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2024.02.16

国際英語学科

国際英語学科:よい意味で裏切られる大学選び!

2月も半ばになりました。そろそろ入試結果もでる時期ですが、皆さんの中にはどこの大学、また、どの学科に進めばよいのか迷っている人もいるかもしれません。今回は私の個人的体験を紹介します。皆さんとは年齢も随分離れているし、社会が大きく変わったので参考にならないかもしれませんが、ご一読ください。(この記事は個人的な見解であり、学科の総意ではありません。注意して読んでください)

私は大学で「英文学」を専攻しました。その後、アメリカの大学院で「理論言語学」、そして、イギリスの大学院で「応用言語学」(英語教育)を研究し、大学で教えるようになりました。中学時代に夏目漱石の本を読み、漱石自身が英語教師であったため、英文学を学ぶことに憧れを抱いていました。

■ 個人的体験:「文法」授業

大学では多くの文学書を読みましたが、よい意味で裏切られた科目がありました。それは「英文法」という科目でした。高校時代から文法を勉強するのが好きで、文法にはある程度自信を持っていました。それで、大学ではとても高度な文法書を読むのだろうと期待していました。しかし、驚いたことに、担当の先生はとても若く(20代後半)、テキストはとても薄っぺらいものでした。内容を見ると "some" と "any" の違いなどが書かれていました。それを見てまた愕然としました。今さら some と any?何だこの授業!というのが正直な感想でした。

ところが、この先生、ずば抜けた秀才でした。

1. Would you like any cake?

2. Would you like some cake?

「さて上の文はどちらも正しい英語です。どう違うのでしょうか?考えてみてください。」疑問文は any を使うのが一般。しかし、確かに some の表現も目にする。先生はこうした問題を英語が使われる状況も含めて懇切丁寧に説明してくれました。文法を単なる規則として覚えていた私にとっては、目から鱗が落ちる感動を覚えました。英語は言葉です。そうすると、その言葉がどのような状況で使われるのか、それによって表現も異なってくることに気づかせてくれたのです。これは私にとって「よい意味で裏切られた」体験となりました。この先生とは最初の出会いから45年ほど経ちますが、今でもお付き合いをさせて頂いています。

■ 個人的体験:小説が読めない

英文科ですから1年生の時からたくさんの英語を読みました。ただ、高校までの教科書とは異なり、英語の小説が全く読めませんでした。つまり、英語の小説が読める英語力がなかったのです。今でも覚えています。それは Charles Dickens が書いた「Sketches by Boz」という物語の「Scenes」という部分でした。ロンドンの朝の様子が見事に描かれています。

The appearance presented by the streets of London an hour before sunshine, on a summer's morning, is most striking even to the few whose unfortunate pursuits of pleasure, or scarcely less unfortunate pursuits of business, cause them to be well acquainted with the scene. There is an air of cold, solitary desolation about the noiseless streets which we are accustomed to see thronged at other times by a busy, eager crowd, and over the quiet, closely-shut buildings, which throughout the day are swarming with life and bustle, that is very impressive.

今であれば留学するのも簡単、留学せずともインターネットで容易にロンドンの情報を得ることができます。上のスケッチは1833〜1836年にかけて書かれたものです。しかし、その様子はおそらく現在のロンドンとそこまで変わらないでしょう。ただ、私には何が書かれているのか、訳しても全く情景を想像することができませんでした。この授業の担当は老齢の英文学者で、1文1文ゆっくりと丁寧に説明してくれました。そうすると、行ったこともないロンドンの夜明けの様子が目の前に現れるのを感じ、感動したのを覚えています。ただ、90分の授業で進むのは毎回1ページでした。この授業も、よい意味で私の期待を裏切ってくれました。

 

■ 将来は分からないが本当

私が務める国際英語学科の学生たちは、9割が企業に就職します。それも、航空関係や外資系ホテルといった驚くような企業です。その他には、金融関係、製造業など多様です。1割程度は教職を取り、学校の先生になります。また、国内・海外の大学院に進学する学生もいます。皆さん極めて優秀です。

ただ、私が若干懸念しているのは、就職と大学の専攻を直結して考える学生が多いということです。これは本学だけではありません。他学も同じです。世間では、「自分探し」とか「ライフ・プランニング」などという言葉が流行り、子どもの頃から人生設計を考えさせる試みが増えています。確かに、医師になるなら医学部に、看護師になるなら看護大学に行かなければなりません。しかし、それ以外は自由です。法学部に行ったからといって弁護士になるわけではありません。早くから準備をするのは大切ですが、「人生分からない」というのが事実です。一部の例外を除いて計画通りに人生が開けた人がどれだけいるでしょうか。そうすると、大切なのは「教養」ということになります。ただし、広い知識を手に入れるということでもありません。むしろ、狭い分野を深く深く考えることで「思考力」を付けることの方が大切と感じます。考えたら、それを人に分かるように発表しなければなりません。それは「表現力」です。これに「英語」ができれば世界で通用します。

受験生の皆さんは、期待に胸を膨らませていると思います。そして、皆さんの夢が叶うことを願っています。ただ、私は、「高校時代に考えたことは、よい意味で裏切られた方がよい」と考えます。社会に出た経験が無いのに、社会にでてからの40年〜50年を設計するのは無理があります。それよりも「教養」をしっかりつけて、根っこを太くして社会に出た方が、「柔軟性」があり「しなやかに」生きていくことが出来るのではないでしょうか。

国際英語学科は、よい意味で皆さんの期待を裏切り、もっと現実的で強く生きていける力をつけるお手伝いができたらと願っています。



国際英語学科は、とにかく英語を楽しく学べる学科です。皆さんの夢を実現するお手伝いをします。将来はきっと明るい。"Not sure." を "Yes, I can do." に変える4年間となることを期待しています。国際英語学科は、学科の目標に賛同できる全ての皆さんをお待ちしています。Aim High, Fly High! Think Simple, Think Different, & Think EAGL!