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2019.12.10

国際キャリア学科

(授業紹介)「Current Business」⑦繊維・ファッション産業:HITOYOSHI株式会社の竹長取締役工場長による講義

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国際キャリア学科3年生を対象とする「Current Business」(担当:山口)は、世界とつながるビジネスや公務の第一線で活躍されてきた様々な業種の方を招き、実務の視点から日本の産業や企業経営、国際展開などについてご講義いただくオムニバス形式の授業です。

IMG_9514.JPG先日の講義には第一回の鉄鋼産業と同様、戦後の高度経済成長を支えた繊維・ファッション産業の歩みと現状、課題について、高品質のシャツの製造で知られるHITOYOSHI株式会社の竹長一幸取締役工場長をお招きして、ご講義いただきました。同社は2009年に大手シャツ・メーカーだったトミヤアパレルが経営破綻したことに伴い、吉國武代表取締役と竹長取締役工場長が企業再生ファンドの支援を受けて設立された企業で、メイドインジャパンにこだわった丁寧なシャツ造りが評価され、人吉発の世界的ブランドとして注目を集めています。

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講義では、同社の所在地である熊本県人吉市について故郷愛溢れるご紹介をいただいたのに続き、人件費等製造コストの上昇と最新トレンドを採り入れながら低価格に抑えた衣料品を短い商品サイクルで大量に販売するH&MやZARA、GAP、GU、ユニクロなどに代表されるファストファッションの伸張などで、日本の繊維産業が生産量、企業数、従業員数とも縮小を続けてきたこと、中国、ベトナム、インドネシア、最近ではバングラデシュ、カンボジアなどからの低価格の製品の流入で、1988年頃には国内で販売されているシャツの半分を占めていた日本製品が2017年にはわずか2.4%にまで低下していることなど、日本の繊維・アパレル産業を取り巻く厳しい状況について解説いただきました。

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HITOYOSHI株式会社については、当初、100%OEM生産(*)からスタートしたものの、販売店との直接取引により中間マージンを省き、価格帯を抑えたことなどが奏功し、現在では年間約15万着のシャツを生産し、その売上の30%が自社ブランドでの販売、残る70%がビームスやシップス、ポールスミス、ユナイテッド・アローズなどセレクトショップ向けのOEM生産になっていることをご説明いただくとともに、2016年に工場を訪問されてから毎年、オーダーメイドのシャツを注文されている小泉環境大臣など、同社のシャツを愛用している著名人についてもご紹介いただきました。

OEM(original equipment manufacturer)とは相手先ブランド名での生産

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続いて、着心地を重視した縫製、100%綿の生地や貝ボタンなど自然素材にこだわる一方で、納期が短い、ロッドが小さい、仕様が複雑など、海外のメーカーが嫌がる仕事をあえて積極的に受注するなど、価格競争に対抗するために日本ならではのきめ細かいモノづくりに注力されている現状について解説いただきました。また、従業員の6割を50歳以上が占めるなど高齢化が進むなかでの人材の確保、若手の育成と技術の継承など、現在、抱えておられる経営課題、さらにはベトナム企業との協力体制についてもお話しいただきました。

今後の同社の目標については、旅行用トランクの工場からスタートしたルイ・ヴィトンやカバンの修理からスタートしたグッチなどの例をあげながら「モノづくりをベースにして、世界に通用する一流のファクトリーブランドになることです」と語られました。

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講義後には、家庭でもできるシャツの上手なアイロンのかけ方を実演しながらご教示いただき、学生の代表としてY.Bさん(筑紫女学園高等学校出身)とY.Tさん(熊本信愛女学院高等学校出身)がアイロンがけに挑戦しました。

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学生たちはソフトに、にこやかに情熱を込めて話される竹長先生の臨場感溢れる講義に真剣に耳を傾けていました。なお、これまで竹長工場長の講義を聴いた国際キャリア学科の卒業生、現4年生からはユナイテッドアローズ、リンク・セオリー・ジャパン、アダストリア、アーバンリサーチなどのアパレル・メーカーに就職、内定する学生が出ています。

以下は講義を聴講した学生の感想(代表)です。

Y.Fさん(福岡県立久留米高等学校出身)

