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2018.01.29

大学院

臨床心理学専攻教員の専門領域を紹介します④

福留留美 教授

私の専門は臨床心理学、その中でも「イメージ療法」というものを研究しています。人が何かで困っている時に、その解決策をみつけるのに、イメージを使うのです。あまり聞いたことがない方法かもしれませんね。

その方法について、少し紹介してみましょう。「イメージをみる(感じる)」状態に一番近いのが「夢をみている」状態です。夢を見ている時はぐっすりと寝ていますが、「イメージをみる(感じる)」には、目を閉じて深呼吸をして深くゆったりとした気分でいると「イメージ」が浮かんできます。寝ている時と起きている時の中間くらいの精神状態です。夢を見ている時は寝ているので他の人と会話をすることはできませんが、「イメージをみている(感じている)」時は、寝ているわけではないので見ているイメージの流れについて話をすることができるのです。

なぜ、このような面倒な方法を使うのでしょうか?一般的な

カウンセリングでは、「言葉」での対話を通して気持ちをほぐしたり、困り事についての解決の糸口を探したりします。しかし、困り事について自分ではその原因が分からないとか、自分のことでも自分ではどうなっているかよく分からないということがありますね。そんな時に「イメージをみる(感じる)」ことで、あるヒントを得ることができます。それはなぜかと言うと、その人の普段の行動やもの感じ方の特徴が、イメージの流れの中に出て来るからです。イメージには、その人の行動や感じ方の原型が入っているのです。たとえば、すごく慎重すぎて動けないとか、逆に状況を見ずに無鉄砲に動いてしまうとかです。そのことをイメージで見るまでは、自分でも気が付いていない場合が多いのです。そのイメージの中で変化が起きると、現実の生活の中でも変化が起きてきます。 

今ご紹介した「イメージ療法」は、目を閉じて深くリラックスした状態で行いますが、目を開けたままで行うこともできます。「イメージ」を利用した感情のコントロール法を「開眼イメージ法」として開発しています(「実践イメージ療法入門」金剛出版,2016)ので、興味のある方は読んでみてください。

いろんな臨床現場を経験する中で、従来からある方法を少しずつ自分なりに発展させてきました。精神科のクリニックや、スクールカウンセラー、大学生対象の学生相談室が主な臨床実践の領域です。地域一般の人々対象の研修会も行っています。

学生へのメッセージ

 「これ面白そう!」とか「自分はこんなことしている時が一番生き生きしている」というような自分が感じる興味に敏感であってほしい!「こんなことができる人になりたい」「こういう人になりたい」というような自分の憧れや夢の気持ちを大事にしてほしい!今はまだ実現していない興味や夢が、自分の人生を導き、自分を引っ張るエネルギーになります。努力しても先が見えず途切れそうな時があるかもしれませんが、諦めないで夢をつないでください。そうすると、私の「道」と言えるものが後ろにちゃんとできていきますよ。

 臨床心理学の世界は、理論だけでなく実践がベースになりますので、学びの種は尽きません。いつまでも興味が尽きることのないこの世界で、一緒に学びましょう。