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2022.11.21

国際キャリア学科

(授業紹介)「Freshers SeminarⅡ」2022年度:国連ハビタット福岡本部の星野本部長補佐官による特別講義を開催しました!

 

国際キャリア学科(ICD)では、1年生を対象とした「Freshers Seminar」のなかで、世界とつながる仕事で活躍されている外部講師による特別講義を開催しています。先日は後期の第2回の特別講義として、国連ハビタット(UN-HABITAT)福岡本部の本部長補佐官の星野様をお招きして、国連と国連ハビタットの概要と活動、アジア地域を中心に開発途上国が抱えている課題、国連ハビタットが進めている住民中心の復興プロセス「The People’s Process」などを中心にご講義いただきました。

日本には国連機関が28ありますが、そのうち唯一、九州にあるのが国連ハビタット福岡本部です。国連ハビタットは「すべての人に適切な住まいを提供し、都市のより良き未来のために成立された国連機関」で、SDGsの11番「住み続けられるまちづくり」を目標としています。具体的には、自然災害後、戦争や紛争後の住まいの復興やまちづくり、貧困の削減やスラムの改善、都市の計画・政策・法律の整備などの支援、気候変動などに対応するための環境プロジェクトに携わっています。

講義のなかで、星野様は開発途上国が抱えている次の五つの問題をあげられました。

1.貧困と格差の拡大、2.自然災害の多さ、3.戦争・地域紛争の多さ、4.気候変動(地球温暖化)の深刻な影響、5.都市の人口の増加(都市化)

 

「貧困と格差の拡大」についてはエチオピアにおけるゴミ山の例を取り上げて解説いただき、日本では想像もできないショッキングな「現実」を知ることができました。首都アジスアベバの近郊に30年以上にわたって積みあがってきたゴミ山は福岡女学院大学の敷地よりも広く、多くの人々がゴミ拾いで生活をしています。そこで育った子供たちは学校に行けないため、読み書きができず、結果として就ける仕事がなく、貧困は何世代にわたって解決ができないままになっています。

 

こうした開発途上国が抱える課題について、国連ハビタットは住民を中心に置くプロセス「The People’s Process」の方針のもと、ファシリティターの役割を果たしています。災害等からの復興を行う際には、意思決定、行動、責任はすべて住民を中心に行い、また同じような災害にあった場合には現地の住民コミュニティが自分で対応できるようにしています。住みたい家に住むことが被災者にとってとても大切であるため、被災者が自分で自分の家を建て直すように意識しています。また、女性のエンパワーメントにも力を入れています。伝統的に女性が外で発言することが難しい国・地域では、女性が自由に安心して発言できる場を作るように支援しています。女性が経済的に自立することで、子供たちの教育の機会も増え、貧困が少しずつ改善されていき、様々な課題が次第に解決につながります。

星野様は講義の最後に国連ハビタットの水問題に関するプロジェクトをご紹介くださいました。開発途上国の多くでは水問題が深刻です。水汲みは女性や子供の仕事とされていますが、遠くにある井戸への水汲みを繰り返すことで、子供は学校に行って教育を受ける機会が奪われ、結果として読み書きができず、現金収入を得る仕事に就くことができません。女の子が13歳や14歳で結婚し、出産することも多く、平均寿命が男性より短い国もあります。また、生まれた子供が安全な水を飲めずに命を落とされてしまうことも多いです。こうした水問題の解決のために星野様は糸島市の集合住宅で見た雨水を地下につくったタンクにためる技法に注目され、その技法を開発した建設会社の方とともにこれまでラオス、ベトナム、ケニアで雨水を地下にためてて活用するプロジェクトを進められました。水問題を解決することによって、公衆衛生環境の向上、健康の向上、女性や女の子たちの教育・職業機会の増加、女性の権利・地位の向上、女性を取り巻く貧困の負のスパイラルからの脱却など、様々な問題解決につながっていくと解説されました。

 

安心な住まいがあり、安全な水が当然のように飲め、普通に教育を受けるなど、私達にとっては当たり前なことがない国・地域があるという世界の「現実」をこの講義を通して実感することができ、考えさせられることが多くありました。また、その解決に向けた星野様の取り組みからも多くのことを学ぶことができました。星野様、お忙しいなか、心を打つ貴重な講義をありがとうございました。以下では聴講した学生の感想(代表)をご紹介します。

