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2020.12.07

言語芸術学科

【授業紹介】日本語表現A(小説・物語)

 言語芸術学科で現在開講されている選択科目「日本語表現A(小説・物語)」では、日本児童文学の歴史を江戸・明治・大正・昭和・平成・令和とたどりながら、それぞれの時代に合うべく工夫された物語のテーマとその日本語表現について勉強しています。

 日本児童文学は、そこに関わる人々の情熱ゆえに、「芸術性」と「教育効果」の両面を意識しながら常に改良が施されてきました。

 大正7年(1918)に創刊された児童文学雑誌『赤い鳥』には、「世俗的な下卑(げび)た子供の読みものを排除して、子供の純性を保全開発するために、現代第一流の芸術家の真摯(しんし)なる努力を集め、兼(かね)て、若き子供のための創作家の出現を迎ふる」ということが宣言されていました。

 その言葉どおりに、創刊号ではあの芥川龍之介「蜘蛛の糸」が誕生しましたし、やがて新美南吉「ごん狐」(昭和7年)などの名作も世に送り出すようになりました。

 しかし、時代が変わっていけば求められるものも変わっていきます。授業ではその変化を見届けながら、「良い児童文学」とはどういうものなのか、ということについて考えていきます。そして授業の終盤には、その歴史を踏まえて学生それぞれが見出した現代における「良い児童文学」の論理と作品例について発表していきます。

 児童文学は誰もが触れてきたものでありますが、その歴史と作品を客観的かつ論理的に見直してみることによって、また新たな発見が生まれてきます。

 

※写真は大正7年の『赤い鳥』創刊号(広島市立中央図書館所蔵)