見えないところで消費者のために様々な工夫をこらして、着心地のいい上質な製品を作られていることがとても伝わってきました。口コミで消費者の支持が広がったのもそのような消費者本位のモノづくりをされていることの結果だと思います。貴重な講義をいただき、ありがとうございました。

R.Oさん(福岡県立玄界高等学校出身)

HITOYOSHI株式会社の製品は特にプロモーションを行ったのではなく、口コミでその良さが広まり、評価が定着したということに驚きました。徹底的に無駄をなくす一方でメイドインジャパンにこだわるモノづくりを行い、従業員の方は地元から採用するなど地域産業にも大きく貢献されている同社は素晴らしい企業だと思います。

Y.Mさん(福岡県立小郡高等学校出身)

竹長工場長は同社は特別な宣伝はしておらず、「製品自体が宣伝の材料です」と語られていて、これまでシャツづくりにどれだけの情熱を注いでこられたのか、よく理解することができました。繊維・ファッション産業に関する講義を聴いたのは初めてでしたが、たくさん心に残るお話を聴くことができました。ありがとうございました。

M.Tさん(福岡県立筑紫中央高等学校出身)

HITOYOSHI株式会社のシャツづくりの素晴らしさが伝わってきました。いつか父に同社のシャツをプレゼントしようと思います。教わったアイロンのかけ方も早速、実践します。

N.Kさん(福岡県立古賀竟成館高等学校出身)

販売店との直接取引により中間マージンを省き、納期が短く、ロッドが小さく、仕様が複雑な製品など、海外メーカーが嫌がる仕事をあえて積極的に受注するなど、生産コストの低い海外メーカーと競争するために様々な取り組みを行ってこられたことが印象に残りました。私も竹長工場長のように自分の仕事を誇りを持って、伝えられるようになりたいと思います。貴重な講義をありがとうございました。

H.Lさん(日本国際語学アカデミー出身、ベトナム出身)

HITOYOSHI株式会社は様々な困難に直面してもそれを乗り越え、会社を成長の軌道に載せてこられました。HITOYOSHIがグッチやルイ・ヴィトンのようなブランドになる日がきっと来ると思います。

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Y.Kさん(中村学園女子高等学校出身)

HITOYOSHI株式会社のシャツづくりへのこだわりを深く知ることができました。ベトナムの協力工場からの技能研修生の受け入れに関するお話のなかで、竹長工場長が研修生に日本語や日本での生活に慣れてもらうために交換日記をされていると聞き、とても素敵な会社だと思いました。講義に続き、シャツのきれいなアイロンのかけ方も教えていただきましたので、早速、自分でも試してみようと思います。

M.Tさん(宮崎県立小林高等学校出身)

HITOYOSHI株式会社のシャツづくりへのこだわりが強く印象に残りました。着心地を重視した縫製や自然素材へのこだわりなど、まさに職人の、プロフェッショナルのお仕事だと感動しました。

Y.Tさん(熊本信愛女学院高等学校出身)

HITOYOSHI株式会社のシャツは同社のこだわりとオリジナリティが詰まった商品だからこそ、多くの消費者に支持され、今日まで成長を続けてこられたのだと感じました。私の出身地である熊本発のブランドが今後、ますます多くの人に支持されるようになると嬉しいです。私も将来、同社のシャツをオーダーできたらいいなと思います。

M.Hさん(佐賀清和高等学校出身)

今回の講義でHITOYOSHI株式会社のシャツの魅力はもちろんのこと、人吉市についても知ることができ、今度、ぜひ訪ねてみたいと思いました。講義の最後に教わったアイロンのかけ方も実践してみようと思います。貴重なお話をありがとうございました。

N.Kさん(九州産業大学付属九州高等学校出身)

アパレル産業に関心があったので、お話を伺うのをとても楽しみにしていました。生産コストの低い海外メーカーと競争するための経営戦略から、同社のシャツを愛用されている有名人の方のお話まで、とても興味深い講義でした。同社のシャツは仕事中、ずっとスーツを着ている父に贈るととても喜んでくれそうだと思いました。貴重な講義を聴けて、本当によかったです。

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