R.Mさん(鎮西学院高等学校出身)

アジア地域では、自然災害や地域・民族紛争が多く、気候変動や都市化等の複合的な問題の被害の大部分が弱い立場の人々にのしかかっています。これらの被害から復興させるために、国連ハビタットではすべての人に適切な住まいを提供する取り組みを行っています。今回、私たちに講義をしてくださった星野様も毎年、開発途上国へ行き、支援に取り組まれています。私自身も一人暮らしをするようになって初めて気づきましたが、生まれ育ってきた家、家族とともに暮らすことができる家があるということは、とても安心で、心強いことです。そんな家を住民自身の手で作ることは、とてもいい取り組みだと思い、魅力を感じました。復興の過程で住民同士の話し合いの場をつくったり、女性の社会進出を支援したりして、それが新たな仕事を生むきっかけになったりすると聞き、とても効果的で、素晴らしい取り組みだと思いました。

K.Hさん(西南学院高等学校出身)

 今回、星野先生のお話を聴いて、開発途上国では私が思っていた以上にたくさんの問題が発生していることに驚きました。開発途上国の様子が分かるたくさんの写真も見せていただき、よりダイレクトに現状が伝わってきました。なかでも特に印象に残る写真が三つありました。一つはエチオピアのゴミの山の写真です。何世代にもわたってそこに住み、ゴミを拾って生活している人もいて、それが貧困や、ジェンダーの問題につながると知って、一つの問題が様々な問題に影響を及ぼすのがとても恐ろしいなと思いました。二つ目は、水汲みに行く女の子の写真です。安全な水を確保するということは私達にとって非常に大事なことであると、痛感しました。ご紹介いただいた集水タンク建設の活動は安全な水を確保できるだけでなく、水汲みの仕事から解放されて学校に行く時間も確保できるため、子供たちの将来のためにもなることが素晴らしいと思いました。三つ目はまだ若い女の子が結婚し、出産を経験する写真です。教育を受けることができないと、職を得ることができず、結果として結婚と出産を早く経験する女の子が多いと知って、様々な影響を受けてこうした問題が起こっているのだなと感じました。もともと国際協力には興味があったので、今回の講義を聴けて、良かったです。将来、なんらかの形で開発途上国で生きる子供たちの支えになりたいと思いました。

M.Sさん(山口県立萩商工高等学校出身)

今回の講義を聴くまで、私は国連ハビタットについて知りませんでした。しかし、適切な住まいの提供や都市のより良い未来のために様々な国で活動されていることを知り、とても有意義な活動を行っている国際機関であることを学びました。今回の講義は、世界、特に開発途上国の厳しい現状を知るきっかけになったと共に、SDGsについても学べ、理解を深めることができました。

R.Oさん(宮崎県立小林高等学校出身)

国連ハビタットの星野様の講義を通して、本当に多くのことを学ぶことができました。実際に開発途上国に足を運び、課題解決に向けて取り組まれている星野様のお話はとてもためになり、たくさんの刺激を受けました。今回の講義を聴いて、国連ハビタットとその活動にとても興味がわきました。私も世界で困っている人の力になりたいです。そして、改めて、今、大学で好きな勉強ができていることは幸せであると思いました。感謝したいです。

N.Sさん(福岡県立小倉南高等学校出身)

国連ハビタット福岡本部の星野様の講義を聴いて、開発途上国が抱える様々な問題について多くのことを学ぶことができました。私は将来、開発途上国の水やインフラストラクチャーの問題に関わる仕事がしたいと考えていますので、今回の講義は特に勉強になりました。自分自身の将来を切り開くためにも、英語やその他の勉強に取り組み、やり続ける努力を重ねていきたいと思います。

C.Sさん(福岡県立小倉南高等学校出身)

今回の講義を聴き、自分自身の世界の現状への無知を思い知りました。まずは、世界の現実について知ることから始めようと思います。知らないと何も始められないし、何か行動に移そうとしても逆効果になりかねないからです。「Freshers Seminar」でのオキーフ先生の国際協力の授業で、必要以上の援助は、援助に依存し、独立できない状況を生んでしまい、逆効果になりうるということを学びました。開発途上国の現状について知ったうえで、いつかその発展をサポートできるような活動に携わりたいと思います。私も星野様のように誰かのために行動できる人になりたいと思います。

