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2024.01.03

国際英語学科

分析思考:Think Different(事故報道の国際比較)

2024年1月1日(月)午後4時10分、石川県能登地方を震源とするM7.6、震度7という大地震が発生。その後も群発地震が続いています。また、1月2日(火)午後5時47分頃、新千歳空港を飛び立ち羽田空港に着陸した日本航空(JAL)516便が、滑走路上で海上保安庁の航空機に衝突して炎上しました。JAL516便は火災で焼け落ちましたが、乗客・乗員379人は全員脱出し無事でした。年の初めから痛ましい事故が続きましたが、ここでは地震や航空機事故そのものでなく、報道の仕方について感じたことを述べます。

■ 事故報道と記者会見

能登半島地震といい羽田空港事故といい、グローバル社会にあっては、海外メディアも同時に情報発信をしています。地球規模の情報伝達の速さには圧倒されます。当然のことながら最も詳しい情報を発信するのは日本のメディアです。羽田空港事故は、事故発生から切れ目なくインターネットを通じて動画配信されました。また、乗客が撮影した動画からは脱出までの緊迫した様子が伝わってきました。その後、関係省庁の記者会見が開かれ、その様子もライブ配信されました。しかし、海外メディアと比較しながらライブ中継を見ていると、日本の報道にある種の特徴があることを感じました。特徴をまとめると、①目の前の状況に焦点をあてる傾向が強い、②同じ情報内容を繰り返し流し続ける傾向がある、③専門家の説明が滑舌が悪く分かりづらい、④関係省庁の記者会見も「今確認中」という答えばかり、ということです。

■ 海外メディアの報道

複数の海外メディア報道と比較して分かりやすいと感じたのが、イギリスのSkyニュースです。事故の様子を同時中継で流していましたが、まず日本地図を使って、飛行機の航空経路を紹介し、どこで何が起こったかの全体像を紹介します。また、3人の航空専門家が、JAL(エアバスA350)と海上保安庁(ボンバルディアDHC8型)の機材について説明し、画像を見ながら右エンジンがまだ回転していること、機長や客室乗務員の役割、90秒の時間で脱出が成功した要因(日本人が指示に従って行動する国民性であることも幸いした)などを分析していて、専門家の滑舌も良く、話も論理的でわかりやすい報道でした。そして、早くから「(JAL機の)乗客・乗務員全員が安全に脱出できたのは奇跡に近い」と乗客の行動、乗務員の訓練の成果を高く評価していたのが印象的でした。注意して頂きたいのは、日本と海外の報道のどちらが良いかということでなく、視点が異なっていたということです。

■ 違いに気づく分析思考

今回の報道の違いを見ながら「これはどういうことだろう」と感じました。日本人は局所的な部分に注目する傾向があり、それが功を奏することもあります。日本人の繊細さは、その1例かもしれません。一方、欧米では全体像を掴み俯瞰的に分析することに長けているようです。また、専門家の説明も滑舌が良く論理的で分かりやすい。欧米社会では日常的に自分のことばで説明することが求められ、メモを読みながら説明したり、横柄な答弁に終始することは強く批判されます。これは多様な価値観を持つ人々で構成された社会で鍛えられた「ことばの力」でしょう。

今、日本は多くの問題を抱えています。世界経済フォーラムが毎年発表する「Gender Gap 指数」もその1つです。2023年の結果を見ると、日本は146ヶ国中125位でしたが、日本ではそれほど大きく報道されません。英語を学ぶ場合、海外メディアを利用することが多々あります。単に英語学習のために利用するのではなく、報道の視点の違いや問題意識の違いに注意することで思考力が鍛えられます。国際英語学科は、4年間の学びを通して「視点の違い」に気づく力を育成します。これは忍耐を必要とする地味な作業ですが、グローバルに活躍するには欠かせない力です。Think Different! 

国際英語学科は多様です。企業に進む割合は約9割ですが、中高での英語教員、児童英語指導員、国内・海外の大学院進学など色々な場所で卒業生が活躍しています。英語力を究極まで伸ばして世界で活躍したい人、海外で育った人、高校まで消化不良で悩んだ人、目標がまだ定まっていない人、どんな人でも学科の MISSION に賛同できる人を待っています。小さな学科だからこそ「やればできる!」。Think EAGL!