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2014.07.08

短期大学部英語科

第41回グレープカップコンテスト課題文:アンデルセンのTeapotについて

今回のコンテストの課題文は児童文学者アンデルセンの”The Teapot”です。

まずティ―ポットが主人公であることが今年の課題文の特徴です。児童文学はある意味で大人の文学より深くて広い。ものたちは人間と同等かそれ以上の価値を持ちます。人間たちが自分たちのために作った食器類。ティ―タイムの主人公ティ―ポットがお喋りします。

いつも人間たちにおいしいお茶を注ぐティ―ポット。そそっかしい人間に床に落とされ、壊れるティーポット。床にこぼれ出て、一面を浸すお茶。人間たちはそそっかしい仲間の人間を笑うのではなく壊れたティ―ポットを笑うのです。耐えるティ―ポット。なんという不条理。

歳月が流れ、ティ―ポットも老います。用済みになって食器棚の隅に置かれていたのを、ある時乞食がやってきて、ティ―ポットは乞食に渡されます。ティ―ポットは人生の没落を予感しますが、自分に訪れた運命を受け入れます。食卓の「女王」は、なんと、土を入れられ、球根を植えられ、植木鉢に変えられるのです。しかし、です。しかし、そこでまた自分の新たな人生を歩むことになるのです。球根を愛し、球根の成長に喜ぶティ―ポット。球根が芽を出すと、自分も力や、希望が湧いてきます。そして、球根が花を咲かせます。その美に狂喜します。なんという美しさだ!球根の美しさのために自分を捧げます。「他者の喜びを自分の喜びとする」これこそが生きる意味だと考えます。

自分の第二の人生の道を歩み始めたとき、またもや人間がティ―ポットを運命のどん底に突き落とします。美しい花はもっと立派な鉢が必要だろうと。ティ―ポットは二つに割られ、庭に投げ捨てられます。老いぼれの磁器のかけらになってしまうのですが、ティ―ポットはこう考えるのです。

「私には思い出がある。思い出を誰も奪い去ることはできない」と。

どうですか。このティ―ポットの生き方は。
どんな状況の中でも積極的に生きる、前を向いて生きる。このような生き方をお手本にして生きたいですよね。