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2023.01.12

メディア・コミュニケーション学科

テレビ番組「地元検証バラエティ 福岡くん。」(福岡放送)に二階堂整教授が出演しました

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皆さん、番組はご覧になっていただけたでしょうか。
今回、番組内でいくつかの方言について解説のお手伝いをしました。番組を振り返って、少し自分の感想や考えを書きたいと思います。

今回は福岡市内の方々にアンケートをとり、現在の博多弁の状況を明らかにするという番組内容でした。番組HPを通じての調査や街頭インタビューが資料でしたが、3千人のデータ(しかも世代別)を集めるのは大変だったと思います。その点、番組スタッフに敬意を表したいと思います。また「福岡市内には福岡出身者が少ない」ことを国勢調査の資料を引用して裏付けし、結果として、博多弁が薄れていくと指摘した点は秀逸だったと思います。
では、方言の中には絶滅危惧種になっているものがあるのでしょうか。ここでは、その筆頭にあげられた「ばってん」を取り上げ、研究者の立場から、少し解説してみたいと思います。
番組内でいう博多弁とは、「筑前方言」にあたります。福岡市及びその近郊を含む地域(東は遠賀、西は糸島、南は小郡あたりまで)で話される方言です。この方言は、大きくは「肥筑方言」(福岡・佐賀・長崎・熊本)の領域に含まれており、「ばってん」はこの肥筑方言の地域で使用されています。佐賀・長崎の方は「ばってん」が絶滅危惧種と聞いて、「自分の地域では、けっこう使っているのになあ」と戸惑われたのではないでしょうか。「肥筑方言」として観察してみると、佐賀・長崎ではまだよく使われています。また福岡県内でも、「筑後方言」(久留米・大牟田など)の方が、「ばってん」をよく使用することが調査からわかっています。さらに筑前方言内に限定しても、博多地域では使用が少なくなっている方言(「ばってん」など)でも、二日市あたりによくその姿をとどめている場合があります。

「ばってん」も福岡市内だけでなく、地域を広げて眺めてみるとまた違った姿が見えてきます。でもこうした内容で番組を作ると「福岡以外くん」になってしまいそうですね。

(二階堂 整)