継続的な地域調査を通して人と場所の関わりを研究してきた寄藤研究室は、本年度、海外に目を向け、朴沙羅著『ヘルシンキ　生活の練習』を輪読しています。

　二人の幼児を連れてフィンランドへ移住した女性の社会学者による同書を通して、フィンランドにおける外国人女性の暮らしや子育てを知り、日本社会の状況を相対化して考えています。学術的な本への読解力や要約力、異文化への知識、日本文化への批判的洞察力、ディスカッションスキルなどが日に日に磨かれています。

　これに関連した特別イベントとして、日本政府観光局（JNTO）の若林香名氏をお招きして、学びとキャリアに関するオンラインイベントも開催しました。若林氏は、大学〜社会人大学院〜産休や育休中の過程において、学び続けることの重要性を語りました。子どもを連れてシドニー事務所長を務めた経験の中から生まれた「学びは人生の幅を広げてくれる」という言葉が印象に残っています。

　この特別講演には、結婚や出産、仕事の両立について考えたいと希望するゼミの卒業生も複数参加しました。若林氏講演後には、彼女たちOGとの即席座談会が行われ、現役ゼミ生は進路選択への不安などを相談する時間になりました。

　ゼミ生が手分けをしてフィンランド料理を提供する店を探し、コーヒーやワッフルを持ち寄る茶会を企画するなど、寄藤研究室では、文献を軸にしながら、多様な人や場所に出会うゼミの学びを積み重ねています。