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2021.04.02

現代文化学科

ご入学おめでとうございます!

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。みなさんを現代文化学科にお迎えすることができ、大変うれしく思っています。現代文化学科には、「文化」をキーワードに、日本のこと、世界のこと、そして世界と日本をつなぐ産業のひとつとなっている観光について、幅広く学べる様々な科目が準備されています。新入生のみなさんには、それらの多彩な科目を学びながら、文化を嗜む人になっていってほしいと考えています。

 新型コロナウィルス感染症(Covid-19)の問題は、この1年で世界を一変させました。日本のみならず世界各地で多くの人々が感染し、苦しんでいます。みなさんにとっても、今まで当然のようにできていたことができず、大変厳しい状況が続いていますね。このような状況ですので、現代文化学科を選んで入学するにあたって、なぜこんな時に「文化」を学ぶの?それって役に立つの?ってあらためて考えた人もいるかもしれません。

 私が専門にしている文化人類学において、文化とは人間の集団が社会の一員として獲得したあらゆる態度や習慣を含む複雑な体系と定義されます。価値、技術、言語、人間関係といった諸側面に分けることはできますが、文化は人間が関わるありとあらゆる活動に関わっています。私たちが「当たり前」とおもっていることの前提にあるのが文化だといってもよいでしょう。そのようなものとして文化を学び、文化を嗜むようになるとは何を意味するのでしょうか。

 たとえば、「観光」で考えましょう。人々が国境を越えて移動し、交流することが「当たり前」になっていなければ、大勢の人びとが観光する状況なんて考えられませんでした。なぜ国境を越えた人々の移動は「当たり前」になったのでしょうか。また、文化はそれ自体が観光の魅力になるとされてきましたが、なぜ人々は他所の土地の文化を体験しようとわざわざ遠いところまで出かけるのでしょうか。このような観点で観光を学ぶことは、観光の「当たり前」を見つめ直し、その背景にある文化とそれを支える諸側面(価値、技術、社会関係)を考えることです。ひいてはそれが多角的にものを考えることにつながります。その意味で、観光、交流、日本といった3つの学びの柱は、学ぶ目的というよりは、文化を嗜む人になるための手段です。

 さらに、対面であれ、オンラインであれ、みなさんがこれからの人生で出会っていく人たちは世代も国籍も多様です。自分たちの「当たり前」は通用しない、というのがむしろ普通です。文化を嗜み、他人の「当たり前」に気を配れることは、みなさんがさまざまな人たちとコミュニケーションする際には大きな助けとなります。このように、現代文化学科での学びを通してみなさんが身につける知識と経験は、将来どんな職業に就くにしても、仕事をする上での確かな礎としてみなさんを支えてくれるものとなります。文化を嗜むことは、みなさんにとって非常に「役に立つ」ことだと私は考えています。

 たった1年でも「当たり前」が変わる激動の時代です。文化を嗜むことは、そんな激しい時代をしなやかに渡り歩いていくために必要不可欠な素養です。是非自分の視野を広げて、さまざまなことをじっくり学んでいきましょう。まだまだ厳しい状況は続きそうですが、あとから振り返って充実していたと思える大学生活を送れるよう、現代文化学科の教職員一同は、みなさんを精一杯サポートしていきます。現代文化学科に入学したみなさんにとって、これからの大学生活がかけがえのないものになることを祈っています。

 

2021年4月
現代文化学科
学科長 田中英資