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2021.06.25

現代文化学科

新任教員・渡邉寛吾准教授(日本文化分野)のご紹介

 現代文化学科では、2021年度より渡邉寛吾准教授(日本文化分野)をお迎えし、主に日本文学分野の科目を担当されています。そこで今回は渡邉先生による自己紹介をお届けします。

 本年度から「日本文学の発生」や「国語科教育法」など、古典文学及び教職の科目を担当することになりました渡邉寛吾です。

 大学進学と共に一人暮らしを松山で始め、その後大学院進学で大阪へと行き、そこでは大学院と高校教員としての生活で十数年を過ごしました。そして更に名古屋へ移り住んで高校教員を十年勤めて、この度、福岡へと引っ越してきました。約三十年、振り返ってみれば色々な場所で生活をしてきたことに驚いています。この間、福岡に来たのは学会への参加のために二度来たことがありますが、それ以外福岡とかかわることはありませんでした。これから、この地でどれくらい生活をするのかわかりませんが、少しずつ福岡のことを知っていきたいと思います。もっとも、現在はまだまだ気楽にあちらこちらに出掛けられる状況にはなく、ほぼ家と大学との往復を繰り返しています。この状況が早く収まって欲しいと願うばかりです。

 さて、古典文学を担当することは先に述べましたが、研究対象は奈良時代の文学、具体的には『萬葉集』です。そこに関心を持った理由は、人間の持つ喜怒哀楽という感情や季節感、美醜や善悪などの価値観、理解がどのようなものであるのかを知りたいと思ったことが始まりです。そして様々な対象、方法がある中で、他の国や文化ではなく、やはりこの国に生きた人達のことについて調べてみたいと思い、言葉としてそれらのことが表現されて、理解できる最も古い時代、対象はいつか、何かということで辿り着いた訳です。もっとも当初は『萬葉集』を対象にしていましたが、『萬葉集』は奈良時代に培われた日本の中の文化と遣唐使などによってもたらされた大陸文化とが混ざり合うことでできたものということで、現在は奈良時代の文化・文学の大陸文化の享受の在り方に関心を持って研究を進めています。その点、福岡は奈良時代には大宰府が置かれ、まさに大陸文化享受の最先端にあった場所であり、そのような場所で研究、教育に携われることを嬉しく思っている次第です。

 加えて、院生の時に非常勤講師をしたことに始まり長らく高校で国語を教えてきたことから、国語教育、中でも古典教育に関心を持つようになり、教材についてや授業方法についても考えてきました。各種の調査で古典という科目は嫌われているとまでは言わなくとも、好かれてはいないものとして一位、二位を争う科目とされています。そのような思いを幾らかでも和らげ、日本の文化やそこで生きた人達の思いを理解することに関心を持ってもらえるようにしたいと思います。

 その土地その土地には、メディアに取り上げられる目立つものではないかもしれませんが、必ず何かしらの歴史があり、文化があり、人々の暮らしがあります。生きていく中でそれらに心が向く時があると思います。その時に、自分達が生きてきた土地の、今暮らしている場所の、そしてこれから生きていくどこかの、歴史、文化、思いというものを気に留めることができ、それらを理解しようと思うきるきっかけを作ることができるように、皆さんとかかわって行きたい、授業を行いたいと思っています。

 大学近辺の地図を見ていて、「奴国の丘歴史公園」というものがあるのを知り、「さすが九州!福岡!ここなら歩いてでも行けるし、絶対に「密」にはならないだろう。行かねば!」と思いながらも、すぐ行けると思うと、また今度、時間の空いた時に行こうを繰り返している昨今です…。以前のように気楽に行動できるようになれば、是非皆さんと近所の歴史や文化を繙き、訪ねてみることから始めて行きたいです。