学科 Today

  1. HOME
  2. 学科 Today
  3. 人間関係学部
  4. 心理学科
  5. 出張講義報告「これからの職業と心理学」

2016.06.17

心理学科

出張講義報告「これからの職業と心理学」

 6月上旬に高校生に心理学を紹介する機会(出前講義)がありました。
 進路選択の途上にある高校生にとって、「心理学を学ぶと、どんな仕事に就けるのか?」はのっぴきならない関心事だと思えます。そこで、現在の高校生が30歳になる頃にも、残っているだろうと予想される職業と心理学について、なぜなのかを一緒に考えることにしました。
 心理学は、「心理学こそ…」と自慢するのが苦手です。なぜなら、私たちの行動・行為・言動であれば、それが何であれ、仕事ぶり・働きぶりに、人それぞれの〈こころ〉を見いだすことができるからです。〈こころ〉の仕組みや働きに関係のないことはないからです。
 10年後、20年後に、どんな職業が残っており、どんな職業がなくなっているかは、人工知能(コンピュータ)をどこまで導入するかについての社会的判断と密接に関係しています。判断(答え)にたどりつくまでを手引き(マニュアル)にすることができる仕事は、大量のデータをもっており、処理が素早い人工知能(コンピュータ)に任せるほうが、誤りの判断がないというわけです。
 さまざまな研究機関が10~20年後に残っている職業を予想するときに参照しているのがオックスフォード大学の研究グループが発表したものです。これによると、残る可能性の高い上位25のなかに、日頃は意識にのぼることなく(知らず知らずのうちに)働いている〈こころ〉について心理学を学んで培う知識と直接的な関係がある職業として、レクリエーション療法士、薬物関連ソーシャルワーカー、医療ソーシャルワーカー、宿泊施設(ホテル・旅館)のマネイジャー、セールスエンジニア、教育コーディネイター、心理学者、小学校教師、医学者、臨床心理士・カウンセラー・スクールカウンセラー、メンタルヘルスカウンセラー、そして、大勢の人が取り組む複雑に関連する仕事をモニターする各種の管理業務などがあがっています。
 すでに現在、サービスを提供する仕事の多くは、窓口や商店で人とやりとりしなくても、カードでお金を出し入れし、スマホでチケットを予約し、ネットで商品を購入するなど、人工知能(システム化されたコンピュータ)が担うようになっています。サービスという仕事、とりわけお金のやりとりにかかわる仕事を典型として、社会的に価値交換のルールが確立している仕事は人工知能に代わるであろうと予想されます。単なるサービス(接遇)ではなく、人が人の〈こころ〉を支えて援ける仕事は、これからも残っていくことでしょう。
 「人工知能をもってしても代わることのできない〈こころ〉は、どんな人間行動に、ひいてはどんな仕事ぶりに立ち現われているのか?」について、私たちの日々の社会生活を観察し・捉えなおし・考え・検証し・確かめつつ学ぶのが心理学です。
(担当:長野)
s_today160617.jpg
 
□■□■□■□■□■□■□■□■□■
6月19日(日)は、ミニオープンキャンパスが開催されます。詳細は、こちらをご覧ください。模擬授業では、富永幹人先生が「こころの成長」というタイトルにて、心理学の紹介を行います。心理学科ブースや進学相談もあります。是非、いらしてください。