前記開講の「American Studies A:Culture」は、アメリカ合衆国の文化を理解するための入門科目です。国際社会でのアメリカの存在感は圧倒的であり、グローバル社会で働く上で、アメリカ理解はきわめて重要です。この科目では、文学や芸術など狭義の「文化」だけでなく、生活様式、価値観、信条や、その背後にある歴史的・社会的背景に目を向けます。
具体的には、アメリカにおける人種差別の歴史や差別撤廃のための公民権運動、エスニック文化や地域的特性(たとえば、「アロハスピリット」に特徴づけられるハワイの歴史の光と影、アメリカ先住民や移民たちの苦悩、刺激あふれるニューヨーク事情など)、宗教事情(「メガチャーチ」と呼ばれる、毎週の出席者が2000人以上のキリスト教会の興隆とその背景)、アマゾンやアップル社などアメリカを代表する企業の創立者のスピリットやビジネスモデルなどについて学びます。
また、後期開講の「American Studies B:Politics」では、アメリカの移民受け入れの変遷、投票には有権者登録が必要で、いまだ不平等が残存する選挙制度、マイノリティーによる選挙権獲得のための闘争の歴史、大統領選の仕組み、先進国の中で最大といわれる貧富の格差、国家的問題となっている肥満の蔓延やその背景などを取り上げます。
授業では、教師の講義のみならず、学生が各学期に一度、希望するトピックについてテキストの要約や自主的に調べた内容を英語でプレゼンテーションをする時間も取っています。また、理解を深めるためのドキュメンタリーも用います。受講者は学期末に学んだ成果をレポートにして提出します。
学生によるプレゼンテーション
このほかにもさまざまなテーマを通して、ダイナミックで多彩なアメリカ社会に迫っていきます。多様性に富むアメリカ社会を理解するのは容易ではありませんが、この授業により少しでも重層的にアメリカを理解し、関心を深めていってほしいと考えています。
ICD *I Can Do*