠にありがとうございました。

N.Kさん(自由ケ丘高等学校出身)

今回は、九州農政局の方々にお仕事の内容や職場環境だけでなく、日本の農林水産物・食品の輸出状況と政府の輸出促進施策について詳しいご説明をいただきました。講義では、農家の方が輸出に成功されるまでのご苦労やこれからの目標を掲げて取り組まれている様子がわかる映像も見せていただきました。農家の方が海外市場を開拓するきっかけをつくることのできる仕事はとても魅力的なものであると感じました。私は、公務員を志望していますが、今回の講義を聴いて、新たな道を見出すことができたと感じています。改めて、これからも公務員試験に向けた勉強を頑張ろうと思える講義になりました。

H.Eさん(福岡女学院高等学校出身)

今までは、農林水産物や食品については値段の差や安全面を考慮しながら買い物をしようというような購買者の立場でしか考えたことがなかったのですが、今回の講義を受講し、日本と海外におけるマーケットの現状や輸出促進の重要性について学ぶことができました。特に、国内市場は人口減少によって縮小する見込みであるのに対し、海外には今後、伸びていくと考えられる有望なマーケットが存在し、農林水産物や食品の輸出促進は地域活性化や対日理解の増進にも繋がると知り、その大切さをより深く理解することができました。

K.Oさん(福岡雙葉高等学校出身)

今回は、農林水産省九州農政局の方々による講義でした。最初、配布された資料を見て、とても堅い職業で、自分には到底、縁のない職場なのではないかと思いましたが、お話しして下さった講師の方々がとても分かりやすく、丁寧に説明して下さり、農林水産省やそれを含む公務員の社会的役割やお仕事についての理解が深まりました。

M.Iさん(聖和女子学院高等学校出身)

農林水産省の方々が時代の流れや現状を把握しながら、業務に取り組まれていることがよくわかりました。そのお仕事の大変さを実感するとともに、日本の農林水産業の発展のために尽力されていることを学べたことはとても貴重でした。日本と海外とを農林水産物で繋ぐ仕事はとてもやりがいのあるお仕事だと感じました。