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2022.03.04

メディア・コミュニケーション学科

【授業紹介】身近な問題から「公害」や「環境汚染」を考える

2年の後期で履修する基礎演習は、ゼミ形式で行われます。メディア・コミュニケーション学科の特徴である少人数教育のよさが実感できる授業の一つとなっているのではないでしょうか。AからFまであるこの授業は、学科の教員が一つずつ担当しています。

今回は、2021年度後期の基礎演習Dの授業紹介です。授業のテーマは「身近な公害/環境汚染をコミュニケーションの問題として捉える」です。公害や環境の悪化などが問題となったのは、メディアがそれを取りあげたり、そこで発せられるメッセージを受けた私たちがそれについて語ってきたりしたからだといえます。また、その問題を解決するためには、何かをしようという声があがらなければならなかったはずです。

『シロアリと生きる―よそ者が出会った水俣』という少々ユニークな語り口で水俣病について書かれた教科書を使いながら、公害/環境問題とコミュニケーションの関係について学んだ学生たちは、学期の後半は自分たちで見つけたテーマについてプレゼンテーションをし、最後はレポートを書かなければなりません。今年度の授業で提出されたレポートのいくつかを紹介します。身近なテーマから、問題を掘り下げて考えてくれました。

中洲の汚染水問題を取り上げたN・Hさんのレポートは、「メディアで報道される様子と実際に目にする様子に大きなギャップがあることに疑問を抱いた」ところから始まっています。賑わいを見せる中州の街の報道はあっても、深刻であるはずの川の汚染はほとんど取り上げられない実態から、その差が生まれる要因を探り、解決への糸口を模索した力作でした。

「観光公害」について書いたT・Rさんは、そのなかでもInstagramの影響に焦点を当てています。観光スポットで問題となっている車の渋滞や人込み、ゴミのポイ捨て、騒音といった「観光公害」の原因の一つにInstagramがあると指摘しています。多くの人が訪れて写真を撮り、それを拡散し、ますます人が寄ってくる、そして「公害」が発生しているという現状を分析した、独創的な切り口のレポートでした。

 

みなさんは「公害」というと「四大公害」がまず頭に浮かんでくるのではないでしょうか。今回紹介した例からもわかるように、そうしたイメージをひとまず脇において周りを見渡すと、意外と身近なところに問題が見つかるはずです。そして、その問題に私たちが関わっていることに気づくかもしれません。

(池田 理知子)