学科 Today

2022.03.29

メディア・コミュニケーション学科

【授業紹介】漫画で学ぶ言語学

前回に引き続き、2年の後期で履修する基礎演習の授業を紹介します。AからFまであるこの授業は、学科の教員が一つずつ担当しています。

今回紹介する「基礎演習C」では、漫画を資料にして「言語」をめぐるコミュニケーションの研究を行います。

授業の前半で資料の分析方法を学んだ上で、受講生がそれぞれ好きな漫画を選び、そのセリフを分析して調査結果を発表します。参加者との意見交換などを参考にし、最後にレポートにまとめます。

自分の伝えたいこと・主張を伝えるためにはどうすればよいか。この授業では、「言語」の表現の形や数を整理し、表にまとめることで、自身の考えをより説得力のある主張にしていくための道のりを学びます。

授業を終えて、受講生のみなさんが感想を寄せてくれました。

私は少年漫画に出てくる、ある老人のキャラクターの「役割語」を調査しました。「役割語」とは、話し手の特定の人物像を想起させる言葉づかいをいいます。みなさんも博士が「〜じゃ」と話したり、お嬢様が「〜ですわ」と話す場面を一度はみたことがあるはずです。普段『~じゃ』『~のう』といった役割語を使うそのキャラクターは、調べていくうちに緊迫した状況におかれると一変し役割語を使わなくなるなどの変化があることに気づきました。

役割語が多くの説明なしにその際立ったキャラクター性を伝えることができるように、私たちをとりまく言葉は、その使い方や表現の仕方ひとつで、受け取り手に大きな影響を与えることができます。また語尾や一人称、二人称など様々なトピックを調査する中で、短い受け答えや、ひらがな一文字の些細な違いでも多彩な表現が可能で、日本語という言語のもつ可能性に改めて気づきました。

調査した結果をレポートにまとめて発表するまでには、使用頻度や使用する場面などのデータを細かく表にまとめるなど普段慣れていない作業には苦労することもありましたが、客観的な根拠をもとに、相手にわかりやすく伝える力も身に付きました。みなさんもこの基礎演習の授業を通して、自分の興味のある漫画を使って言語について楽しく学んでほしいと思います

複雑化する現代社会において、異なる相手とお互いに理解し合うためには、「言語」によるコミュニケーションは欠かせません。コミュニケーションの要である「言語」について改めて考えてみませんか。

(二階堂 整)