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2013.01.23

「百読百鑑」レビュー 『銀河鉄道の夜』宮沢賢治 byチャーシュー小力

宮沢賢治の童話作品。宮沢賢治童話の代表作の一つとされている。これまで数度にわたり映画化やアニメーション化、劇場化された他、プラネタリウム番組も作られている。

貧しい家に生まれ、かつては仲がよかったカムパネルラとも距離が遠くなり寂しく孤独な生活を送っていたジョバンニ。そんなジョバンニは銀河のお祭りで一枚 の切符を手に入れる。一人で星空を眺めていた時、ジョバンニは空に何かが流れたかと思うと、眩しい光に包まれた。気がつくと銀河ステーションに立ってい て、目の前には汽車があった。そこからジョバンニとカムパネルラの不思議な旅が始まる。 旅の中では、化石を発掘し、昔存在した植物や動物を証明するために動いている人たちがいる場面、過去に起きた事件や出来事に関わる人々が次々に現れる場 面、またその人々が自分の天国で汽車を降りていく場面などがあるが、一つ一つどの場面を取っても宮沢賢治独特の発想と想像が詰まっている。また、比喩や擬 態語などの使い方がとても上手く、綺麗な言葉たちが、共に私たちを旅へ連れていってくれるような、そんな作品である。

その中でも、ジョバンニが汽車を降りずに現実の町に戻ってこられたことが私にはとても感慨深く、不思議であった。私はそこで、お祭りの後川に遊びに行き、 そこで溺れかけていたカムパネルラがお別れと本当の気持ちをジョバンニに伝えるために一緒に旅へ連れて行ったのだと思う。また、その中でジョバンニがカム パネルラに一度渡した切符をカムパネルラが返すことで、ジョバンニを孤独から助けたのだとも思う。

私はこの本を読んで、友情の素晴らしさを学び、常に相手の立場や気持ちを考えるようになった。この本は読者それぞれの世界観を広げてくれるに違いない。いつか私に子どもができたら、この作品の中へ連れて行ってあげたいと思う。