S.Iさん(福岡県立春日高等学校出身)

今回、国連ハビタットの活動内容について学び、世界には改善すべき課題がたくさんあることを思い知らされました。まずは、自分から知ろうとすること、どうしたら状況が改善できるのか自分なりに考えていくことが大切だと思いました。

H.Iさん(福岡県立小郡高等学校出身)

私は中学時代に国連関係の方々と交流する機会があり、そこから開発途上国の現状を知り、私たち一人ひとりにできることはないのかと関心を持ちました。その後、高校や大学でSDGsに関する勉強をしていくなかで、開発途上国が抱えている問題は複雑で、解決が難しい問題ばかりであると感じていました。しかし、今回、星野様の講義を聴き、たくさんの問題があるなか、少しずつそれらを解決していき、そのたびにたくさんの方々が助かっていくことは、とても素敵なことだと思いました。とても勉強になる講義でした。ありがとうございました。

A.Sさん(福岡県立武蔵台高等学校出身)

講義を聴き、イメージで判断するのではなく、物事の本質を理解すること、柔軟な考えを持つことが大切であると思いました。講義の最後の質疑応答の際に星野様から英語力の必要性についてのお話がありましたが、これまでお話を聴いた外部講師の先生方も同じく英語力の必要性を強調されていました。これからさらに英語の学習に取り組んでいこうと思います。

S.Aさん(沖縄県立向陽高等学校出身)

将来、私も開発途上国の支援に携わるような活動をしたいと考えていますので、とても勉強になりました。自分ができることを考え、行動し、将来は人を助けるような仕事ができるようになりたいです。

M.Aさん(祐誠高等学校出身)

国連ハビタットの星野様の講義を聴講して、開発途上国の人々の命を救うため、そして生活を豊かにしたり、守ったりするために行われている国連ハビタットの活動内容に感銘を受けました。世界の現状を認識する必要があることを痛感しました。

H. Hさん(活水高等学校出身)

今回の授業では国連ハビッタットの星野様にお越しいただき、心に響くお話をたくさん聴くことができました。星野様は開発途上国が抱える課題について話された後、国連ハビタットの復興プロセスについて話してくださいました。その際に語られた「自分の家と呼べる、安心して家族が住める家」「住みたい家に住めること」という言葉がとても心に残りました。当たり前のように家にある綺麗な水、暑さや寒さをしのげる整った設備があることは、とても幸せなことであることを必ず忘れてはいけないと思いました。

M. Mさん(佐賀清和高等学校出身)

全体を通して私たちが送っている何気ない当たり前の生活がどれだけ恵まれているのかを実感しました。これを機に私自身にもできることに取り組んでいきたいと思います。

Y. Yさん(久留米信愛高等学校出身)

私は以前から国連の活動に関心があり、様々なボランティア活動や地域のユニセフ会議に出席してきました。しかし、持続可能な社会を創りあげていくには、日本だけではなく、他国の環境も理解していく必要があるため、学生の身分で、できることが少ないのではないかと思っていました。 しかし、今回の講義で、自分が持続可能な社会を創りあげていく一員になれる方法があることを知ることができました。その分野は誰にも負けないという自分の強みをこの学生生活で持とうと思うきっかけになる講義でした。 ありがとうございました。

H. Fさん(福岡舞鶴高等学校出身)

今回の講義で、地域の力で地域を再興させるという考えに触れ、前期に講義に来ていただいたヤマハ発動機の柳顧問のお話を思い出しました。どちらにも共通しているのは、その地域を地域の力で発展させたいという願いだと思います。一時的な資金提供や機材提供だけでなく、技術を伝えることで、将来的に長く機材やインフラが使えるようにするヤマハ発動機も、地域のコミュニティを住民主体、住民責任で形成することにより、地域自体の活性化を図り、住民自治を行うことで、災害時の復興、非常事態時の住民間のコミュニケーションを拡大させようとする国連ハビタットも同じように中長期的で将来に向けた協力であると思いました。